【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.17】
【前回のあらすじ】
山守神社の神主、東願慈と相対した佐々木と伏原。技能を使わないサシの舌戦が始まり、佐々木があえなく敗退する。ここで進み出た伏原は、これまでの鬼畜シナリオで鍛えられた弁舌で、東を翻弄し始める。
救済はあるのか?
伏原「しかし、本殿が残っていない神社があるのですか?それはかつて祀られていた神様が可愛そうですね。」
シークレットダイス→??
伏原「本当に知らない様子を〈芸術(演技)〉で装って〈心理学〉に抵抗します。」
〈芸術(演技)〉ロール→成功
東「ええ、そうなのです。ちょうどこの神社と対になる神社とされておりましてね。名前もちょうど、山上神社と申します。」
伏原「そちらの神様は、今はどうしてらっしゃるのでしょうか?お社をなくせば、神様は荒れ神になると聞いたことがありますが…。」
東「いえ、『荒れ神』と申しますのは、人の理にございますから。人に利すとも利さずとも、等しく神様のご意思のままでございます。」
伏原「これ!今の発言、重要だと思います。念のため〈心理学〉振ってもらっていいですか?今の言葉が心から述べられたものかどうか。」
〈心理学〉ロール→??
KP「ええ、彼は普段から口にする挨拶と同じように、言い慣れている様子で、先ほどの言葉を述べていますね。恐らくは彼の信念の一つと言ってもいいのでしょう。」
伏原「つまり、この人、あの山の怪異が人を殺すのも、神の理の上ではさしたる問題ではないと考えていますよ。ってことは、人道に訴えて、助けを求めるのは悪手ですね。」
佐々木「…ほんとすごいな、このやり取り。」
伏原「では、もしも私たちに怪異が取り憑いているとしたら、いえ、もしも神様が私たちに何かの影響を与えているとしたら、私たちは彼の神にお伺いを立てなければならない、ということになるのでしょうか?そのうえで、神様が私たちの意思をお聞き届けいただけるかは、すべて神の理、というわけですね。」
KP「うん、これは負けたね。お見事!」
東「さようでございますな。神の理に対して実に謙虚なお方です。では、まずは直接山の神へご挨拶の上、こちらで改めて、正式にお伺いを立てて差し上げましょう。」
佐々木「つまり、何か儀式を行ってくれる、と。」
伏原「こんなもんですよ!ヘヘン!」
KP「いやあ、今回のシナリオの話術パートは終了ですかね。」
伏原「でも、儀式の内容について、この人から聞き出すのは難しい気がするんだよな。つまり、安全性もちょっと保証できない。だって、人命より神の理が優先してる人ですし。」
佐々木「残る調査の焦点は、そのあたりになるんですかね。」
伏原「でも、さっきも言った通り、儀式には危険や犠牲がつきものです。ある程度のリスクは受け容れないとダメでしょうね。」
おや?斎藤くんのようすが…
KP「それで、どうするんですか?もうあたりは暗くなっていますが。」
伏原「ぼちぼち斎藤が着きますか?」
KP「いえ、斎藤さんはもう少し山で写真撮ってます。」
佐々木「こんなに暗いのに!?」
KP「と、そこに、メッセージが届きます。斎藤さんからですね。」
伏原「生きてはいるみたいですね。」
KP「そのメッセージには、またしてもURLが載せられていて、写真チェックしてください、とだけ書いてありますよ。」
伏原「あ、死んでたみたいです。」
KP「勝手に殺さないでもらえるかな?」
伏原「だって、おかしいんですもん。あんなに怖がってた現場に、こんなに足繁く通って、写真をアップロードし続けて……って、このURL、まさか僕達以外も見られますか?」
KP「はい。それぞれの写真に一言コメントが書いてあって、心霊スポット製材所写真集と銘打った写真スライドになってますね。グーグル検索からのランディングも発生しそうです。シェアボタンも完備してますよ。」
佐々木「それがどうかしたんですか?」
伏原「…キーパー、この怪異って、あの時〈クトゥルフ神話〉技能で聞いた性質、持ってるんですよね?」
KP「ええ、そうですよ。」
伏原「たぶん、斎藤くん、完全に操られてます。彼の写真の腕を利用して、たくさんの人をあの心霊スポットに呼び込むつもりでしょう。インターネットまで知ってますよ、この邪神。」
佐々木「つまり…それは、もっとたくさんの人に取り憑くために、心霊サイトを利用するという方法を思いついた、ということですか?」
伏原「ひょっとしたら、もう思いついて“いた”のかもしれない。僕達も、それに誘い込まれたのかも…。」
佐々木「なんと…。」
伏原「もう一度あの山に赴くのが怖くなってきました…。」
KP「大いなる神の前に、人間とは、無力なものですな。」
佐々木「いずれにしても、さすがに夜中に再参拝するのは、得策じゃないんじゃないですか?」
伏原「僕もそう思います。だって、覚えてます?今回のシナリオの冒頭で、キーパーは、“慎重に行動すれば戦闘は全て避けられる”って言ったんですよ?狂人とはいえ、シナリオ開始前の言葉にだけは、嘘がないんですよ。」
佐々木「つまり、夜になんて不用意に動けば…」
伏原「姿の見えない『夢蛭』と戦闘になるかもしれない、と。」
佐々木「今日この神社に泊めてもらえるよう手配しますか。」
伏原「そうしましょう。」
KP「と、話している二人の後ろから、例の声が聞こえます。」
東「お三方。本日はこの社務所に泊まられてはいかがでしょうか。儀式の用意には時間がかかりますゆえ、明日の夕方までお待ちいただくことになります。ここに寝泊まりした方が、何かと安心でございましょう。」
伏原「協力的になった!?」
KP「まあ、ボーナスということで。」
佐々木「では、お言葉に甘えさせていただきます。望美ちゃんと同じ部屋で眠れるんだし。」
KP「一応、別の部屋があてがわれてますが。」
伏原「いえ、同じ部屋で、起きて監視してもらわないと、朝には僕らが殺し合って死んでいる可能性もありますよ。」
佐々木「そうだった…そういう状態だった…。じゃあ、望美ちゃんには悪いけど、監視しておいてもらいましょう。」
KP「望美ちゃんは引き受けてくれますけど、正直激務と運転でかなり疲れてますからね。朝になったら寝かせてあげてくださいよ?」
伏原「それで、斎藤の合流は何時ですか?」
KP「10時ですね。」
佐々木「来てはくれるんですね。」
伏原「斎藤くんには、神社の鳥居の前に車を止めて待ってろ、とメッセージを送っておきます。そのうえで、彼が来るまで時間を飛ばしてください。」
KP「了解です。」
KP「さて、斎藤くんから連絡が来ますね。」
斎藤「つきましたけど、みなさんどこにいるんですか?」
伏原「鳥居のところまで行きますよ。もちろん、そこから先へは出ませんけど。」
斎藤「あ、来た来た、皆さん中にいたんですね。」
KP「そう言って、斎藤君も中に入ろうとしますが、例によって体が神社へ入ることを拒みます。」
斎藤「ん?え?あれ?…これが、お二人が言ってた金縛りですか?」
SANチェック→失敗 減少値 2
佐々木「後ろには戻れるはずだから、まずは落ち着いて。」
KP「斎藤くんは後ろに下がりますね。」
伏原「望美ちゃん、斎藤くん、縛ってくれる?」
望美「また車で運ぶんですか?」
伏原「いや、反対のロープの端を持って帰ってきて。」
望美「…?はい。」
KP「望美は言われた通りにしますね。」
伏原「まだ僕たちの車は境内の傍に停めてありますよね?」
KP「はい。ありますけど?」
伏原「斎藤を車で牽引します。」
KP&佐々木「はぁ!?」