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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−2】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

様子のおかしくなってしまったレイチェルのもとに見舞いに訪れたカシウスとクキバミ。事の真相や思惑を理解したクキバミは彼なりの思惑を匂わせる。一方、魔剣の責任をアークに結びつけるカシウスは、自らの非力さを嘆くが、クキバミはその優しさこそがお前の力だと呼びかける。

 

GM:続いて冒険者の宿のシーン行きましょう

アーク:リプレイ更新の時期はいつだ……ひな祭り? お正月? ……いや、豆まきにしよう!

GM:外れたらどうするんだ

アーク:わーい! 豆まきするぞーっ!

アーク:「おにはーうち!」

GM:まぁいいか、木製の調度が整った広い食堂で、アークを含む複数の(おめでたい)冒険者が豆まきに興じています

アーク:魔力撃豆まき!

冒険者たち:「わいわい」「遠隔攻撃に魔力撃は乗らんぞ!」「うちに鬼を招くな!」

GM:広い食堂の脇の方にある半個室には、そうした馬鹿騒ぎに呆れ顔の冒険者もそれなりの数座っています

アーク:「わーっ はずれた! このーっ!」

GM:そんなことをやっているアークが走り回って、レイラが暗い表情で座る席の近くに背を向けて立ちます

レイラ:はぁ……ため息をついて「アークさん」

アーク:「ん?」振り返って、手に持ってた豆をぽりぽり

レイラ:「楽しそうですね」楽しくなさそうに

アーク:「レイラもやる?」豆の入った袋を差し出して

レイラ:「まさか」

アーク:ぽりぽり

レイラ:「アークさんは……」

アーク:「ん?」

レイラ:「アークさんはなぜ冒険者をやっているんですか?」

アーク:「え? うーん……みんなと冒険するのが好きだから?」

レイラ:「『好き』ですか」

アーク:「?」

レイラ:「一昨日のドレイクへの一撃、(悔しいけど)見事でした」

アーク:「うん! えへへ」

レイラ:「あなたは、それだけの力がありながら、なぜ冒険者なんですか? あなたが騎士だったら、ダインハイトは落ちなかったかもしれないし、私の友人も、消息不明にならなかったかもしれないのに」力なく

アーク:「……何も変わらないよ。一人の力じゃ何もできない」

レイラ:一度拳を強く握ったあと、目を伏せてその力を抜いて

レイラ:「あなたは、それでいいかもしれませんね。私は一人でもやらなきゃ、たとえ騎士じゃなくなったとしても」

アーク:「……レイラ、僕みたいになるよ。責任を背負いこんでも、壊れちゃうんだ」

レイラ:「『壊れる』?」少し笑いながら

レイラ:「私は立派な騎士にならなくちゃいけなかった。家族のためにも、騎士じゃなくなった私はもう『壊れて』ます……だって、もう誰も守れないじゃない!」最後の言葉を絞り出すところで涙目

アーク:「ダインハイトのとき、みんなを助けたのは騎士だったから助けたの? レイラはもう騎士じゃないから誰も助けないの?」

レイラ:椅子から立ち上がって、勢いで椅子が倒れますが見向きもせずアークさんを睨みます

アーク:「……」

レイラ:「……ッ」

 

???:「ちょっと聞いてないわよっ、こっちがこんな寒いなんて! ガイドの話じゃ冷え込むのは夜と朝だけって話じゃなかったの!? アタシ超薄着なんだけど、どんだけ!」

GM:どこかで聞いたことある声が酒場の入り口側から聞こえます

カシウス:空気ぶち壊し漢女

サラー:「あー、ようやくあったまれるわぁ。ちょっとマスター! ココア入れてくれる? お砂糖をいれて……って、何よこの店! 豆だらけじゃないのよ!」

アーク:「……」目が点

レイラ:硬直

サラー:「豆をぶつけ合う風習とかあるわけ? お祭り? それとも魔除け? このご時世に食べ物をこんな……」

宿の人:「いやおめでたい連中が騒いでるだけだよ、旅の冒険者さん。ほいココア」

サラー:「あら、ありがとっ。ん~、あったかぁい、マジ生き返るわぁ……」

レイラ:「サ、サラーさん……?」

サラー:「あら?」

アーク:「サラーだ!」

サラー:「レイラちゃん? それにアークじゃないの。やぁん、元気してた、あんたたち!」

レイラ:「お久し……ぶりです」背中向けて顔ぐしぐし拭ってから

アーク:「うん、元気だよ!」

サラー:「いやぁ、久しぶりねぇ。ちょっと筋力ついたんじゃない? たくましくなった感があるわねぇ」

GM:レベルでいうと3くらい

クキバミ:背は伸びたか?

カシウス:年齢的に無理だろw

 

サラー:「それで、アンタたちいま何やってるの? お話聞かせなさいよ、ほら、座らせてもらうわよ」

サラー:レイラちゃんが倒した椅子を起こしながら、ココア片手にテーブルに席をとるわよ

アーク:「豆まきしてるよ」手に握ってた豆の袋

サラー:「そういうことじゃないわよ。ほら、アンタも座って」テーブルの上の豆を手で払って

アーク:「えっとね、この前は蛮族倒したよ。その前は地下に行った。変なうさぎがいてさ……」

サラー:「ふんふん」

 

アーク:「……カシウスは大切な友達だなぁって思って、その前は……」

サラー:「なかなかいろいろやってたみたいね。しかし、師匠もまた大変な目にあったわね、貧乏くじばっかりの人だったけど」

レイラ:微妙に顔をそらして話には参加しないでおきます

サラー:「それで、アーク。ここまでの冒険、どうだったのかしら?」

アーク:「いいことも悪いこともあったし、いろんなことがわかった。でも、やっぱり僕は冒険が好きだよ」

サラー:「……少し心配だったけど、悪くはない答えね」

アーク:「えへへ」

サラー:「ま、アタシとしてはもう少し大人の男になってて欲しかったけどね。アーク、あんたにはまだセクシーさが足りないわ」

アーク:「……? あ、脱げばいいの?」

サラー:「いいえ。少しは悩んでいるところも表に出さないと、周りが不安に思うわよってこと。アークには仕方ないことかもしれないけれど」カップの縁を撫でながら

 

サラー:「だって、大変でしょう、こういうのについていくのは。ねぇ?」レイラに

レイラ:動揺して席を立ちかけます

サラー:浮きかけた手をそっと抑えて制止するわ

GM:に が さ な い

アーク:しかし回り込まれてしまった

レイラ:「……私は、たまたま一緒にいる、だけ……です」

サラー:「まぁそうね。レイラちゃんはほとんど成り行きみたいなものだものね。タイミングも悪かったのかしら」

レイラ:「……私にはわかりません」

サラー:「……」

アーク:ぽりぽり

サラー:「そういえば、レイラちゃんの実家、この近くだったかしら?」

レイラ:「はい。父には……しばらく家でおとなしくしていろと言われました」

サラー:「あら、そうなの。なら……」

 

サラー:「なんで貴女はここにいるの?」

 

レイラ:胸のあたりをぐっと掴むようにして

レイラ:「私は……」心臓の音が耳鳴りに変わる

GM:もうだめみたいですね

サラー:「……」

サラー:頭にぽんと手をおいたあと、チョーカーをつけた首をすっと撫でて

サラー:「貴方が何もしてなかったわけじゃないのは、アタシは知っているけれど。アナタはどうやら気づいていないみたいね」

レイラ:「……」

サラー:「さて、アーク、レイラちゃん、邪魔したわね。あんたたちが無事にここに着いてるって知れてよかったわ」

アーク:「もう行っちゃうの?」

サラー:「ちょっとお仕事の都合もあるのよ。しばらくはこの街にいるわ。用があるならいらっしゃい」

アーク:「うん、わかった!」

サラー:「あ、そうだアーク。フレッドから伝言があるわ。『もう大冒険は始まっているぞ!』ですって。あの子もなかなかの修羅場をくぐったわ。うかうかしてたら、抜かれちゃうかもね」

アーク:「ううん、負けないよ!」

サラー:「よい返事。レイラ、アークとフレッドはただ自分のやりたいことを信じて進んでるだけ。貴女もちょっと見つめ直してごらんなさい」

レイラ:「……」

サラー:「じゃあね、チャオ☆」

アーク:「ばいばーい、またねー」

 

GM:ココアを飲みきって、サラーは旅路の疲れを癒すべくマスターに部屋の手配を頼む……と見せかけてそのまま冒険者の宿を後にするというところでシーンを結びます

 

 

次回へつづく