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魔法使いを作ろう(1) 魔法使いを作るときに意識すること【ソード・ワールド2.0】

新しいキャンペーンに参加することになり、わいわいとキャラクター作成をしていると、魔法攻撃を担う魔法使いのビルドについて、次のような話題が出てきました。

 

「ソーサラーが《武器習熟/スタッフ》取る意味ってどれくらいあるのかな?」

 

全てはこの疑問がはじまりでした。ここから私たちによる魔法使い作りの議論が始まったのです。

3回程度のシリーズを通じて、ソーサラーやコンジャラーをメイン技能にした構築に多様な可能性があることを示しつつ、成長プランとそれぞれの型がもつパーティ内での役割(ロール)を分析していきます。

 

第1回の今日は、ソーサラー系魔法使いだけでも少なくとも3つの型が存在することを中心に、今回の「魔法使いを作ろう」シリーズの意義をみなさんにお伝えできればと考えております。

 

 

 

魔法使いはバリエーションが少ない?

はじめにこの疑問の背景を確認しておきましょう。

この疑問の背景には、初心者におこりがちな誤解が関わっています。すなわち、近接攻撃の技能と違って魔法攻撃では戦術に多様性がなく、高威力魔法を叩き込むだけの仕事だという誤解です。

 

たしかにファイター技能だけに注目しても、

  1. 魔法剣士魔力撃ファイター
  2. 魔法剣士マルチアクションファイター
  3. 全力攻撃系2Hファイター
  4. かばう+防具習熟系タンクファイター
  5. 高所攻撃型アタッカー騎士ファイター
  6. ブロッキング型前線保持騎士ファイター
  7. 二刀流ファイター

というように、多様な型を思い浮かべることができます。

その一方で真語魔法・操霊魔法系の魔法使いはというと、ソーサラーなら攻撃、コンジャラーなら補助とゴーレム操作という役割はイメージできますが、型と言えるほどの違いが生じるのか甚だ疑問になってくるのです。

 

この誤解を抱いたままだと、

1 魔法誘導

3 魔法拡大/数

5 魔法収束

7 魔法制御

9 魔法拡大/範囲

・・・

といった散漫とした技能取得を行ってしまうことになります。このような方法で育成すると、序盤はMP不足から活躍しにくくなり、後半は敵の精神抵抗を克服できなかったり、近接攻撃メンバーに比べ攻撃回数が少なくなってダメージ不足に陥ったりして、パッとしなくなってしまいます。

 

 

アタックソーサラーの型を分ける3つの戦闘特技

様々な議論が交わされた結果、3つの戦闘特技の習得が型を分けるのではないかという見解に収束していきました。3つの技能とは…

 

《魔法制御》

《魔力強化》

《鷹の目》

 

この3つです。

なぜそう言えるのか、少し解説をしていきましょう。

 

(1)《魔法制御》の場合

戦闘特技として《魔法制御》を採用するということは、最終的に運用する魔法はブリザード(レベル10)やメテオストライク(レベル15)といった範囲魔法です。これらの強力な範囲魔法を躊躇なく繰り出すためには、魔法制御が必要不可欠です。しかし《魔法制御》の習得には合計で特技枠を3つ消費してしまいます。このため、他の技能から確実に必要なものを選ぶ慎重さが求められます。

ここで注目したいのは、範囲攻撃を利用するということは、攻撃の主眼はボスに対するダメージにはないということです。ボスにも一定のダメージを与えることが期待はされるものの、敵対するエネミーのうちボスではないメンバーの抵抗さえ抜ければ十分仕事をすることができます。

したがってこの型を目指す場合には、魔力の上昇はそこまで考える必要はありません。もちろん雑魚たちの抵抗を抜く必要はあるので、ある程度の保証は必要になります。しかしそのリソースを他に割くことも一考に値します。

また範囲魔法を使えばMP効率は比較的よくなります。一発あたりの消費は大きいのですが、《魔法拡大/数》などによって消費量を倍加させる必要がないため、与えるダメージ量に対するMP効率はよいのです。したがって、MP消費量を軽減する特技の重要度も下がります。

以上の点から、雑魚を薙ぎ払う際に有効な戦闘特技を採用するのが望ましいことになります。《クリティカルキャスト》や《魔法拡大/範囲》*1、《武器習熟A/スタッフ》といったものを補助的に採用しましょう。雑魚の抵抗を抜いて前衛の負担を軽減するこの型は、おそらくソーサラーの最も模範的な構築でしょう。

 

《魔法制御》型の結論=雑魚をひと薙ぎに蹴散らすことを重視

 

 

(2)《魔力強化》の場合

《魔力強化》を採用したときに忘れてはならないのは、これを取得しても与えるダメージは1点(特技が成長しても2点)しか変わらないということです。つまり与ダメージ上昇効果としてはあまり多くを期待することはできません。

しかしもし魔力の上昇によって相手の抵抗を抜き去り、防護点を無視した魔法攻撃でクリティカルを発生させれば、相手に痛撃を与えることができるのは間違いありません。つまり魔力の上昇は相手の抵抗を抜き去るためにあります。

この結果として生まれるのがピンポイントアタッカー型です。とにかく行使判定の達成値を高くすることを目指し、ハイマンの魔力ボーナス(あるいは人間の運命変転)や高レベルスタッフによる行使判定ボーナスを重ね、《ルーンマスター》習得後は《クリティカルキャスト》とレア特技《魔法拡大/確実化》を駆使してボスに対する強烈なクリティカルヒットを試みます。したがって《武器習熟A/スタッフ》《武器習熟S/スタッフ》も必要になります。ここまで戦闘特技が重なれば、《魔法誘導》が習得枠として限界なのは目に見えています。「対象:単体」の魔法に絞って行使すると心に決めましょう。

この型の利点は、ボス相手に不利なステータス変化を与える魔法も行使できることにあります。ここで重要なのは、魔法の数量を拡大した薙ぎ払い戦術は採用可能戦術から除外することです。射撃魔法のために《魔法誘導》は必要になるかもしれませんが、《魔法拡大/数》《魔法収束》《魔法制御》の優先度は下がります。その分を《武器習熟A/スタッフ》《クリティカルキャスト》などに充て、単体火力・ステータス異常発生魔法で勝負することを常に意識しましょう。

いやどう考えてもロマン型なんですが…(ボソリ

 

《魔力強化》型の結論=抵抗を抜くことに集中する

 

 

(3)《鷹の目》の場合

以上の二つと明確に異なる戦略でダメージソースとして活躍することができるのは、《鷹の目》を採用する場合だけです。

《鷹の目》があれば、敵味方が入り乱れていない敵後方エリアに(《魔法制御》なんていう面倒な技術なしに!)範囲魔法を叩き込むことができます。この場合、宣言特技は《クリティカルキャスト》と《魔法拡大/数》を組み合わせるように計画するのが適切でしょう。

というのも、この型の場合には、本来「対象:1体」の魔法を《魔法拡大/数》で運用する可能性も考慮する必要があるからです。《魔法制御》を習得していないので、この戦略を採用しても戦闘特技枠の損失がなく、同時に範囲魔法より強力なダメージが期待できるのです*2。しかし魔法の同時行使によってMPの大量消費が発生するのは目に見えています。

そこで《鷹の目》と合わせて採用したい戦闘特技は、これまでと全く異なるものになります。すなわち《MP軽減/ソーサラー》と《マナセーブ》、さらには《魔晶石の達人》、可能なら《武器習熟S/スタッフ》によってブラックロッドを装備し、基礎消費MP−3の状態で複数の魔晶石を使ったMP節約型の拡大行使戦術の採用が期待されます。

 

《鷹の目》型の結論=数拡大に耐えられるMP消費軽減を心がける

 

 

本日のまとめと次回予告

ソーサラーはいろんなことができるからこそ、何をやるのか計画してキャラクター構築をする必要があります。

それぞれのレベル段階でどの魔法を行使して戦闘に貢献するのかを決めておけば、ソーサラーの構築は難しいことではありません。すべてのソーサラー技能を利用しようと欲張るのではなく、習得する魔法の中から得意な魔法を選び、それを活かす戦闘特技を組んでキャラクターを作りましょう。

 

このように実は複雑な構成をしているアタッカーソーサラーなのですが、次回はそれぞれの型に応じた杖(スタッフ)の選び方と武器習熟の有効性を考えてみましょう。おそらくデータが多用される回になるのではないかと思います。お楽しみに。

 

 

trpg.hatenablog.com

 

*1:あまり効率は良くないがGMによっては運用価値が出る

*2:たとえばソーサラーレベル8になれば、範囲魔法である【ファイアボール】威力20を撃ち込むより、あるいはレベル10で習得する範囲魔法【ブリザード】威力30を叩き込むより、なんとレベル8の【エネルギージャベリン】威力40を拡大して撃ち込んだ方が強力です。また【サンダーボルト】や敵後衛の魔法使いにとって貴重なリソースであるMPにダメージを与える【ショック】といった魔法を拡大行使できるのは極めて強力です。