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『ソード・ワールド2.0』キャラクタービルド大会

※こちらの記事は少人数パーティの考察です。ビルド案などをご覧になりたい方は

trpg.hatenablog.com

こちらの記事をご参照ください。

 

ソードワールドセッションへ向けたキャラクタービルド大会が実施されました。

 

「普通6人程度でプレイされる『ソード・ワールド2.0』を、たった4人のパーティで遊ぶためには、どのようなキャラクター構築が可能だろうか?」という問題に、真っ向から向き合ってみました。

 

シナリオに頭を捻らせていた私と違い、プレイヤーの方ではかなり詳細なキャラクタービルドを提案してくれて、まったく度肝を抜かされてしまいました。

 

議論の中で話題になった問題点を確認しておきます。

 

 

 

1.戦闘ロールのミニマルとは?

ソード・ワールドにおいて最も重要なのは、「戦闘」というシチュエーションに他なりません。その「戦闘」において、最低限必要な役割とは一体なんでしょうか?

 

(1)前衛の必要性は後衛の後に生じる

はじめに必要性が明らかになるのは、HP回復を担うメンバーです。サプリメントを盛りに盛った後(具体的に言えば『ウィザーズトゥーム』導入後)なら、〈フェアリーテイマー(光メイン)〉か〈プリースト〉がその役割を担います。

 

ここで重要なのは、メイン技能としてこれら二つのいずれかを採用する場合、回避能力を持てないということです。ここにおいて、回復役への物理攻撃を遮断する、前衛の必要性が生じます。

  

ソード・ワールド2.0サプリメント ウィザーズトゥーム

ソード・ワールド2.0サプリメント ウィザーズトゥーム

 

 

 

(2)少数の前衛なら、部位が必要である

しかし、プレイヤーはたったの4人。前衛として2人を配置しても、遮断できる敵の数はたったの2匹です。これでは、簡単に敵を通してしまいます。完全に敵を遮断するためには、①特技《ブロッキング》を習得し、複数の敵の進路妨害を実現するか、②なんらかの使い魔によって前衛人数を増やすか、あるいは③〈ライダー〉技能によって騎獣分の部位数を稼ぐか、いずれかの方法を採用する必要があります。

 

このうち、魔法レベルの上昇が必要な使い魔の利用は現実的ではありません。前衛に魔法職を置くのは不適切だと考えられるからです。また、数少ない特技枠を消費する《ブロッキング》の利用も、あまり得策とは言いにくいでしょう。ここでは、〈ライダー〉技能の習得による、部位数の増加が有力な解として浮かび上がります。

 

 

(3)ダメージソースは物理と魔法を用意するべき

敵の種類によっては、圧倒的な魔法耐性で冒険者たちを苦しめる場合があります。また逆に、極めて硬い装甲(防護点)が、物理攻撃を阻む場合もあります。こうした場合に備えて、パーティ内には必ず、魔法を中心にした攻撃手と、物理攻撃を中心にした攻撃手を加えなければなりません。

 

たった4人で冒険を行う都合上、回復役に魔法・物理両攻撃担当を加えると、3人までの枠が固定されてしまいます。さらに物理攻撃担当はライダー技能の取得が推奨されるということまでほとんど規定路線です。

だんだん縛りが多くなってきました。

 

 

(4)先制判定は勝敗を左右する

レベルが上がるにつれて、先制判定が勝敗を分けはじめます。先制した陣営は、1ラウンドの間に100点を超えるダメージを相手陣営に叩き込むことができるため、圧倒的に有利なのです。戦闘における優位を保つためには、先制判定を必ず制する体制を整えなければなりません。

先制判定を行うためには、〈スカウト〉技能か、〈ウォーリーダー〉技能(『カルディアグレイス』収録)による鼓咆、〔軍師の知略〕がなければなりません。〈スカウト〉が必要になる強力な技能《ファストアクション》の習得のためにも、ダメージソースの面々に〈スカウト〉は欠かせません。しかし、そんな経験点の余裕があるのでしょうか?

 

また、〈ウォーリーダー〉による鼓咆は確かに強力ですが、少人数ではその利益も必然的に少なくなります。どのロールにこの技能を与える余裕が生じるのか、計算して組み込む必要があります。

 

同様のことが魔物知識判定についてもいうことができます。セージ技能の組み込み先は、経験値配分と戦闘特技習得とのバランシングを意識する必要があるのです。

 

ソード・ワールド2.0 ルール&データブック  カルディアグレイス

ソード・ワールド2.0 ルール&データブック カルディアグレイス

 

 

 

2.探索ロールのミニマルとは?

この辺りまで議論すると、忘れがちになるのですが、『ソード・ワールド2.0』はただ戦うだけのTRPGではありません。セッションでは、ダンジョンアドベンチャはもちろん、シティアドベンチャ、ウィルダネスアドベンチャなど、探索や謎解きを含む多様な局面への対応を迫られます。

そこで必要になるのが、探索技能です。『ソード・ワールド2.0』には3つの探索技能が用意されている他、それらの一部を代用できる〈ライダー〉技能を用いた探索判定が存在します。

 

パーティ内に必ず必要になるのが、〈スカウト〉と〈セージ〉の2つの技能です。これらの技能があれば、応急手当判定を除くすべての探索判定が実行可能になります。とはいえ、〈レンジャー〉技能の重要性も忘れてはなりません。魔晶石がまだまだ貴重な序盤において、魔香草や救命草に固定値の回復ボーナスを付与できる効果は無視できません。もちろん、そのためだけにレンジャー技能を習得するのも馬鹿げてはいるのですが、すべてのリソースが貴重な序盤だからこそ、この技能が生きるのもまた事実です。

 

《ファストアクション》を狙いたい火力アタッカーが〈スカウト〉を担当するならば、魔法アタッカーも〈スカウト〉を取得することが推奨されます。結果として、〈セージ〉を取得して《マナセーブ》を習得し、なおかつ高い知力ボーナスで諸判定を成功させることを担うのは、回復担当ということになります。

 

問題は、〈レンジャー〉を誰が習得できるか、という点にあって、この問題はまだ解決していません。

 

 

3.経験点配分の限界と組み合わせ

こうして、回復役の技能として、〈プリースト〉〈セージ〉が固定されます。次に、魔法アタッカーの技能は〈魔法技能〉〈スカウト〉が固定されます。さらに〈物理攻撃技能〉〈スカウト〉が固定された前衛キャラクターが生じ、最後に〈攻撃技能〉〈ライダー〉という前衛キャラクターが必要になることがわかります。

 

経験点の配分から言って、3つの技能に経験点を振るのが現実的な限界です。もちろん、レベル1〜3程度で成長をストップする程度なら、4つ目の技能を採用しても良いでしょう。

 

ここから問題になるのは、技能間のシナジーです。

〈セージ〉+〈プリースト〉の回復役にもう一つの技能をつけて、さらに特殊神聖魔法もシナジーのあるものを選ぶ必要があります。同様に、〈スカウト〉と共益関係のある魔法技能、物理攻撃技能を選択する必要があり、それぞれに適した第3の技能を選択しなければなりません。さらには、〈レンジャー〉を担当できるキャラクターを見つけ出し、序盤の支えにする必要も生じます。

 

こうなると、〈エンハンサー〉や〈アルケミスト〉(『アルケミスト・ワークス』収録)などの、汎用性の高い技能でさえも、習得経験値の配分が危ぶまれ始めます。ましてや、真智魔法の開眼やマギテックシューターともなると、経験点の不足が重くのしかかり始めます。

 

プレイヤーたちはこうした問題に頭を悩ませ続けましたが、最終的に議論は二つの案に収斂していきます。

  

アルケミスト・ワークス―ソード・ワールド2.0サプリメント

アルケミスト・ワークス―ソード・ワールド2.0サプリメント

 

 

 

4.種族ステータスを都合する

最後に問題になるのが、どの種族でそうした技能構成(戦闘特技構成)を実現するのか、という問題です。ここでは「生まれ表」とステータスダイス、【種族特徴】とが議題に上り、それぞれの役割を十全に遂行するために必要な種族が選ばれていきました。

 

結果として、意外なことに、「人間」が採用されない、という事態に至りました。ロールを意識すればするだけ、汎用性の高い「人間」の使い勝手は悪くなるようです。とはいえ、〈スカウト〉による先制判定の【運命変転】など、魅力的な要素はあるのですが。

 

 

…とにかく、こういった具合で議論が続きました。

最良のプレイヤーである某氏によって、大半のビルドが提案され、検討されたので、大部分は彼の功績と言っていいでしょう。最終的にたどり着いた構築は、まったく目を見張るものでした。それがどんなものになったのかは、動画投稿の日までのお楽しみ、ということにしましょう。

 

このキャラクターたちを使ってプレイする日が楽しみになってきたので、早速シナリオライティングに取り掛かろうと思う次第でありました。