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【うろ覚えSWノベル】山賊退治ミッション:8(斜陽)

朝日が昇った。出発がいくらか遅れ、道中での交渉と警備行があったとはいえ、トーチまで丸一日かかるとは思いもよらなかった。結局、隊商は山賊に襲われることもなく、無事にトーチに到着することができた。

「こんなことなら、山賊に襲われたら50ガメル追加って契約にしておくべきだったな。」

無事だったからこそ言える冗談を商人が飛ばしこそしたが、あもちんぽの契約通り、一人頭200ガメルが支払われた。戦闘能力を自負するキリトにとって、自分に与えられる報酬としては、やはり少ない気がもした。しかし、それでも、初めて得た「報酬」というものは、彼を少し上機嫌にさせていた。いくら見栄を張っていても、こればかりは、抗えない少年らしい感情だった。

 

「この村に購入した物資を届けるよう言われてたんでね。」

商人たちが積荷の一部を住民に提供すると申し出ると、村人たちが次々と集まってきた。しかし、その数は村というにしても、あまりに少ないものだった。注意して見てみれば、あちこちの家の壁面や塀に、ぬぐい切れていない血の跡がついている。それはほんの数日前、この村で起きた惨劇の規模をうかがい知るには十分な量だった。

 

「村長はいますか?」

集まってきた村人に、あもちんぽが呼びかける。

「ああ、村長は、先日殺されてしまってね。いま村の最長老は私だろう。」

消沈した声でそう応じる初老の男性がひとり、呼びかけに応じた。

「この商人の積荷を守ってきてくれたそうですね。この村は見ての通りの有り様です。働くことができ、新しい未来を勝ち取れるものは皆、村を捨ててルテティアに向かってしまいました。畑も荒らされてしまいましたから、私たちもいずれここを出なければならんでしょう。今回物資が届いたことで、移動するだけの気力が戻るものもおるかもしれません。村は無くなってしまうでしょうが、みなさんのお力添えが、村の者たちの命をつなぎました。まこと、感謝のしようもございません。」

「俺たちはそれが仕事だっただけだ。そしてもう一件仕事がある。」

キリトはあえて突き放す。人間に感謝されるために働いているのではない。俺が欲しいのは金だけだ。

キリトに任せておけないと思ったのか、交流のあった村の人間が話すべきだと考えたのか、タツが口を開く。

「冒険者さんたちを雇ったのは、私たち、キビーの村です。あの山賊の討伐をお願いいたしましたから、必ずや彼らが敵討ちをしてくれるはずです。」

その言葉に、初老の男は再び丁寧に礼を述べ始めた。

「それで、金がいるんだが、お前たちはいくら出すんだ?」

キリトは礼を遮って言う。この言葉に、あもちんぽがついに怒りをあらわにした。

「金、金ってなぁ、どう見てもこの人たちにそんな余裕がないのがわからないのか?彼らには彼らなりの協力の仕方がある。キリトっていったよな?今から僕と行動しろ。いいな?」

はっきりと怒りの意思を現した行動に、その場は水を打ったように静かになった。キリトは歳を重ねたあもちんぽの貫禄に押されて、曖昧に返事をすることしかできなかった。

「よし、それじゃあ、現村長さん。負傷などしていない方を村の広場に集めてもらっていいでしょうか?」

表情を柔らかくして、あもちんぽが言う。

「ええ、かしこまりました。山賊を討伐するといえば、皆集まってくれるでしょう。」

「いえ、討伐に出向くのは我々だけです。欲しいのは、情報ですよ。」

あもちんぽが笑う。

現村長はあもちんぽの言葉に表情の緊張を緩め、改めて快諾した。

「情報といえば、気になることがあるんです。先日の襲撃で両親を殺されたミーナという少女がおりましてな。気の毒に、彼女は父親が生きていると言うばかりで、村を出なければならないという説得を聞いてくれんのですわ。しかし、どうにも実際に父親が夜に帰ってくる様子を見た村の者もおりましてな。まぁショックからくる幻覚か何かかもしれませんし、こんなことで冒険者様の手を煩わせるわけにもまいりませんからな。それでは、私は村の者に呼びかけてみることにします。」

 

最後の村長を見送りながら、ラビットが口を開いた。

「気になるな。私はそっちを見てくるよ。」

「では、俺もそうしよう。」

応じたのは、ボブソンだった。ボブソンはあもちんぽに近寄り、小声で付け足した。

「キリトをよろしく頼むぞ。」

 

 

つづく