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【サプリメント紹介】イグニスブレイズ【ソード・ワールド2.0】

ソード・ワールド2.0キャラクター&データブック  イグニスブレイズ

第二の剣イグニスの名を冠したサプリメント『イグニスブレイズ』は、戦闘特技の大幅改訂を中心としたサプリメントです。

その追加内容は他のサプリメントに比べれば、多岐にわたっています。

①戦闘特技関係ルールの大幅改訂
②PC種族を4種追加
③敵・使い魔の多数追加

イグニスにまつわる神話の解説も収録しているほか、各人族の社会的ステータスや文化なども解説されているので、『ソード・ワールド2.0』の世界をより深く理解しながら遊ぶことが可能になります。

また、戦闘特技の「置き換え習得」が可能になったことで、キャラクター構築時の戦闘特技習得枠の不足が気にならなくなり、一層柔軟かつ強力なキャラクター構築が可能になります。

 

それでは、各要素の紹介をしていきましょう。

 

 

1.戦闘特技関係ルールの大幅改訂

このサプリメントの一番の魅力は、戦闘特技ルールの改訂です。

これまで、選択習得が可能な特技は、奇数レベル時に1つずつ、合計8つが上限でした。それゆえ、《武器習熟》・《防具習熟》などの必須特技にスペースを割くと、《全体攻撃Ⅱ》や《牽制攻撃Ⅱ》などに割く技能スペースがなく、構築のバリエーションは限定されていました。

しかし、このサプリメントにおいて、戦闘特技に「置き換え習得」という習得スタイルが追加されました。置き換え習得とは、同種の戦闘特技の下位技能を習得していた場合に、その技能のランクをⅠからⅡ、ⅡからⅢへと上昇できる、というものです。これならば、技能スペースを一つ使うだけで、《全力攻撃Ⅲ》までレベルアップが可能になります。

 

しかし、置き換え習得によって技能習得可能数が増え、全体にキャラクターが強くなったかといえば、そうでもありません。『イグニスブレイズ』では、多数の戦闘特技が改訂・追加されており、キャラクター構築の可能性が大幅に広がっています。その点では、習得特技が増えて強くなった、というよりは、より一層、パーティ内の役割に特化した構築をやりやすくなった、と評価したほうが適切でしょう

 

このサプリメントの導入で大幅にシステムが変更される特技の代表は、《狙撃》と《必殺攻撃》です。《狙撃》は隠密判定の必要がなくなり、次の射撃攻撃を確実にクリティカルさせる効果に変更されました。1度目の威力判定にしか反映されないので、C値が減少する旧仕様ほど爆発力はありませんが、確実性は増しました。また、《必殺攻撃》もⅠ・Ⅱ・Ⅲと置き換え習得化され、ペナルティの減少やさらなる効果の発生などが追加されています。

 

新規追加の特技で注目に値するのは、投擲回復を可能にした《スローイング》と、グラップラーの新自動習得特技《鎧貫き》です。ポーションボールで回復薬を投擲して、味方を回復するというスタイルは、レンジャー技能を有したファイターやシューターの活用可能性を大いに高めてくれます。また、クリティカル時に防護点を無視する《鎧貫き》は、火力の不足しがちだったグラップラーを強力なダメージソースへと昇華させてくれます。

 

これら以外にも、魅力的な特技が追加されており、キャラクター構築を考えるだけでも楽しい時間が過ごせることでしょう。

 

 

2.PC種族を4種追加

プレイアブルキャラクターとして、ハイマン・ミアキス・バルカン・ダークドワーフが追加されました。ハイマンは『ルールブックⅡ改訂版』に収録されているので、事実上3種の追加になります。

 

ハイマンは魔法文明時代に作られた人造人間で、魔法行使に特化した存在です。種族特徴で魔力が常時+1されており、攻撃魔法や回復魔法の威力補助に効果を発揮します。しかし、心の基礎値が高い代わりに精神力のダイスが1dと伸びが弱く、MPが不足してしまいがちです。MPを乱用しないように、補助魔法は他のメンバーに任せ、攻撃か回復に集中するスタイルを採用するべきでしょう。

 

猫耳と猫尻尾が特徴のミアキスは、変身能力と暗視能力も相まって、スカウトに高い適性を有しています。筋力が低いのでファイターには向きませんが、グラップラーとして前線に立ち、敵の攻撃を回避し続けてみせたり、シューターとして後衛から補助したりと、戦場でも活躍することができます。スカウトとグラップラー、エンハンサーを習得し、《両手利き》《追加攻撃》によって爪攻撃を連打すれば、極めて軽装ながら、いやらしいダメージを確実に与え続けることができるでしょう。

 

バルカンはイグニスそれ自体を信仰する珍しい種族で、蛮族サイドに属します。生命力が高い以外にはこれといった特徴がなく、汎用性の高い種族と評価できます。その特徴を生かした構築としては、ファイター習得によるHP増強型盾壁としての運用でしょう。精神力は伸びませんが、知力も並みの性能を持っているので、必要になれば魔法を詠唱したり、魔力撃を宣言したりできるよう、技能を振っておいてもいいかもしれません。

 

最後のダークドワーフですが、これは人族を裏切った蛮族サイドのドワーフです。つまり、生まれと体は人族のそれなのですが、心性は完全に蛮族に傾倒しています。ドワーフと同じく、高い器用度と筋力、そして精神力を誇ります。それゆえ、重装甲高火力のファイターとして、高い適性を有しています。ただし、ドワーフとはいえ蛮族サイドなので、一般的な住民には蛮族として扱われます。ロールプレイに厳しい制限がつきますので、GMと相談して運用するようにしましょう。

 

 

3.敵データ・使い魔の多数追加

蛮族サイドの剣であるイグニスの名を冠しているだけのことはあり、新しい系統の敵キャラクターが多数追加されています。

ヒンドゥー教の神から取り入れられたガネーシャは、第二の剣の優秀な信者・探究者として、蛮族を超越した姿を獲得した存在として描かれています。また、蛮族が作り出した人造戦士であるタロスシリーズも追加されています。このほか、各ジャンルの敵が大量に追加されており、これらの敵はシナリオを大いに盛り上げてくれることでしょう。

 

以上の追加要素に加えて、世界観の解説として、イグニスにまつわる神話と、各種族の生活誌が掲載されています。シナリオライティングはもちろん、セッション時のロールプレイにも、こうした設定が活きてくるはずです。

 

 

キャラクター構築の幅を大きく拡張し、シナリオとセッションを大いに盛り上げてくれるサプリメントと総評できます。キャラクター構築に不便を感じたら、是非とも導入してみてください。

 

 

ソード・ワールド2.0キャラクター&データブック  イグニスブレイズ

ソード・ワールド2.0キャラクター&データブック イグニスブレイズ

  • 作者: 田中公侍,グループSNE,北沢慶,輪くすさが,真嶋杏次
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
  • 発売日: 2013/08/17
  • メディア: 単行本
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