ダブルクロスの初GMを体験して感じたその魅力
これまでプレイヤーとしてしか体験してこなかったダブルクロス3rdのGMをはじめて体験し、昨日無事にセッションを成功裏に終了させることができました。
やはりはじめてということもあって、ルール面ではいくらか不慣れな面が出ましたが、プレイヤーの協力もあって、非常に楽しいセッションとなりました。その内容は本日夜以降、はじめてのダブルクロスリプレイとして整理して公開していく予定です。
さて本日ははじめてダブルクロスGMを経験してわかったダブルクロスの魅力を世界観とゲームの二つの面から整理しておこうと思います。
ダブルクロスの世界観は超面白い!
異能力バトル好きなら買って損なし!
クトゥルフ神話TRPGばかりやっている? ソード・ワールド2.0をやっとはじめた?
もったいない!
ダブルクロスを始めましょう。ダブルクロスもルールブックが文庫で売っている安価なシステムです。すでにTRPGをプレイする仲間がいるのなら、是非とも遊んでみましょう。
ダブルクロス The 3rd Editionルールブック1 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,矢野俊策,しのとうこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
ダブルクロスは異能力バトルアクションTRPGで、いわゆる“厨二心”を刺激することで知られています。アニメで見たあんな展開や、こんなアツいシーンをセッションに取り入れて、心の中に眠るヒーローの熱を解き放つことができるのです。異能力アクションものに目がないプレイヤーなら、まず手にとって損することはありません。
異能力バトルに興味がなくても政治劇好きなら買って損なし!
…そうは言うものの、実はわたし、サブカルに疎いのです。アニメとか漫画とか全然見ませんし、ラノベとか読むのもちょっと…という具合で、TRPG界隈では非常に希少種なのです。そんな私だからこそ、これまでに書かれていたこんな宣伝文句では、いまひとつダブルクロスに手を伸ばす気がしていませんでした。
しかしダブルクロスの資料を読み込むうちに、ここに書かれている世界設定が非常に政治的であることに気がつきました。いわゆる“SF的装置”としてのレネゲイドウイルスの存在に気づいたのです。
クトゥルフにおいて邪神は絶対悪であり、ソード・ワールドにおいて蛮族は絶対悪です。
…ではダブルクロスにおいてファルスハーツは絶対悪なのでしょうか?
答えは否です。
悪役であるファルスハーツにはひとつの信念と理想があり、プレイヤーキャラクターが所属するUGNにもひとつの信念と理想があるだけなのです。
人類の未来:共存か覚醒か
プレイヤーキャラクターたちが掲げる理想は【共存】です。能力を得た《超人(オーヴァード)》と、得ていないただの人類が共存する方法を模索します。人類の生活を混乱に陥れないよう、《超人》たちは舞台裏でその生活を守る役割を果たすのです。
一方の敵役ファルスハーツが掲げるのは【覚醒】です。人々のうち《超人》になりうる者だけが、次の時代に適合することのできる資格を持つ。ならば《超人》は人々に覚醒の機会を与え、生き残る価値のある新しい人々を選別します。
保守的なプレイヤーキャラクターたちの陣営は、急進的なファルスハーツの暴走を必死で止めようとします。その中で様々な人の思いが交錯していきます。そんな「信念の対立と人間ドラマ」を描くのがダブルクロスというゲームなのです。
ゲームシステムに配慮がある
人間関係を表す「ロイス」がセッションのコアに
ダブルクロスのゲームシステム上の特殊性は「ロイス」にこそあります。ロイスはPC間やNPC間の人間関係をゲームリソースとして扱うもので、ロールプレイの中で相手に感じた印象に応じて次々に取得することができます(上限7つ)。とはいえただ漫然と会話していても相手に対する感情は生まれません。プレイヤーは積極的に感情表現をして、相手が自分にとってどういう人物なのかを特徴づけることで、ロイスを取得することができるのです。
人間関係をゲームリソースにすることで、プレイヤーは物語と積極的に関わることができます。特に自分自身の人生観や価値観をロイスの中に表現すれば、他のプレイヤーにとってもキャラクターの考えや目的がわかりやすくなり、連携したシーン演出で盛り上がることができるのです。
ハンドアウト制によりキャラクターの目的意識がずれない
また、ダブルクロスはキャラクター作成時にキャラクターに条件を課す「ハンドアウト」の利用が推奨されているシステムでもあります。クトゥルフ神話TRPGをやっていて狂信者PCが集まってしまったり、ソード・ワールドに慣れないプレイヤーが冒険者を志向しないキャラクターを作ったりして困った経験はないでしょうか?
ダブルクロスではシナリオをより細かく設定することを推奨しているため、PC一人ひとりに条件が課されます。つまり秘密組織UGNのエージェントだったり、支部長だったり、あるいは学生だったりしなければならないとゲームマスターが指定する権利を持ちます。一見してプレイヤーの自由を縛っているようでもありますが、これによってより綿密で詳細に設定されたシナリオを遊ぶことができるようになり、セッションのロールプレイが促進されることになるのです。
総じてキャラクタープレイ推奨システム
ダブルクロスを初心者だけでプレイするときには、一つのことを割り切る必要があります。ダブルクロスのゲームシステムは、データ的に強いキャラクターを作るために存在するのではありません。ダブルクロスでは能力の組み合わせも非常に多く、データの扱いは初心者には困難です(この点は「ハカセの異能力研究所シリーズ」で嫌というほどわかる)。それゆえ、経験者が一人いて初めて、データ面でも遜色ない遊びができるシステムとネガティブに評価することもできてしまいます。
しかしよく考えてみましょう。データ的に強いキャラクターなんて、慣れればどうせいつかは作れます。重要なのは、データ的に強いキャラクターを作らなくても楽しめるシステムであるということです。
なぜそんなことが可能なのでしょうか? その秘密がロイスに隠されています。ロイスを昇華する(消費する)ことで、キャラクターは一時的に力を手に入れたり、死の淵から舞い戻ったりすることができます。つまり、セッション中により多くのキャラクターと関係を持ち、感情的な結びつきを創りだしたキャラクターが最終的には力を発揮するのです。もしキャラクタープレイを盛り上げて初めてロイスの取得を許可するようにしたなら、このゲームはほとんどデータによる強弱と無関係なものに変わってしまうのです。
この点から、ハンドアウトの重要性も改めて認識することができます。ハンドアウトによって、プレイヤーとNPCとの関係はあらかじめ方向性が与えられています。特にサンプルシナリオのように迷いの少ないシナリオならば、プレイヤーはどのように振る舞うべきかを考える必要はありません。殆どの思考リソースは「どうシーンを盛り上げるか」に費やされることになります。
このように、データの複雑さに目をつむりさえすれば、初心者でも楽しく物語を盛り上げることのできる優秀なシステムと評価できるのです。
まとめ
ダブルクロスは面白い!
ルールブックを買ったら、サンプルキャラクターを使って一度サンプルシナリオで遊びましょう。もしもあなたがGMを務めるなら、そしてまた、能力バトルというだけでは満足できないと思うなら、これからわたしがアップロードするダブルクロスのサンプルシナリオのリプレイを見て、その世界の面白さにハマっちゃってください!
ダブルクロス The 3rd Editionルールブック1 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,矢野俊策,しのとうこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: 文庫
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ダブルクロス The 3rd Editionルールブック2 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,矢野俊策,しのとうこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 文庫
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