第2回 ハカセの異能力研究所【ダブルクロス3rdで遊ぼう】
ハカセ「ダメだ! どうしてもうまくいかん!」
山田「どうしたんですか? 吸盤フックの吸い付きが悪いんですか?」
ハカセ「山田くん! ここは異能力研究所だと何度言えばわかるのかね?」
山田「ウイルス被害者製作所の間違いじゃないんですか…」
今日の開発計画
ハカセ「前回の計画に従って、安定して使える近接戦闘用異能力を開発しているのだがね、山田くん…」
ハカセ「基本ルルブに載っているだけでもデータが多すぎて、組み合わせ方がわからないのだよ!」
山田「それ、ただハカセの頭が足りてないだけじゃ…」
課題1:命中力かダメージか
ハカセ「山田くん、違うのだよ…強く在るためには、実戦環境をよく理解する必要がある」
山田「戦闘ルールですか?」
ハカセ「そこで実戦ルールを読んでみたんだがね…命中力を高めても、ダメージが加算される仕組みではないか!」
山田「・・・」
ハカセ「・・・」
山田「それも理解しないで被検体1号を犠牲にしたんですか!!」
ハカセ「あれはただケツから火を噴く酔っ払いを見たかっただけだと何度言えば…」
山田(被検体1号…なんて不憫なんだ…)
課題2:対象シンドロームのエフェクト
ハカセ「実はもう一つ困っていることがあってね、このエフェクトの説明に『対象:シンドローム』とあるエフェクトがあるじゃないか」
山田「ほかのエフェクトと組み合わせないと意味のない能力というやつですね」
ハカセ「これが曲者なのだよ…同じ種類の異能力と組み合わせないと効果を発揮してくれないんだ」
シンドロームとエフェクト
異能力にはシンドロームという分類があります。光使いのエンジェルハイロウ、重力使いのバロールなど、能力はジャンル分けされているのです。一人のキャラクターには最大で3つまでしかシンドロームを習得させることはできません。
各シンドロームにはエフェクトと呼ばれる個別の能力が設定されています。命中ダイスの数を増やしたり、与えるダメージを増やしたり、逆に受けるダメージを減らしたり、具体的な効果はエフェクトとして設定されているのです。
コンストラクションのルールでは、エフェクトを4つ選んで習得することができます。より高度なキャラクターメイクの技術として、フルスクラッチというものもありますが、こちらはもう少しシリーズが進んでから扱う予定です。
ハカセ「結果として、どの組み合わせが一番安定するのかを確定するためには、ダイスの確率と期待されるダメージの増分を考慮した確率計算が必要になり…ぶつぶつ」
諦めの山田
山田「ハカセ! 研究所みたいなことしたらダメです!」
ハカセ「そうだな! 私もそう思う!」
山田「グーグル先生に尋ねればいいんです。えっと…『ダブルクロス キャラクターメイク』っと…」
ハカセ「あ、そんな検索をしたら…」
山田「ハカセ? なんだか見覚えのあるブログが見つかりましたよ?」
ハカセ「な、なんのことかな…?」
山田「ハカセ、ずいぶん前に自分で解説記事書いてるじゃないですか!」
ハカセ「バレてしまっては仕方ない…」
実は基本は簡単
山田「えっと…つまり『近接攻撃がしたいなら、〈肉体〉のスコアが高い能力を選べ』って書いてあります」
ハカセ「でもぉ〜もっと変態的な能力も作りたいってゆうかぁ〜」
山田「そんな10年も20年も前のギャルみたいな口調で言っても僕は譲りませんよ!」
ハカセ「ちっ…」
近接攻撃用キュマイラの開発
山田「それなら…これですね、唯一〈肉体〉が3点もあるキュマイラ、これを選びましょう」
ハカセ「キュマイラさんは、たしか体の一部を化け物に変えて戦う能力だったかな」
山田「その通りです。腕が肥大化して相手と戦うんです。能力が暴走して、『静まれ…俺の右腕…』って奴ができるんですよ」
ハカセ「どうしたの山田くん、こないだ装着した右腕、相性悪かった?」
山田「違いま…って、ええっ!? なんですか、僕、なんか改造されたんですか!?」
ハカセ「いや、自覚がないならいいんだ…」
データ的整備
ハカセ「というわけで、キュマイラの『破壊の爪』をメインにしてみよう」
山田「腕が変化して鉤爪で戦う…異能力ものでは定番ですね!」
ハカセ「あとはデータを見る限り、『フルパワーアタック』と『ターゲットロック』が強そうだな」
山田「狙いをつけて全力の攻撃を叩き込む感じのイメージですかね…ハカセらしからぬかっこよさです」
ハカセ「あとは『完全獣化』で命中の方も補助しておこう。これでどうだ?」
山田「これはなかなか安定の出来かもしれません!」
コンセントレイトのためにメジャーアクションを取る
ベテ=ラン「ひとつ無駄になっているエフェクトが残ってる件について」
ハカセ「ベテ=ランがシャベッタァァァァァァッ!!」
山田「お、落ち着いてくださいハカセ! 強力な人工知能です、勝手に話し出すくらいわけありません!」
ハカセ「そ、そうなのか?」
山田「そんなことより、いまの指摘、ハカセは意味がわかりますか?」
ハカセ「いや、選んだエフェクトは全て互いにシナジーがあるはずだが…あっ!!」
山田「どうしました?」
ハカセ「『コンセントレイト』だよ、山田くん! 自動習得している『コンセントレイト』の発動のためには、メジャーアクションが必要なんだ!」
山田「『コンセントレイト』がないとクリティカル値が10のままじゃないですか! 攻撃を当てられませんよ!」
ハカセ「不覚だった…では『ターゲットロック』を『獣の力』に変えよう。先にわかってよかったな…」
近接攻撃のためには移動力が必要
ベテ=ラン「移動力が8とかww引き撃ちでなぶり殺し余裕www」
ハカセ「このベテ=ラン、妙に煽り口調じゃないか?」
山田「インターネットに接続して自立学習している人工知能ですからね、仕方ありません」
ハカセ「人類の乱れが人工知能の乱れか…」
山田「たしかに移動力8じゃ辛いですね。10は欲しいところ」
ハカセ「むむむ…これは移動にも使える『ハンティングスタイル』を習得すればいいということだな」
山田「獣と化して素早く敵に襲いかかる。パワーは弱くなりましたけど、さすがベテ=ランさん。安定した近接攻撃屋さんが完成したんじゃないですか?」
ハカセ(たしかに安定したが…何かが引っかかる…)
そして完成
シンドローム:キュマイラ
ワークス:UGNエージェントA
肉体8 感覚1 精神1 社会2
習得エフェクト
ワーディング・リザレクト・コンセントレイト:キュマイラ
破壊の爪1/マイナー/素手を武器にする/侵蝕3
完全獣化2/マイナー/獣になって肉体ダイス増加/侵蝕6
獣の力2/メジャー/強力な攻撃を繰り出す/侵蝕2
ハンティングスタイル1/マイナー/エンゲージ無視して移動/侵蝕1
攻撃手段
【ガオガオアタック】
種別 〈白兵〉
コスト 侵蝕値 発動時-14 通常-4
命中ダイス 12r+4 攻撃力13【ガオガオアタック100%】
種別 〈白兵〉
コスト 侵蝕値 発動時-14 通常-4
命中ダイス 13r+4 攻撃力16
ハカセ「山田くん、何か悪い予感がしないかね…?」
山田「何を言っているんですか! ベテ=ランの助言まで加わって、かなり安定した近接攻撃能力が仕上がりましたよ!」
ハカセ「いや、何かがおかしいんだ…何かが…」
ベテ=ランによる種明かし
ベテ=ラン「ルールブック48ページ見てみろよwww パクリ乙www」
山田「・・・」
ハカセ「・・・」
ハカセ&山田「サンプルキャラクターそのまんま!!!」
ハカセ「ベテ…謀ったな! ベテ!!」
山田「私とて異能力研究所員だ! 無駄死にはしない!」
ハカセ「ウイルスをこままベテ=ランにぶつける!」
ハカセ&山田「異能力研究所に、栄光あれーーーーーっ!!」
ぶすり
ベテ=ラン「ふっふっふ…」
ハカセ「効いていないだと!」
山田「そんな! 中には人間が入っているはずじゃ!?」
ハカセ「えっ、そうなの?」
山田「えっ、気づいてなかったんですか?」
ベテ=ラン「わたしはすでにノイマン(超計算能力)に目覚めているからな…新しいウイルスを投与されても、影響はないのだよ…くっくっく…」
ハカセ(うわぁ、段ボールの中から言われてもカッコ悪い…)
山田「ノイマン? ハカセ、これしかありませんよ!」
ハカセ「どうしたんだね、山田くん!」
山田「ベテ=ランに対抗するべく、僕に最高のノイマン能力をください!」
ハカセ「そ、そんな…山田くんをノイマンの被験体にするなんて…」
山田「いえ、いまはそれが必要なんです! 僕は覚悟を決めました!」
ハカセ「ず、ずるいぞ山田くん! わしもすっごく頭よくなりたい!!」
山田「・・・(ダメだこの人)」
今日の教訓
ベテ=ラン「サンプルキャラクターが如何に優秀かお分りいただけましたか? 安定感を追求するなら、サンプルキャラクターを見てみましょう。実に優秀に設計されています」
ベテ=ラン「したがって、ルールを把握しながら遊ぶときには、サンプルキャラクターを使うのをお勧めします。それが済んだら、なぜ他のエフェクトではなくてこの組み合わせが使われているのかを考えてみましょう」
ベテ=ラン「そうすれば、『コンセントレイト』との関係や移動力が必要になることがわかってくるはずです。これを参考にして、自分なりのキャラクターを作る補助にしてみましょう」
次回予告
ハカセ「ベテ=ランに出し抜かれたままでは腹立たしいな…」
山田「ですから、ノイマンで抵抗しましょう!」
ハカセ「やむを得まい…ノイマンを使ってシンドロームを組み合わせる考え方を研究するぞ!」
山田「はいっ! がんばりましょう!」
ダブルクロス The 3rd Editionルールブック1 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,矢野俊策,しのとうこ
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次回に続く