TRPGをやりたい!

TRPGのトビラをひらこう!

クトゥルフ神話TRPGシナリオの二重化という試み

群馬県みどり市、旧大間々を舞台にしたシナリオライティングを進めているのですが、ここでこれまでの反省を活かした、新しい試みを行うことにしました。

 

TRPGのシナリオを書く作業は、慣れている人でなければ難しく、なかなかプレイしやすく、なおかつ面白いシナリオを構築することは困難です。そんな人であっても、たとえば私が公開している「アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?」のような、一本道に限りなく近いシナリオならば、容易に構築することができるでしょう。

しかし、一本道シナリオは自由度が低く、プレイヤーによっては物語として楽しめても、ゲームとして楽しめない、というような事態が発生します。また、物語を楽しんでほしいあまりに、キーパリングで難易度を落としてしまうこともあるでしょう。

 

こうした難点を克服するために、今回以降のクトゥルフ神話TRPGシナリオは、「二重化」をキーワードに進めていくことに決めました。

 

1.一本道シナリオと自由シナリオ

先日の記事で、問題解決のゲームとしてのクトゥルフ神話TRPGというポイントに注目し、マスタリングとプレイングの難しいオープンシナリオをプレイする際の注意を整理しました。

trpg.hatenablog.com

その中で、問題解決に注力しすぎると、ゲームの雰囲気とリアリティがなくなってしまい、“イベント消化ゲー”と化してしまう、というような意味も含んだ指摘をしました。といって、ただただ知識欲から、細かい、問題解決と関係のない情報を収集すれば、キーパーからしっぺ返しを食らっても文句は言えない、ということも述べました。

 

たしかに、TRPGは“イベント消化ゲー”です。そして、“好奇心に任せた知識の勉強の場”ではありません。しかし、そういうプレイニーズが存在することもたしかですし、豊かな情報が配置されていた方が、プレイしていて楽しいこともたしかです。

 

ソードワールドシナリオを含む、これまでのシナリオでは、「一つの情報を得ると、次の情報への道標が含まれていて、確実に次の情報収集につながる」というような、イベント消化を目的とした鎖の連結シナリオの形式を採用してきました。いわゆる“イベント消化ゲー”として構築する、プレイアビリティの高いシナリオを意識していたからです。

 

一方、現在プレイ中の「肝試しのあと」では、全く逆に、オープンワールドに情報を配置して、自由な順番で情報にアクセスしながら、ゆっくりと忍び寄ってくる恐怖と戦う、という自由に遊べるスタイルを採用していました。こうしたシナリオはキーパリングが難しく、まだまだプレイ歴の短い私には手を出せないシナリオだな、と感じています。

 

2.二重化シナリオという試み

そこで、これから執筆するシナリオでは、シナリオそれ自体を二重のゲームとして構築することにしました。

 

シナリオの序盤で、二種類の情報の鎖を提供します。一方は、明らかに問題解決に寄与する情報で、こちらを順を追って調査していくだけで、シナリオのグッドエンドに到達することができます。もう一方の鎖は、連結がわかりにくく、どこに調査に赴いたらいいのかも、自分たちで考えなければなりませんが、調査を行えば、事件の本質を理解することにつながっていき、グッドエンドをこえる、ベター、ベストエンドの可能性に気付くことができます。

 

このように、イベント消化+自由探索というスタイルを採用することで、シナリオ資料は一層膨大になりますが、さらに完成度の高いシナリオへと昇華させることができます。

 

現在執筆中の群馬県旧大間々を舞台にしたシナリオ、「忘却の結末」は、この二重化スタイルの試作シナリオという位置付けになります。

 

 

3.エンディングの多様化と「考えるTRPG」

しかし、二重化シナリオはキーパリングの難易度も相応に高めます。

たとえば、日本の山羊飼育の歴史について知らなければなりませんし、神鹿の由来について知っておく必要もあるでしょう。日本の妖怪は網羅的に押さえておく必要があったり、縄文時代以降の神道の体系を押さえておく必要も生じるかもしれません。

何より、そうした要素がセッション中にプレイヤーの手によってどんどんシナリオに加えられていく中で、柔軟に本筋を改変し、新しいエンディングを構築する能力が求められることになります。

 

また、プレイヤーにも、本来のイベント消化の先にあるグッドエンド以外の、ベターエンドを自ら創造する能力が求められることになります。

シナリオ内に用意された情報は非常に多く、一方でゲーム内の制限時間は探索の限界を突きつけてきます。探れば探るだけ情報が出てくるものの、結局どうすれば、自分が望むベストエンドを創り出すことができるのか、プレイヤーは頭を使わなければなりません。

 

そう、このスタイルのシナリオでは、「自分が望むベストエンドを目指す」ことが重要になります。キーパー、あるいはシナリオライターは、あくまでグッドエンドしか用意してくれません。それ以上の結末は、プレイヤーとキーパーが、協力して作り上げるものです。

 

いったいどんな結末を望み、そのために何ができるのか。

ただのTRPGから、「考えるTRPG」へ。

これからはこの点を意識しながら、シナリオの執筆を進めようと思います。

 

trpg.hatenablog.com