オリジナルモンスターの簡易作製法(案)の検討 前半【ソード・ワールド2.0】
ソード・ワールド2.0では、ルールブック3冊だけでもたくさんのモンスターを収録しています。蛮族・アンデッド・動植物に魔法生物…種類は多岐にわたり、しばらくはモンスターの利用で困ることはなさそうです。
それでもいざシナリオを作ってみると「こんなモンスターがいたらいいのにな」という妄想が広がり始めます。
私自身、これまでに酒の体を持つ犬ファニリシュや、竜巻の大蛇アイアタルといったオリジナルモンスターを作り出してきました。これらのキャラクターは、それぞれ既存のモンスターを参考にして作成されたものですが、今回、あえてゼロからモンスターを自作してみるという試みを行ってみることにしました。
どういった手順でステータスを決定していけばいいのか、挑戦していきましょう。
メニュー
1.レベル帯と基本情報の決定
2.戦闘ステータスの調整
3.特殊能力を作り出す
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4.模擬戦!
5.完成したら公開しておこう
1.レベル帯と基本情報の決定
モンスターを作るときには、はじめにレベルを決めてしまいましょう。
今回はレベル3の冒険者たちと戦って欲しいので、レベル4を目標に設定します。
なんとなくで作るよりは、基準となるレベルを見積もって作った方が作りやすくなりますので、是非ともレベル設定ははじめに行いましょう。
さて、ソード・ワールド2.0のモンスターデータはなかなかきめ細かく仕上がっています。オリジナルモンスターを作成する際には、知能レベルや生息地などの情報を定めておくのも重要です。プレイヤーによっては知能水準を参考にして戦略を組み立てる場合があるので(挑発攻撃など)、必ず事前に設定しておくことにしましょう。
基本情報の項目は以下の通りです。
- 知能:なし・動物並み・低い・人間並み・高いから選択
- 知覚:五感・魔法・機械から選択
- 反応:敵対的・腹具合による・中立・友好的・命令によるから選択
- 言語:任意の言語
- 生息地:任意の地形を選択
さて、今回作成するのはアルマジロ型のモンスター「アルマージ」です。
・・・ロックマンXとは何の関係もありませんよ?
このコンセプトに従って、それぞれのデータを埋めてしまいましょう。
- 知能:動物並み
- 知覚:五感
- 反応:腹具合による
- 言語:なし
- 生息地:森・荒野・草原
単純な動物系のモンスターを作る場合、大方この組み合わせで問題ありません。
ここまでは数値が絡まないため、バランス調整を考える必要がありませんが、次の作業からはレベルを意識してモンスターを作成していきましょう。
2.戦闘ステータスの調整
戦闘ステータスを設定していきましょう。
設定するのは次の項目です。
- 知名度:レベル+3〜7 生態に応じて加減
- 弱点値:レベル+8〜11
- 弱点:既存のものから選択するとよい
- 先制値:レベル+4〜9 敵対性や敏捷度に応じて加減
- 移動速度:概ね任意 生態に応じて
- 生命抵抗力:レベル+1〜3
- 精神抵抗力:レベル+1〜3
- 命中力:レベル+0〜4
- 打撃点ボーナス:レベル+0〜3
- 回避力:レベル+0〜3
- 防護点:レベル+0〜3
- HP:レベル*3+10〜40
- MP:魔法2種までの技能レベル*3の総和+10〜40
ゼロから作成しようとすると、このように値の幅があまりに広いうえ、他のステータスとバランスをとるのが難しくなります。
そこで、次のような簡単作成法を提案しておきます。
つまり、基準値から持ち点を使ってステータスを加減していく方法です。
- 知名度:レベル+5
- 弱点値:レベル+10
- 先制値:レベル+7
- 生命抵抗力:レベル+2
- 精神抵抗力:レベル+2
- 命中力:レベル+0
- 打撃点ボーナス:レベル+0
- 回避力:レベル+0
- 防護点:レベル+0
- HP:レベル*3+10
- MP:レベル+10
ここではひとまず以上のように設定しておきましょう。
モンスター作成開始時の持ち点は8点です。これを任意の能力に配分することになります。この得点は特殊能力の設定においても利用するので、その予定がある方は使い切らないようにしましょう。
今回のアルマージは、防護点が高く、弱点を看破しにくい耐久型モンスターとして作成したいと考えています。
そこで、持ち点を弱点値・生命抵抗力・防護点・HPに配分しようと思います。
HP・MP以外のステータスに持ち点を使う場合、基本的には1点でステータスを1上昇させることができます。ただし、レベルよりも3以上高くする場合、追加で1点を消費させるようにしましょう。
アルマージの防護点を例にします。
アルマージの防護点の基本値はレベルと同じ4でした。
ここに2点を投入して、防護点を6にすることが可能です。
さらに防護点を7にまで高めたい場合、追加で2点消費し、合計で4点の消費が必要になります。
また、生命抵抗力を上昇させる際には、HPも5点だけ追加しましょう。
アルマージの生命抵抗力の基礎点はレベル+2の6です。
これに1点を投入して、生命抵抗力を7にします。
これと同時に、HPの基準値22に+5して、HPを27に変更します。
HPに持ち点を利用する場合には、1点あたりHP+10してください。
アルマージのHPはすでに27になっています。
ここで1点を消費して、HPを37に変更します。
あとは弱点値に1点を加えて、ここまで合計で7点を消費しています。
この持ち点制では、規定のステータスから減点することで、持ち点を増やすこともできます。
アルマージは魔法に弱い設定なので、精神抵抗力を1点減点します。
基準値はレベル+2の6でしたが、5に下がります。
代わりに、現在の残り持ち点を2点に増やしておきます。
3.特殊能力を作り出す
魔法を含む特殊能力の習得にも持ち点を利用します。
魔法の習得
1点を消費すると、自分のレベル−1レベルの魔法を1種類習得できます。
同時に、MPを習得した魔法のレベル*3だけ増やしましょう。
また、練技や呪歌の習得ルールもこれに従いますが、これらの技能の習得がMPを上昇させることはありません。
また、射手モンスターにおける魔動機術の習得などレベルよりも3以上低い魔法技能の習得にはポイントを必要としません。この場合にもMP上昇の処理は行われます。
戦闘特技・技能の習得
1点を消費すると、冒険者と同じ戦闘特技を習得することができます。
ただし、魔法適正の取得によって複数の戦闘特技を習得することも可能です。
モンスター専用特殊能力の習得
1点を消費することで、なんらかの特殊能力を習得することができます。
既存の特殊能力を習得するのも新たに作成するのも自由ですが、能力値の上昇などの効果は1点の消費に対して+4に抑えることを推奨します。
オプションの習得
水中専用のオプションは、無償で習得することができます。
水中適正・飛行・特定属性の無効化などの習得には1点の消費が必要なので注意してください。
部位の追加
1点を消費すれば、部位を追加することができます。
部位は基本ステータス状態で追加するとバランスが取れますが、強化調整後のステータスで追加したい場合には2点を消費しておきましょう。
特殊個体の設計
ドレイクやバジリスク、ヴァンパイアなどの「あからさまにボス的な種族」についていえば、以上の簡易製作法ではやや実力が劣ってしまいます。
そういった種族のモンスターを作成したい場合には、追加で5点程度を持ち点に加えましょう。
というところで、アルマージの設計に戻りましょう。
アルマージは一時的に防護点を高める「丸くなる」を習得させたいと思います。
・・・ポケモンは関係ありませんよ?
画像はポケ書様より
「丸くなる」の厄介なところは、対抗判定ではないため自動成功してしまうことです。打撃点を4点高める全力攻撃に外れるリスクと回避減少のデメリットがあるのに、デメリット無しで防護点+4なんて都合のいい能力をつけるのはダメでしょう。
というわけで、まるまることで追加される防護点は3点にしましょう。
え? 多すぎる?
そうですね。でも、デメリットをつけます。攻撃不能になります。
基本的な攻撃手段は爪か牙になると思うのですが、丸まっているとそれらを利用することができません。それゆえ、防護点を追加する代わりに攻撃不能状態に陥ります。
というわけで
☆まるくなる 2ラウンドの間防護点を+3します。その間このモンスターは通常攻撃を行うことができません。なお、この状態が解除された手番および主動作の後にこの能力を宣言することはできません。
これを習得させることで1点の持ち点を消費しましょう。
これではただ丸まっているだけの的なので、まるくなっているときにだけ使える攻撃手段を用意しましょう。
ズバリ「ころがる」です。
・・・だから、ポケモンは関係ありませんよ?
丸まっている状態だと、命中力と威力が下がるのが妥当でしょう。防護点を3点プラスしているので、技能習得に利用した1点を差し引いて、5点分攻撃機能を低下させましょう。1点分は誤射ペナルティで回収し、打撃点−3と命中−1で合計4点を引きましょう。
〆ころがる/3(10)/回避力/消滅 この攻撃の対象はいかなる状態でも同じ乱戦エリア内でランダムに選択されます(近接攻撃だが誤射の可能性があります)。対象1体に2d6+1点の近接攻撃ダメージを与えます。
これでアルマージが完成しました!
まるまって転がり回る厄介なモンスターで、基本的に魔法攻撃で削っていく戦闘を冒険者たちに強いることができます。3匹くらい同時登場して、互いにゴッツンしながら暴れまわるなんていうのも楽しそうですね。
早速テスト戦闘をしてみましょう!
といったところで後半へ!