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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.16】

【前回のあらすじ】

位牌山の麓で、かつて『夢蛭』を祓った神社。伏原と佐々木は、望美を伴って山守神社を訪れる。そこで待っていたのは、奇妙な雰囲気を持った神主、東願慈だった。

東願慈を味方につけるべく、二人は策を巡らせる。

 

 

神主 東願慈との話術戦

KP「では、準備はいいですかね?」

伏原「しばらく会話したら、また相談タイムに入っていいですか?」

KP「ええ、ご自由に。では、始めましょうか。」

 

KP「では、あなたたちが社務所に向かうと、内側から扉が開けられ、丁寧に三つ、スリッパが並べられていますね。東さんはそのまま踵を返して、廊下を先に進んでいきます。」

伏原「やっぱり勝手な人だ。」

KP「三人が東さんを追って進むと、東さんは一つの部屋の襖を開けて、中に入ります。」

佐々木「入りましょう。」

東「まずは、ようこそいらっしゃいました。面会の予約までおとりになられたそうで、いったいどういったご用事でございますかな。」

佐々木「…神主さん。私たちに、何かが取り憑いているんですか?」

伏原「ちょっ!だから!佐々木さん!」

東「『取り憑いている』と申されますと、いったいどのような異変に見舞われていらっしゃるのですかな。」

佐々木「ええ、この右腕なのですが、こうも不気味に腫れてしまっているのです。」

伏原「…。も〜頼みますよぉ…。」

東「なるほど。それを、あなたは、何かに憑かれたがゆえのこととお考えに。」

佐々木「ええ、しばらく調べたところ、『ユメビ…」

伏原「ストップ!」

佐々木「え?」

 

伏原「このキーパーはですね、こういう人を使わせると右に出るものがいないんです。だって今の会話、こちらの質問に何も答えてないのわかりますか?」

佐々木「…あ、ほんとだ。」

伏原「情報を何一つもらえないまま、気づいたらこっちが情報を渡し続けてしまうんですよ。」

KP「もうちょっと踊らされてからのストップでもよかったんじゃないですか?」

伏原「よくないです!」

佐々木「でも、どうしたらいいんですかねぇ。」

伏原「まずは、相手をのせることです。こちらがあえて曖昧に話して、核心部分を相手の口から話してもらう。その言葉遣いを見て、相手の話法に沿った話し方で、自分たちの状態を話してみれば、スムーズに話せるようになります。」

佐々木「…わからん。」

KP「せっかくだから、佐々木さんにやらせてみてあげてくださいよ。」

伏原「それで死んじゃったら元も子もないじゃないですか!」

KP「大丈夫ですよ。僕は狂人ですが、鬼ではないので。」

 

 

再戦の火蓋が切って落とされる

佐々木「それで、しばらく調べたところ、『夢蛭』という怪異が取り憑いていると言うことがわかったのです。」

東「なるほど。それはまた酔狂な話ですな。して、その『夢蛭』というのは、いったいどういう怪異なのでしょうか?そして、なぜ『夢蛭』だと判断なされたのでしょう?」

佐々木「『夢蛭』は、なんでも夢の世界に実態を持つとか。私たちもよくはわからないのです。ですが、その性質が、非常に似ているのですよ。」

東「なるほど。それで、私のところに来たのはどういうわけで?お祓いをせよ、ということですかな。」

佐々木「…単刀直入に申しますと、私たちが助かるには、どうしたらいいのでしょうか?」

東「さて、どうすればよいのでしょうな。ま、神のみぞ知る、と申しましょうか。」

佐々木「調べたところによると、この神社で一度、『夢蛭』を祓ったと聞きます。あなたにも、その術が伝わっているのではありませんか?」

東「祓った、といえば、まるで人間が神を思うままに打ち払ったかのように聞こえますな、いや、興味深い。」

 

佐々木「…だめだ。助けてくれる気が微塵もしない。」

伏原「わかりましたか?このキーパー、素で狂ってるだけのことはあるんですよ。」

KP「お褒めに預かり光栄です。」

伏原「だから褒めてませんて。今の一連の返答だと、〈心理学〉すら振れないんですよ。」

プレイヤーズメモ:心理学

技能〈心理学〉は、相手の話し振りを見て、そこに乗せられている感情を見抜いたり、嘘が含まれているかどうかを推測したりする技能です。通常の技能と異なり、ダイスはゲームキーパーが、見えないところで振ります。探索者に伝えられるのは、結果に応じたキーパーのコメントだけです。つまり、〈心理学〉が成功したのか、失敗したのかわからないまま、相手の感情の推測結果だけが伝えられる技能です。

対話の場面では重要な役割を果たしますが、そのかわり、「嘘は言っていない表現」や「一般命題による返答」、あるいは「質問による返し」などによってはぐらかされると、この技能を使って相手の様子を探ることができません。便利な技能ですが、これに頼っているだけでは、舌戦に勝利することができないのです。

伏原「こういう相手から有効な情報を聞き出すためには、ひと工夫もふた工夫も必要です。ちょっと僕がやってみます。」

KP「では、東さんがあなたに声をかけるでしょうね。」

 

 

舌戦:伏原 vs 東願慈

東「そちらの方も、同じようなご経験をなされていらっしゃるのですかな?」

伏原「ええ、そうです。それで、今日はこちらの神様に、私たちの姿をお見せして、お伺いを立てようと、こちらに参拝させていただきました。」

東「なるほど。それは実に喜ばしい態度ですな。」

伏原「神主さんにそのように言っていただけると、こちらもありがたい限りです。」

東「いえ、私はただの使いにすぎませぬゆえ。」

伏原「『使い』と申されますと、どのような神を奉ってらっしゃるのでしょうか?」

東「ええ、わたくしどもは、経津主神を奉っております。東国一帯に建立されております、赤城神社の系譜ですな。」

伏原「ああ、あの赤城神社の!ということは、やはり、この土地については、神主様が最も多くの伝承を、受け継いでいらっしゃるのですね。」

東「いえいえ、この神社は東国の中でもやや外れの地ですからな。より格式高い家系には及びますまい。」

伏原「いや、神社の格式についてはよく存じ上げませんが、この土地の神社の中では、間違いなく一番大きな神社とお見えしますよ。」

東「ということは、この辺りの他の神社にご参拝なされたのですかな?」

伏原「はい、祝山の山上神社に。あちらにも、相応に立派な本殿があったようにも記憶していますが…。キーパー、この返答に〈心理学〉を使います。」

東「山上神社に参拝なされた、と。して、あそこには本殿が残っておりましたかな?」

〈心理学〉ロール→??

KP「あなたは、東が何かを知っていてとぼけているように見えます。」

伏原「一つ目、情報獲得です。『夢蛭』に取り憑かれたら神社が見えることを知っていますね。ということは、『夢蛭』についても知っていますし、その原因があの山の神であり、その大元の荒れ神を祀っているのが山上神社ということまで知っています。つまり、おそらくですが、この神主は、ただのいけ好かない、空気読めないやつではなくて、多分解決策まで知っている、超重要人物であると考えていいでしょう。」

佐々木「…こんなのできるわけがない!」

KP「あら、僕のマスタリングではわりとよくあることですよ?」

伏原「おかげで、リアルの方の話術技能が上がりましたよ?」

KP「続けましょう。」

 

伏原「さて、どうだったか。あのとき参拝したのは、別の山かもしれませんので。実は、よく社名も覚えていないのです。しかし、本殿が残っていない神社があるのですか?」

KP「うーん、伏原さん、上手くなったなぁ。」

伏原「日々あなたと話してますからね!」

 

 

Part.17へつづく

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