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【ソード・ワールド2.0】冒険のリアリティを演出する3つの要素

ソード・ワールド2.0の初心者向けシナリオライティングを続けておりまして、そのシナリオをGMとして回すことで、オンラインセッションのGMを初体験しております。これまでの身内卓とはまた違った苦労を感じているところです。

 

さて、今日の記事で扱うのは、ずばり、「冒険のリアリティを演出しよう」というものです。

ソード・ワールド2.0の世界で冒険をするときに、初心者の皆さんが陥りがちなのは、「ただ行って敵を倒すだけのゲーム」という誤解です。キャラクターのデータ設定の大半が戦闘ステータスに割り振られているため、手早く戦闘をこなして、レベリングしていくゲームと考えられてしまうことがあるのです。

 

しかし、ソード・ワールド2.0は、冒険という危険な活動を扱ったTRPGです。本来は、プレイヤーたちにも、冒険者と同じくギリギリの判断が求められるはずなのです。

 

そこで、シナリオに「リアルな冒険感」をつけたすための3つのポイントを整理しておくことにしました。ソード・ワールド2.0の判定操作に慣れたら、もっとたくさんの情報を処理しながら展開する、あなただけの冒険活劇を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

 

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1.日没までの時間を意識しよう

2.世界はいつも晴れてはいない

3.キャンペーンなら季節を決めよう

 

 

1.日没までの時間を意識しよう

ソード・ワールド2.0のルールブックには、1日について、朝6時に区切ると定められています(ルールブック1改訂版195ページ)。

 

日中と夜間を等しく配分するなら、「午後6時に日が沈む」と解釈するのが妥当でしょう。この性質を利用すれば、冒険者たちに一つのことを考慮させることができます。それが、「日没までの時間」です。

 

日没後は、暗闇を味方につけた動物や野盗による襲撃が発生するリスクがあります。また、日没後の戦闘には、行為判定に対する視界不良ペナルティが課されてしまいます。総じて、街や村の外で夜間野営が必要になった場合、冒険者たちに不利な状態が作られてしまうのです。

 

時間の要素を適切に利用するためには、シナリオ設計時に二つの要素を設定しておく必要があります。

すなわち、「シナリオ開始時の時刻」と「目的地までの移動時間」です。

もちろん、移動時間などは情報を得られさえすれば、正確に予測できるものとしましょう。逆に言えば、目的地までの移動時間を割り出す作業を、冒険の一番初めの探索活動として習慣付けるようにしましょう。

 

さらに日没を有効利用したい場合、目的地でのダンジョンなどの探索に必要になる時間も設定しておきましょう。これに探索判定などの時間消費量を加算して、常に現在時刻を共有しましょう。屋外ダンジョンなら探索中、洞窟や地下なら探索終了時に、日没状況の宣言を挟みましょう。

 

いくらか前までのCRPGでは、日没の概念がなかったため、この当たり前の自然現象は忘れられがちです。しかし、これを加えるだけで、どういう行程で冒険を行うのが最適なのか、考えるきっかけになるのです。

 

 

2.世界はいつも晴れてはいない

もうひとつ、忘れられがちな自然現象があります。

 

雨です。

 

天候について、ソード・ワールド2.0では、これといった規定はありません。しかし、太陽神ティダンと水の神ルーフェリアが存在して、後者が豊穣の神として信仰されている以上、降雨が存在しているのはたしかです。また、メタ的に言っても、天候予測判定という判定が存在していることから、天候をゲームの要素に加えることは否定されていません。

 

雨がどのようなペナルティにつながるのかはGM次第ですが、たとえば次のようなものを用意できるでしょう。

 

例1:屋外探索で、8時間以上豪雨にさらされると低体温ペナルティ−1
例2:降雨開始から1時間後から、足元のぬかるみペナルティ−1
例3:炎属性ダメージの威力低下−2
例4:豪雨による聞き耳判定ペナルティ−4

 

シナリオ開始日からシナリオ終了予定日+2日くらいの天候スケジュールを決定しておけば、こうした要素を適宜セッションに盛り込むことができます。

こうして冒険者たちは、出発時や野営明けにその日の天候を予測して、日没までの時間を加味しながら、1日の移動行程を決定する必要が生じるのです。登山や森を舞台にしたウィルダネスアドベンチャーと組み合わせると、かなりのリアリティを演出することができるでしょう。

 

 

3.キャンペーンなら季節を決めよう

最後に、キャンペーンを開始する際には、ぜひ季節を決めましょう。

 

季節程度なら、ペナルティが発生することはまずありません。それゆえ、季節はロールプレイやシナリオの雰囲気を演出するためのフレーバーになります。

 

夏場に水辺のミッションをこなしてみたり、春に「遺跡と花の丘」を訪れてそれっぽい雰囲気を出してみたり、冬の登山を試みる難しいミッションをだしてみたり。季節の要素が加わるだけで、プレイヤーたちがそれぞれのシナリオの課題を見る目を誘導することができます。

また、季節が変わったり、雨季と乾季が入れ替わることで、地形や植生、生態環境が変化するといった演出も可能です。同様に、夏や冬に特別に必要になる物品の材料収集の依頼を、シナリオとして利用することも可能です。

 

 

おわりに

時間・天候・季節の3要素は、すべてのプレイヤーにとって、負担の軽い追加要素であるのも重要です。

これら3要素は、普段の生活でも何気なく考慮に入れられています。外出前に窓の外を見て天候を確認しない人は少ないですし、腕時計や携帯電話で現在時刻を確認して、外出時のおおまかな動きを組み立てるのも、そう珍しいことではありません。季節に及んでは肌でそれを感じ続け、服装への配慮、地域によっては雪への対策として、はっきりと生活に染み込んでいます。

 

つまり、危険性の伝達や対策の発想において、説明があまり必要ではないのです。

たとえば、もし「時々マナの嵐が吹き荒れる」などという設定を追加してしまったら、こうはいきません。それがどういう性質のもので、どうやって回避できるのか、一から十まで説明しなければ、共有できないのです。

 

このように、普段から慣れ親しんでいる要素を追加すれば、冒険は一層リアリティに満ち、様々な判定操作を積極的に提案しながら展開する、サバイバルアドベンチャーへと昇華するのです。

「ただ行って敵を倒すだけのTRPG」にマンネリしてきたら、こうした要素をシナリオに加味してみてはいかがでしょうか?