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【ゼロから始めるゲーム作り】第3回 役割の種類数とプレイヤーの人数

 前回非常にコンパクトなゲームを作ってみましたが、あのままではまだまだたくさんの問題があります。どの問題から解決しようかと考えてみても、問題が多すぎて困るほどです。

 

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 今回は前回製作した最小のゲームに言及しつつ、「ゲームが要求する役割の数」と「プレイヤーの人数」の関係が生み出す「ゲーム性」について整理しておこうと思います。

 

 

役割の数とゲーム性の変化

役割数=プレイヤー人数が生み出すゲーム

 前回製作した最小のゲームでは、【戦闘・調達・諜報】という三つのステータスと役割が存在しました。もしこのTRPGを3人で遊ぶとどうなるでしょうか?

 結論から言って、あまり楽しいゲームにはなりません。なぜなら、ステータスの数値がサイコロを振る人を指定するだけになってしまうからです。少し考えてみれば、3人のプレイヤーがそれぞれ次のようにステータス振りをしてしまうのは目に見えています。すなわち一人が戦闘ガン振り、もう一人が調達ガン振り、最後が諜報ガン振りという方法です。これではプレイヤーは作戦も何もなしにただそれぞれの担当する判定のダイス運に身を委ねることになってしまいます。

役割数=プレイヤー人数のTRPGは戦略性が不足する!

 しかし「役割数=プレイヤー人数」が常にゲーム性の不足した設定というわけではありません。たとえばこのゲームが協力ゲームではなく対戦ゲームだったならどうでしょうか?

 その場合3つの役割の名前を変えると、それが非常に有名なゲームと同じ性質を持っていることが見えてきます。すなわち【グー・チョキ・パー】としてみれば、三すくみの構造が見えてきます。判定の方法や資源管理のシステムを整える必要が生じますが、これはこれで面白いゲームを作ることができるでしょう。

 あるいは、プレイヤーごとに異なる勝利目標が与えられる場合にも、広い意味でプレイヤーの数だけ役割が存在することになります。この場合でも主要なゲームはプレイヤー間の競争に置かれることが多いのではないでしょうか。

役割数<プレイヤー人数のとき

 では、役割数の方がプレイヤー人数より少ないとどうなるでしょうか。先ほどのゲームを5人で遊ぶことを想像してみましょう。

 これも結論から言って、あまり楽しいゲームにはなりません。4人目と5人目は、それぞれのステータスにガン振りしたプレイヤーのダイスが失敗したときにフォローするだけの立場になります。4人目と5人目はいわゆる「補欠」状態で、ゲームに必要性を呼びかけられているようには思われません。

役割数<プレイヤー人数のTRPGはプレイヤーが退屈する

 とはいえ、これも工夫さえあれば楽しいゲームに仕上げることができます。たとえば有名なテーブルゲーム「人狼」はプレイヤー人数よりも役割の種類の方が少ないゲームです。これは誰がどの役割を担っているのかを隠し、さらにプレイヤー同士を対立させることでゲームを成立させています。

小結:役割数≦プレイヤー人数 のときに求められる工夫

 役割の数が想定プレイヤー人数よりも少ない場合には、プレイヤー間対立や役割固有デメリットの組み込みといったシステム面での工夫が必要です。この場合には、プレイヤーたちが楽しむポイントは「役割分担」よりむしろ「かけひき」に移行します。これは役割の数が少ないために、キャラクターの役割が「手段」から「前提」に変わっていることと関係しています*1

 

役割の数がプレイヤー人数より多いゲーム

すべての役割を網羅できない

 判定の数と対応するステータスをさらに増やしてみましょう。ここでは詳しく定義しませんが、わかりやすく次の役割を考えて見ましょう。

 【物理攻撃・物理防御・遠隔攻撃・魔法攻撃・魔法防御・補助魔法・回復魔法】

 これら7つの能力と判定が存在するとしてみましょう。同じく3人のプレイヤーがいるとすれば、プレイヤー人数より役割の方が多くなります。

 3つの判定しかなかったときとは違い、プレイヤーたちはたった一つの能力に集中することができません。3人で7つの役割をカバーするためには他の能力への配慮が必要になります。

 簡単のために、それぞれのプレイヤーが2点の持ち点を持っていたとしましょう。3人がたとえば次のように点数を配分すると、何が起こるでしょうか。

1人目:物理攻撃 2
2人目:物理防御 1,遠隔攻撃 1
3人目:魔法攻撃 1,魔法防御 1

 このとき、プレイヤーたちは【補助魔法・回復魔法】の2つの判定を放棄することになります。したがってそれら抜きでの戦略を設計する必要が生じます。

 この場合には、「特定の役割なしでいかにして攻略するか」という点がゲームの面白さの一つになります。複数の解決手段からプレイヤーたちに可能なルートを発見する流れをシステム化するなど、他のシステムはこの面白さを支援する形で設計するのが望ましいでしょう。

戦略を誘導するステータス設定

 他の面白さに焦点を当てたい場合、もう少しだけ役割の網羅性を調整する必要があります。簡単な調整方法として、プレイヤーが使える点数を増やしてみましょう。

1人目:物理攻撃 2,回復魔法 1
2人目:物理防御 1,遠隔攻撃 1,回復魔法 1
3人目:魔法攻撃 1,魔法防御 1,補助魔法 1

 これですべての役割が網羅できました。しかし同じ「網羅している」でも、「役割数=PL人数」のときとは状況が違います。よく見れば、【物理攻撃】は【個人が2点を有している】状況であり、【回復魔法】は【2人で合計2点を有している】状況です。この状態の違いを認識しておくことが重要です。

 たとえば1回の行動で一つだけの能力しか使えないと考えてみましょう。すると【物理攻撃】と【回復魔法】を同じターンに使いたいなら、2人目のプレイヤーが【物理防御】と【遠隔攻撃】を諦める必要があります。あるいは、【回復魔法2点】が必要な場面では2人の行動が消費されてしまいますが、【物理攻撃2点】が必要な場面では1人の行動でそれを実現することができます。

 このように、「能力の組み合わせ」や「能力レベルの違い」をシステム的に生み出すことで、また別のゲームが姿を表すことになります。この場合には、「どの能力の使用を優先して問題に当たるか」を相談して判断するという点がゲームの面白さの一つになります。例で示したように行動回数制限や行動リソース制限を設けたり、直面する状況によってそれぞれの能力に重み付けをする*2ことで、即興的な戦略判断のゲームを作り出すことができるのです。

小結:役割数>プレイヤー人数 のときに求められる工夫

 役割の網羅性をキャラクターステータスの点数配分で調整することで、異なる性質のゲームを生み出すことができます。それぞれの性質で生まれるゲーム性をより面白くすることを意識しながら、他のシステムを設計していく必要があります。自分の作りたいゲームがどの型を持っているのかを意識しながら、システムの構造を考えてみましょう。

 

今回のまとめと次回予告

 想定するプレイヤー人数やプレイヤーたちに楽しんでほしいゲームの内容によって、ゲームに存在する役割の個数とその網羅の仕方(役割レベルなど)を設計する必要があります。とくにRPGでは役割を分担することがゲームの本質とも関わるため、この部分は丁寧に考えて設計する必要があります。

 役割分担の設計には多様な技法が利用されています。今回は説明のためにもっとも単純な方法を利用しました。次回は有名な方法として、スキル制とクラス制が生み出す役割分担について整理しようと思います。

 役割の作り方とゲーム性の設計については、より高度な話がごまんとあります。今日お話ししたのは本当に基礎の基礎にすぎませんので、これからも一つずつ丁寧に勉強・考察・整理を続けていきます。

 

 

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*1:手段については連載が続いた後で扱います

*2:たとえば、遠隔攻撃しか効かない敵と戦うなど