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再びの反省会:クトゥルフ神話TRPGのプレイヤーが意識すること

昨晩、典型的なジャパニーズホラーっぽく作ったオリジナルシナリオ、『肝試しのあと』を、クライマックスの直前までプレイしてみました。

 

プレイヤーは『アンドロイド…』をプレイした伏原のプレイヤーと、新たにクトゥルフ神話TRPG初プレイのプレイヤーを一人招きました。

戦闘が得意な伏原と、交渉が得意な佐々木という二人チームになったので、プレイはかなり順調に進みました。

 

しかし、この『肝試しのあと』は、かなり自由度の高いシナリオであり、はっきり言って、初心者にはキツかったかな、と反省しています。そこで今日は、初心者がクトゥルフ神話TRPGをプレイした時に起こりがちな失敗を幾つか取り上げて、初プレイ時の注意点を整理しようと思います。

 

1.目的を見失うべからず

クトゥルフ神話TRPGには、大きく2種類のシナリオがあります。クローズドシナリオとオープンシナリオです。クローズドシナリオとは、閉ざされた空間の中で全てのイベントが進行するスタイルのシナリオです。一方、オープンシナリオは、東京を舞台にしたり、大きな街、あるいは国全体を舞台にして、自由に移動しながら事件の解決に取り組むスタイルを取ります。

 

どちらのシナリオに取り組む場合でも(特にオープンシナリオでは)、プレイする際に忘れてはならないことがあります。

それは、キャラクターの当面の目標を明確に定めることです。

通常、ゲームキーパーはプレイヤーの協力者ではないので、プレイヤーたちに現時点での目標を示してあげたり、得られた情報のうちどの点が重要なのかを述べることはありません。

それら個別の目標は、プレイヤー自身が定めなければなりません。ただ漠然と、「図書館に行って図書館ロール」とか「全ての部屋を回って目星ロール」とかいう漫然としたプレイをしていれば、キーパーによって重いペナルティが課されても文句を言えません。

自分のキャラクター(およびプレイヤー自身)が、現状をどのように認識し、何を目標にしてどのような手段を採用するのか、ということを、常に明確に意識しておく必要があります。

 

今回のプレイでも、初心者のプレイヤーのために、問題状況や目標を対話しつつ整理してあげる時間を一度設けました。しかし、そうした状況整理の重要性が伝わらなかったのか、その結果として行った行動の結果得られた情報が持つ意義を抽出することができず、シナリオが進むにつれ目的を忘却し、全くシナリオの本質と関わらないところに調査の矛先を向け始めてしまいました(ただプレイヤーとしての好奇心を満たすだけの方向に進み始めてしまったのです)。

マスタリングの失敗といえばそれまでですが、キャラクターが死にそうになっていても、直接に問題解決に寄与しない、プレイヤーとして知りたい情報を知るためだけに調査時間を費やすというのは、プレイヤーの側にも問題がある行動だと言ってよいでしょう。

 

 

2.何をするにもキャラクターの見解・能力がすべて

クトゥルフ神話TRPGは、たしかに、問題解決のゲームです。その意味では、ゲームが開始した時点で、全力で調査を行いたくなるのがプレイヤーとしての心というのもわかります。

しかし、冷静に、キャラクターの置かれた状況を整理してみてください。本当に、仕事を投げ出してまで取り組むほどの状況が整っているでしょうか?ただ「一緒に◯◯に行こう」と誘われただけで、その土地の古地図を紐解くでしょうか?ただ近所で起こった通り魔事件の噂を聞いて、それが過去の別の地域の事件と関わっているなどと想像がつくでしょうか?

 

そんな人間がいたら、ほとんどエスパーです。

 

シナリオの序盤では、大抵のキーパーは殺意を持っていません。どちらかといえば、シナリオの雰囲気に巻き込みたいし、時間経過式のイベントを一つ一つ発動させてあげたいとも考えているはずです。そうやってゆっくりと、背中から迫ってくる恐怖を楽しむのもまた、クトゥルフ神話TRPGの醍醐味なのです。

 

従って、たしかに目標を常に意識するのも重要ですが、同時に、不必要なまでに探索する必要もない、ということを忘れないようにしましょう。むしろ、序盤に根拠の薄い探索ロールを行ったために、本を見つけられなかったり、情報を得られないまま、再探索の必要性に気付けないという事態がおきかねません。

この失敗は、シナリオについてのメタ情報を得られている場合に起こりがちです。今回のシナリオでも、最近私が土地の謂れなどに凝っているという情報を知っていたために、プレイヤーたちはすぐに土地の謂れに飛びつきました。それゆえ、現地で発生した事件の調査は完全にスキップされてしまいました。

このような探索行動には、キーパーによるペナルティが課される場合があることを忘れないでください。

 

 

3.ゲームに集中すること

最後に、最も重要なことは、ゲームの世界に集中することです。キャラクターに部分的に自己投影するのもいいのですし、日本を舞台にしたシナリオなら、馴染みの場所に立ち寄るのもいいでしょう。いつも集まっているファミレスでもいいですし、よく使っていた喫茶店でもいいですし、知り合いの経営する古本屋でもいいです。そうした人々にゲーム内で接触するのは、また一つ愉快なことではあります。

しかし、ゲーム内の人物が全て、自分の知っている人だけで構成されなければ、全く振る舞いを想像できない、というのはやや難があります。挙句、現実の関連情報を調べることに時間を費やしたり、そうしたネタだけを話して過ごす時間が延びてしまったりすると、ゲームをプレイしているのか、ただ雑談をしているのか、曖昧になってしまいます。結果として、プレイ内の目標を忘れたり、情報の整理がおろそかになり、キーパーにとってもプレイヤーにとっても、アンハッピーなセッションに陥ってしまいます。

 

とにかく、ゲームのプレイ中はゲームの世界にいるキャラクターにならねばなりません。そしてそのキャラクターは、自分の欲求を満たすための仮想人格であってはなりません。あくまで、怪異に見舞われ、不安の中で可能な行動をとる人間であり、プレイヤーの欲求のはけ口ではありません。

 

以上の点に注意して、プレイするように心がけましょう。

 

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