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電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

アリアンロッド2Eは初心者のためのガイドが整ったシステムです

 どうもみなさんこんにちは。タイトルで今日の話を言い切った感があるハカセです。

 

 このところようやく人間らしい生活ができる程度には周囲が落ち着いてきて、私もブログの拡充のために新システムに手を出す余裕がでてきました。

 そこでさっそく一つのシステムに手を伸ばしたのですが、これがなかなか、初心者にオススメしたい、いいシステムではありませんか(ある二点において明確に批判はしますが)。

 

 というわけで今日はアリアンロッド2Eというシステムを、主にそのオンライン上でのサービスの充実を取り上げながら、みなさんに紹介したいと思います。

アリアンロッドRPG2E ルールブック (1) 改訂版 (ドラゴンブック)

アリアンロッドRPG2E ルールブック (1) 改訂版 (ドラゴンブック)

 

  

 

初心者のためのシステム上の魅力

判定システム、使用ダイスが単純

 はじめに指摘しておきたいのは、アリアンロッド2Eで利用される判定がわかりやすいということです。すなわちすべての判定が「2D6+能力値」という単純なスタイルで貫かれている点は指摘するに値します。

 同じファンタジーTRPGであるソード・ワールド2.0でもこの特徴が見られますが、あちらには「威力表」という参照表がありました。一方のアリアンロッド2Eにはそれがありません。その代わり、判定処理の複雑化は「振るダイスの数を増やす」ことによって行われます。これは原則としてプレイヤー自身が宣言するスキルの効果によって増やされます。そしてたとえダイスの数が増えたとしても、やることはすべての出目の値を足して能力値と合計して判定達成値を出すという作業だけです。

 この判定システムの単純さはこのゲームを手軽に遊べるゲームとして際立たせています。

クラス制で活躍しやすい設計

 初心者への配慮は判定システムだけではありません。もう一つの配慮はキャラクターメイクにあります。

 アリアンロッド2Eでは、プレイヤーは4種類の「メインクラス」から1つを選択してキャラクターを作成します。このときどのメインクラスを選択したかによって、セッション中での活躍の仕方が明確に変化するのです。この効果は役割分担のゲームとしてのRPGを意識するなら、極めて重要です。プレイヤーが明確に4つの立場*1に分かれているため、それぞれのプレイヤーは自分の活躍どころを把握しやすいのです。

 アリアンロッド2Eのクラス制は、スキル制*2と比較すればもちろんのこと、それどころか同じクラス制*3のシステムの中でも特筆に値する性質を持っています。すなわち、セッション内での役割とクラスがセットになっていることです。

 他のシステムでは、しばしばクラスを組み合わせることで役割を形成しなければなりませんが、アリアンロッドではメインクラスの時点で担うべき役割は決定しています。追加で選択するサポートクラスは、メインクラスの役割を補助する形で選択することになるため、役割を果たすために組み合わせに難儀することはありません。

 

 総じて、システム面では初心者にとって非常に遊びやすく仕上がっています。

 

オンライン上のサービスの充実

スターターセットの無料配信

 そんなアリアンロッド2Eを遊びたくなったなら、公式サイトを覗いてみましょう。

 アリアンロッドRPG 2E 公式サイト

 このページに「アリアンロッドを無料で楽しめる! スタートセット」というリンクがあります。そちらを開くと、基本的なシステムの説明と必要最低限のキャラクターデータがpdfで公開されています。

 いずれにせよゲームマスターはルールブックを持っているに越したことはありませんが、初めてプレイするプレイヤーのためにルールサマリーを用意する必要がないのです。これはプレイの障壁を大きく軽減してくれる配慮と言えるでしょう。

 さらに右上の「ダウンロード」を覗いてみれば、キャラクターシートやサンプルキャラクターのデータ、さらにはサンプルシナリオも公開されています。初めてプレイする際にはこれらの資料を使えば、スムースにプレイに漕ぎ着けることでしょう。

モンスター画像の公開

 さらにオンラインセッションで苦労するのがモンスター画像の用意です。この点でもアリアンロッド2Eは画期的な対応をしています。ルールブック掲載エネミーのイラストをダウンロードコンテンツとして公開しているのです。

 ルールブック改訂以前のサービスであるため、画像へのアクセス手順は少しだけ複雑です。先ほどの「ダウンロード」のページから、「『改訂版』以前に発売された製品のダウンロードコンテンツはこちらから」と書かれたリンクへ移動します。その項目の中の「フリーコンテンツ」に移動すれば、利用規約を読むことができ、ダウンロードが可能になります。

 改訂版以前のサービスとはいえ、エネミー自体は同じなので、オンラインセッションでは十分に活用することができるでしょう。(ただし、利用規約にはくれぐれもご注意ください)

 

初心者にとっての難点

世界観を満たした固有名詞

 これだけ初心者向けに特化したシステムですが、いくつかの点でとっつきにくい要素が残っています。その最たるものは「不必要な固有名詞の利用」です。

 たとえばエルダナーンとネヴァーフと聞いて、すぐになんのことかわかる人はいないでしょう。実際にはそれぞれエルフとドワーフを指す単語です*4。聞きなれないうえ名前から姿を推測しにくい種族名(ドゥアン、ヴァーナなど)だけならまだしも、世界観説明の項目は固有名詞にまみれています。いわゆる「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」状態です。

 実際には、このゲームを遊ぶにあたって覚えなければならない世界観設定は少なく、たった一つ「妖魔=悪いやつ」ということを覚えておけば、あとはすべて後回しにしてよいものです。あとはせいぜい、プレイヤーは冒険者と呼ばれる善意ある傭兵業をやるのだということくらいを理解しておけばよいでしょう。

 それにもかかわらず、無数の固有名詞が読者に襲いかかります。この点は繰り返し述べておきます。初心者はそんな固有名詞なんて覚えずともプレイできるのでご安心ください

スキル選択のためのデータ量

 もう一つの難点が、初回プレイから参照する必要のあるデータ量が多い点です。ダブルクロス3rdに比べればスキルの複雑さは少なく、どうということはありませんが、それでも初心者の導入を難しくする要素であるのは事実です。

 クラスごとに5ページ分のスキルリストからたった2個を選ぶというのは、なかなか重たい作業です。クラスの熟練度に関係なく好きなものから習得できるシステムは、キャラクター設計の自由度を確保する点ではたしかに有用です*5。しかし比較検討するスキル候補の数が多くなり*6、初心者の労を増やしています。もちろんそのためにサンプルキャラクターが用意されているとはいえ、自分好みのキャラクターメイクができるようになるまでは、データに慣れる時間が必要になるという点は指摘しておくべきでしょう。

 

 

まとめ

 最後にいくつかの難点も指摘しましたが、アリアンロッド2Eは初心者のためのガイドが整ったシステムです。このことには変わりありません。

 指摘した問題点についても、「初めは詳細な世界観を理解する必要がないこと」「サンプルキャラクターを使えば戸惑わない」ということを加味すれば、やはりガイダンスがよく整っているということができます。

 特に、自分から新しいシステムを勉強して仲間たちに紹介する機会を持ってこなかった方にとって、「自分でシステムを勉強し、遊び方のガイドを仲間たちに行う」という作業の練習をするために優れたシステムということができます。また次のシステムを勉強する際に、どういった資料が必要なのかを学ぶいい練習機会になることでしょう。

 

 

 …かくいう私自身もアリアンロッド2Eを仲間に紹介して、ようやく遊ぶところまで漕ぎ着けたところです。率直なコメントがてらの備忘録として記しておきました。無事にセッションが終了したら、また感想を記事として整理しておこうと思います。

*1:重戦士・補助+回復・魔法使い・探索+軽戦士の4つで構成されている

*2:クトゥルフ神話TRPGのように、たくさんの個別スキルから%ベースで組み合わせて習得する形式。役割分担が不明瞭になりがちで、使いこなすには習熟が必要。

*3:職業名の単位でキャラクターに習得させ、その職業で可能な判定が複数用意されている形式。幾つかのスキルを束ねたクラスの名称が用意されている。代表的なものはソード・ワールド2.0のキャラクターシステム。

*4:作中でも共通語ではエルフ、ドワーフとして説明されており、固有名詞を作った理由は不明

*5:たとえばソード・ワールド2.0では、魔法使いとしてレベルが上がると同時にどの魔法を習得するかが決まっていた。しかしアリアンロッド2Eではすべての魔法のうちどれを習得するのかはプレイヤーが選択しなければならない。カスタマイズ性は高い代わりに、初心者適合性は低いということだ。

*6:しかもクトゥルフ神話TRPGと違ってスキル名がいちいち固有名詞のうえ、異なる処理を要求するものなのだ!