魔法使いを作ろう(2) 魔法使いのための杖の選び方【ソード・ワールド2.0】
前回、ソーサラーを基軸とした攻撃型魔法使いの3つの育成方針を示しました。
これからこの3つの方針がどれくらい有効なのかを検討していくのですが、その前に、それぞれの方針における杖の選び方について考えてみましょう。
今回の考察に当たって、ルールとしては次の解釈を行いました。
《武器習熟A/スタッフ》を習得した状態で、杖を発動体として利用した攻撃魔法には算出ダメージに1点が加算される。
同様に《武器習熟S/スタッフ》を習得すればさらに2点の追加ダメージが加算されます。重要なのは、魔力の追加ではないということです。行使判定の達成値に対して、《武器習熟》はなんの効果も果たしません。
この前提に基づいて、現存する杖がどのタイプの魔法使いにとって利益が大きいのかを確認していきましょう。
杖選びの基本
ソーサラーが杖選びをするとき考えなければならないのも、やはり戦闘時にどのような行動をするのかというイメージです。すでに3つの異なる戦闘スタイルを提案していたので、それをおさらいしてみましょう。
(1)《魔法制御》型=敵前衛の雑魚に対する火力支援
このタイプで優先的に上昇させる必要があるのは、ダメージの固定値です。複数体に対する範囲攻撃を行うため、ダメージの上昇効果は対象数の分だけ乗算的に増えることになります。ボスの抵抗を抜くことを前提としないこともあり、魔力の優先度はダメージ固定値の優先度には劣ります。
(2)《魔力強化》型=敵のボスの抵抗も抜き去る一点突破型
このタイプで優先的に上昇させる必要があるのは、魔力です。敵の抵抗を抜き去ることができなければ存在意義がなくなるので、徹底的に魔力を上昇させることを意識しましょう。ダメージ固定値を増やしてもクリティカルによるダメージ上昇効果には及びません。固定ダメージにリソースを費やすなら、ダイスによる失敗を防ぐような対策を張り巡らせましょう。
(3)《鷹の目》型=敵後衛を含む全体に《魔法拡大/数》による高出力攻撃
このタイプで優先的に上昇させる必要があるのは、MP消費効率です。単発火力が高い代わりに敵の数だけ拡大して運用するこの型では、すぐにMPが枯渇します。そこで杖選びの段階でも、MP消費効率を向上させることを一番に意識する必要があるのです。
これら3つの型では優先事項が異なるので、最終的に目標となる杖は当然変わることになります。また、それぞれの型で優先的に取得する戦闘特技も異なるため、どのレベルの《武器習熟》まで習得することができるのかも変わってきます。これらを総合的に考えて、それぞれの型における理想的な杖を選出し、そう言える理由を解説していきましょう。
魔法制御型ならリーチスタッフ?
制御型ならダメージを最優先する…それなら、ランクAのリーチスタッフが最適だと判断することができます。魔法ダメージ+2の追加効果は範囲魔法の対象数だけ倍加した効果を発揮してくれます。
…しかし本当にそうなのでしょうか? 同じAランクのスタッフに魔力を+1してくれるマナスタッフがあります。こちらなら相手の抵抗を抜く可能性も増えますし、ダメージも1点増えます。
早速計算してみたところ、魔力と精神抵抗力が拮抗しているか抵抗力の方が高い状態では、明らかにマナスタッフの方がダメージ期待値が高くなります。しかしこちらの魔力の方が高い状況ではリーチスタッフの方が強いということになります。
こちらの魔力 ≦ 敵の精神抵抗力 → マナスタッフ
こちらの魔力 > 敵の精神抵抗力 → リーチスタッフ
つまりどちらのスタッフを利用するにしても、成長が鈍化する高レベル以降はマナスタッフを運用するのが最適と言えます。低レベルから中レベル帯で、ソーサラー技能を単独で成長させて他のパーティメンバーよりも高レベルの状態を保てている場合にのみ、リーチスタッフにも活躍の場があります。雑魚やボスの周りの取り巻きを排除することに特化した魔法制御型の性質から言っても、中盤にリーチスタッフを運用する選択も十分に考えられるのです。
したがって魔法制御型では、次の戦闘特技の取得が推奨されることになります。
《魔法誘導》《魔法収束》《魔法制御》《武器習熟A/スタッフ》《クリティカルキャスト》
これでもなお戦闘特技枠に空きがあるので、《武器習熟S/スタッフ》《武器の達人》を習得して、アイオーン*1を持つ余裕もあります。最終的には魔力+2の効果を持ったこの杖を運用するのが火力的には最良である点に変わりはありませんので、魔法制御型を運用する場合には武器習熟の習得も候補に入れておきましょう。
魔力強化型ならソーサラースタッフ!
ボスであっても容赦なく抵抗を貫くことを目標にした魔力強化型では、行使判定の達成値を+2するソーサラースタッフが魅力的に映ります。ランクSスタッフであるソーサラースタッフを持てば、行使判定に+2、武器習熟により与えるダメージに+3が加わることになります。これはマナスタッフを運用するよりも効果的です*2。
そして実はアイオーンを運用するのと与えるダメージに2点の差しか生じません。たった2点の追加ダメージのために毎ラウンドMP−2の代償を負う必要はありません。クリティカルによるダメージ増加を望む魔力強化型なら、文句なしにソーサラースタッフが最良の選択と言えます。
したがって、魔力強化型は次の戦闘特技の習得が望ましくなります。
《魔法誘導》《武器習熟A/スタッフ》《武器習熟S/スタッフ》《魔力強化》《クリティカルキャスト》
この型であれば《武器の達人》を習得する必要がありませんので、その分を《魔法拡大/**》の習得に充てましょう*3。
鷹の目型ならブラックロッド1択
これは揺るぎません。《鷹の目》で《魔法拡大/数》のエネルギー・ジャベリンやサンダーボルトを叩き込む以上、MP消費効率を向上させるのが至上命題です。MP消費が1減れば、敵の数だけその効果を得られます。セージを同時に成長させて、MP消費−3の状態を目指しましょう。
とはいえ、この方法で乱打できる魔法としては上述の二つが限界です。それ以上の魔法、特に超越魔法を《魔法拡大/数》しようとすれば、MP軽減はほとんど意味のないほど軽微な差しか生み出さなくなります。もしもそこまで上位の魔法を行使したいなら、MP軽減を習得せずに一撃の元に戦闘を終了させるべく、アイオーンの装備を試みましょう。
鷹の目型で習得が望まれる戦闘特技は次のものになります。
《魔法誘導》《鷹の目》《魔法拡大/数》《MP軽減/ソーサラー》《魔晶石の達人》《武器習熟A/スタッフ》《武器習熟S/スタッフ》
したがって戦闘特技枠が固定されることになります。また、技能習得としてもソーサラー+セージの型が決まってしまうため、工夫の余地が少ない型と言うことができます。先述の通り、《MP軽減/ソーサラー》の枠を《武器の達人》に充て、1ラウンドで戦闘を終了させることを目指すアイオーン派生型の運用もあり得ます。
まとめ
やや長くなってしまいましたが、これで今回の考察は終わりです。
今回はそれぞれの型の最終的な杖の候補を選定しました。
《魔法制御》=アイオーン or マナスタッフ
《魔力強化》=ソーサラースタッフ
《鷹の目》=ブラックロッド
この考察を通じて、それぞれの型で必要になる《武器習熟》の枠数も把握できました。これでようやく、それぞれの型に特化したビルドを考察することができそうです。
次回は具体的なビルドを提案してみて、3つの型の育成プランを仮設してみましょう。その後、経験点増加に従った魔力増加の推移を検証する方向に発展していければと思います。最終的に3つの型がどの程度有効なのか明らかにするためには、あと3〜5記事程度の考察が必要なのではないかと嫌な予感を抱きつつ…