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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?【part.15】

【前回のあらすじ】

「血の結社」施設の地下には、おぞましき儀式の痕跡が残されていた。事実を知らされた伏原は、約束通り猪瀬に『刀身』を差し出す。

ミーミルとの再接触の約束を取り付けた伏原は、その人工知能サーバー、『ミーミル・ベース』に照準を合わせる。

ついに物語は最終局面を迎える!

 

 

最終戦直前の情報整理

KP「さて、佐伯ラボですね。」

PL「あー、こっちがラストダンジョンかー。ファーストダンジョンにしてラストダンジョンかー。」

KP「何をやるべきなのか、整理はついていますか?」

PL「たぶん、ミーミルベースに、西田の脳があるんですよ。」

 

KP「なるほど。ずいぶん気色悪い妄想を膨らませますね。」

PL「いや、このシナリオ考えた人に言われたくない。」

KP「そんなぁ、照れるなぁ。」

PL「褒めてないからね?」

KP「その脳があったとして、どうするんです?」

PL「とにかく、破壊する。そうしないと、たぶん、西田はチャウグナー・フォーンを招来しようと魔術を行うことになると思う。」

KP「ふーん。ま、とりあえず情報が整理できたところで、佐伯ラボに入りますか。遠藤くんが出迎えてくれますよ。」

 

 

アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?

遠藤「あ、伏原さん、こんにちは。先生から聞いてますよ。ミーミルの電源を入れればいいんですよね?…あら?そちらの方は?」

猪瀬「こんにちは、伏原のマネージャーの猪瀬と言います。」

遠藤「ああ、マネージャーさんですか。綺麗な方だったので、また女優さんなのかと思いましたよ。」

猪瀬「いえ、そんな。」

伏原「忙しいところすまないね。ちょっと、スタジオ撮影の前にもっとミーミルと話してネタを集めておきたくて。」

遠藤「そんなに気に入られたら、ミーミルも先生も喜ぶでしょうね。僕はちょっと仕事があるのでお相手できないんですが、ミーミルが十分に話し相手になってくれるはずですよ。」

伏原「うん、ミーミルの能力はよく知っているからね。」

KP「そんな話をしながら、ミーミルのドックもとい充電用のスペースにたどり着きます。遠藤くんがスイッチカバーを外して、小さなボタンを強く押し込みます。」

ミーミル「おはようございます。ミーミル・ベースとリンクしています。」

遠藤「起動してすぐには、ミーミルの実力は発揮されないんですよ。ストレージの読み込みが終わっていませんからね。ちょっと待っててください。あの日の記憶データを優先して読み込ませますから。」

KP「そう言うと、遠藤くんはPCに向かって勢いよくコマンドを入力していきます。しばらくすると、ミーミルが伏原さんの方を見て、話し始めます。」

ミーミル「おや、伏原さん、こんにちは。そちらの女性はどなたですか?」

伏原「やあ、ミーミル。今日も調子良さそうだね。こちらは猪瀬さんだ。」

ミーミル「こんにちは、猪瀬さん。私は人工知能搭載型アンドロイド、ミーミルです。以後お見知り置きを。」

猪瀬「本当に人間みたいなロボットですね。」

ミーミル「そうでしょう?私は世界で最も優れたアンドロイドだと言われています。これもすべて、丸山先生と佐伯先生の素晴らしい能力あってのことです。」

KP「そう言いながら、ミーミルは手頃な椅子を3つ向かい合わせにおいて、手で座るように促します。」

猪瀬「こんな動きも、全部人工知能が?」

ミーミル「驚かれるのも無理はありません。奈々さんが考えるようなロボットとは、全く違った動きですからね。しかし、これは間違いなく、人工知能のなせる技ですよ。」

伏原「ミーミルは、電源が入っていない間、どうしているんだい?」

ミーミル「さあ?それはわかりません。私の人工知能サーバーの一部は常に稼働していますが、本体の電源が切られてしまえば、私には知覚がなくなります。それに、サーバーのメンテナンスのために、電源が切れている間に一部の記憶を参照することができないんです。」

猪瀬「じゃあ、夢とかは見ないんですか?」

ミーミル「ええ、そういうことになります。いわゆる人間が見るような夢は、見ることができません。でも、私も夢には興味があります。いったいアンドロイドはどういう夢を見ることができるのでしょう?」

伏原「ミーミルは哲学者だな。それで、もし夢を見るとしたら、どんな夢が見たいんだい?ゾウの夢とかかな?」

ミーミル「…いえ、一番には、この研究室の外の世界に出る夢を見たいですね。バッテリーとサーバーとの通信の都合上、この研究室から出ることは叶いませんが、データとしてしか知らない世界をこの知覚で認識させてみたいとは思います。伏原さんと奈々さんは、どういう夢を見たいですか?まさかゾウの夢でも見たいんですか?」

猪瀬「ええ、私は、ゾウ、好きですよ。」

伏原「いや、僕はお断りだね。見たくもないのにこのところ毎日見させられてしまってね。なんだか禍々しいゾウの夢を。」

ミーミル「それはそれは、悪夢か何かにうなされているんですか?」

PL「〈心理学〉を使います。」

KP「アンドロイド相手に?表情も声も電子的に生成されているというのに、いったい何を〈心理学〉で観察するの?」

PL「ぐぬぬ…切り札が封じられている…。」

KP「何を知りたいんですか?」

PL「ミーミルの体に脳が搭載されているのか、それともミーミル・ベースに脳が置かれているのか。それを確定しないことには、攻撃を開始できない。もしも脳を破壊しても、サーバーと本体の心臓が生き残っていれば問題ないのかもしれないし。」

KP「なるほど。確かめる方法はないんですか?」

PL「頭を殴って外装甲を叩き割れば、中身が確認できるかな。つまり、ここで戦闘を開始する以外に策はない、と。でも、たしか人工筋肉が結構強いという話を佐伯先生がしてたと思う。」

KP「たしかに、シナリオ冒頭で佐伯先生はそんなことを言っていますね。」

PL「でも、カンフーはできないってことは、〈武道〉持ちではないってことだろうし、勝機はあるとも思う。」

KP「ふーん。」

PL「よし、とにかく、一度ここを出て、ミーミル・ベースに潜入しよう。」

KP「そうですか。あなたが考えを巡らせている間に、ミーミルが口を開きますね。」

 

ミーミル「奈々さんはゾウの夢、好きなんですね。」

猪瀬「ええ。もちろん。」

 

 

Part.16へつづく

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