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クトゥルフ神話TRPGのキーパリング分類

クトゥルフ神話TRPGのキーパリングには様々な方法があります。

 

今回は、多様なキーパリングスタイルを、「プレイヤーにいかなる能力を要求するか」に注目して分類してみます。

 

 

 

ゲームシステムに従う:ゲーム型KP

 クトゥルフ神話TRPGのゲームシステムにだけ従っていれば、プレイヤーはダイスロールを実施するだけで基本的には問題ありません。自身のキャラクターの発狂の種類を選ぶなどの判断は求められますが、それもキーパーと相談すれば能力としては要求されません。すなわち、ダイスを振ることができれば遊べるのがこのスタイルのキーパリングです。

 以下のすべてのキーパリングスタイルであっても、ゲームシステムに従ったダイス処理を求めないことはまず考えにくく、すべてのスタイルの共通の前提と言えます。

ゲーム型KPの利点

 誰でも等しく遊べる点で優れています。プレイヤーには情報処理やキャラクタープレイなどが要求されないため、初心者でも気軽にクトゥルフ神話TRPGを楽しむことができます。

ゲーム型KPの欠点

 一方で、キャラクターの行動をキーパーが指定し、ダイスロールもキーパーが指定するため、キーパーの発言量が自然と多くなってしまいます。セッション全体をこの形式でキーパリングせず、慣れてきた頃にプレイヤーからの探索提案を求めるなどして、発言量のバランスを取る必要があります。

 

 

発想力を求める:パズル型KP

 追加で発想力を求める場合、セッションは謎解きパズルの様相を呈します。ダイスロールのみによって問題が解決することはなく、集めた情報から何らかの仮説を作って行動を起こすことが要求されます。しばしば、ダイスロールのみによるプレイングよりも効率よく結末にたどり着く近道として発想力が評価される傾向にあります。

パズル型KPの利点

 プレイヤーたちに考える要素を与えることで、シナリオへの積極的な関与を求めることができます。この効果を得るために、発想力を求める部分ではプレイヤーたちの興味を引く内容で、納得できる正解を用意する必要があります。

パズル型KPの欠点

 正答を発想できなかったプレイヤーに、無意識に能力不足のレッテルを貼ってしまいがちです。発想力による解決はあくまで追加的な要素にとどめ、順番に調査を行えば正答を得られるように調整するか、情報が揃った段階で〈アイデア〉ロールによる謎解きの代替を受け入れるように心がけましょう。

 

 

理解力を求める:ストーリー型KP

 追加で理解力を求める場合、シナリオの表現意図や理想的結末を理解し、それに従った行動が高く評価されることになります。プレイヤーたちは次の展開を予想して演出を行う必要があるため、しばしばハンドアウトや事前情報・事前説明と組み合わされます。プレイヤーとキーパーが物語の方向性について同意している必要があるため、趣味の合う身内卓での運用に適しています。

 また、同時に多少の表現力を要求することになります。特に、シナリオの流れの方向はそのままに、その流れを早めたり、大きな流れに変えたりするプレイングが好まれます。そうした遊び方で楽しむことのできるプレイヤーでなければ、むしろ窮屈さに苦痛を覚えることもあります。

ストーリー型KPの利点

 プレイヤーとの同意が取れさえすれば、シナリオの持つドラマチックな演出に集中することができます。ストーリーテリングを目標としたクトゥルフ神話TRPGのシステムを十分に活用できるため、ホラー・ストーリーを描くには最適です。

ストーリー型KPの欠点

 予定されていた物語からの逸脱に弱いため、物語を理解できないプレイヤーや物語が趣味に合わないプレイヤーがいた場合、セッションの方向性を修正できず、独りよがりのキーパリングに陥ってしまいます。シナリオの趣旨の説明と、ハンドアウトなどを利用して、プレイヤーたちにかなり正確な予測を持ってもらい、賛同するプレイヤーとともに行うように気をつけましょう。

 また、先の読み違いによる物語の逸脱は悪いプレイではなく、それに応じて物語を変更する柔軟な姿勢が重要です。プレイヤーの理解力が及ばなかった場合、プレイヤーを責めるのではなく、常にそれを受け入れて、その方向で演出していくよう心がけましょう。

 

キャラクター表現力を求める:キャラプレイ型KP

 追加でキャラクター表現力を求める場合、キャラクタープレイが強く推奨されることになります。既存キャラクターになりきってのプレイングが知られていますが、そうしたセッションではキャラクターの個性表現にセッションの楽しさの多くを依存します。クトゥルフ神話TRPGのルールブックで想定されている遊び方とはいくらか離れてしまいますが、今日人気のある遊び方の一つとして知られています。

キャラプレイ型KPの利点

 キャラクタープレイを推奨することで、シナリオ内容以外に楽しさの核を置くことができます。シナリオの内容がそう凝っていなくても楽しむことができるため、キーパー自身の表現力やシナリオ制作能力への要求が少なく、気軽に遊ぶことができます。

 加えて、キャラクターを利用した発言が増えることで、キャラクターへの没入感を与えることができます。キャラクターの視点から状況を理解して発言することで、状況に即した行動を導きやすくなり、プレイングの制御がやりやすくなります。

キャラプレイ型KPの欠点

 一方で、キャラクター表現に熱中するあまり、プレイヤーたちがシナリオを忘れるリスクを常に内包しています。同様に、キャラクター表現に熱中できないプレイヤーが一人でもいた場合、そのプレイヤーの存在が忘れられる危険性もあります。

 キャラクター表現はあくまで没入感と楽しさをセッションに追加するための道具だと考え、セッション自体の進行をないがしろにしないように気をつけましょう。また、キャラクタープレイのみによって情報獲得の成否を決定することがないよう、積極的にダイスロールの機会を作るように心がけましょう。

 

 

調査力を求める:リサーチ型KP

 追加で調査力を求める場合、プレイヤーたちは何を知りたいかとか、どうやればそれを知ることができそうかなどを自ら提案しなければなりません。逆にキーパーもプレイヤーたちの提案に柔軟に応答し続ける必要があり、事前の用意はもちろんアドリブでの高い対応力が求められます。

 クトゥルフ神話TRPGでは技能の種類が多いため、シナリオ資料側で判定技能を指定してしまうとキャラクターによってはまったく活躍機会を得られないということも発生します。そうした失敗を避けるという意味では、プレイヤーに調査手段を委ねるスタイルはクトゥルフ神話TRPGに適していると言えます。

リサーチ型KPの利点

 プレイヤーたちの発案に展開を委ねるため、同じシナリオでもセッションのたびに異なる展開をみせ、プレイヤーたちに一回性の体験を提供することができます。また、いかなるマイナー技能に対しても対応を欠かさないようにすることで、多様なキャラクターに活躍機会を提供することができます。

リサーチ型KPの欠点

 プレイヤーの調査提案能力や情報処理能力に多くを依存してしまうため、複雑すぎるシナリオだと進行が滞ってしまうことがあります。同時に、あらゆる事態に対応するためにシナリオを練っておくと、裏設定やマイナー技能で得られる情報などが氾濫し、プレイヤー側のプレイ感として複雑な印象を与えがちです。

 パズル型と同じく、〈アイデア〉ロールなどを利用して調査過程をアシストしたり、調査候補地の一覧を地図で示したりして、プレイヤーの提案を補助することを心がけましょう。

 

 

まとめ

 クトゥルフ神話TRPGのキーパリング傾向として5種類を挙げてみました。どのキーパリングスタイルにも利点と欠点があるため、これらの考え方のバランスをとってキーパリングするのが理想的です。また、プレイヤーの趣味によってもどのスタイルが歓迎されるかは変化するため、セッション開始前にどういった方針でプレイしたいのかをよく相談してから遊ぶことを心がけましょう。