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【ソード・ワールド2.0リプレイ】氷壁を砕け!【英雄志望と二つの剣3rd season 3−2】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

冒険者たちはどういうわけか公王陛下の呼び出しを受けた。アークは正装したが、いつもの格好で宮殿へ向かった冒険者たち。扉が開かれると公王はまだいないようだったが、この地方のどこでもない軍服を着た人物が跪いていた。

 

GM:玉座の前には近衛兵が数人控えています。

レイラ:手にはアークさんのヒゲ持ってますが、進み出てちゃんと跪きます

アーク:ヒゲ返して

コーラル:アタイは普通に突っ立てる

GM:カシウスも思い出したように跪く姿勢をとります

クキバミ:コーラルの膝裏をついて跪かせる

コーラル:膝カックン なにすんだよ!

 

GM:さて、全員が静かに控えたところで、兵士たちが一糸乱れず武器を胸に当てて敬礼の姿勢をとります。それと同時に奥の扉が開かれ、エルフの男性が姿を現します。数名の神官を引き連れていた人物は足音もなく流れるように玉座まで移動します。

スレイン公爵:「突然のお呼びたてに応じてくださり、ありがとうございます。そう固くならず、各々面をあげてください」

コーラル:やっとかって表情で顔を上げる

レイラ:顔を上げて姿勢を正します

クキバミ:ガッチガチで顔あげるぞ

 

スレイン公爵:ひとりひとりを見た後、左右の近衛兵や神官に向け口を開きます

スレイン公爵:「この方たちのためにも、外していただくようお願いします」

コーラル:ほう

GM:兵士たちに一瞬ためらいが走りますが、君主の指示にはすぐに従い、整列して退室していきます

 

スレイン公爵:「……さてみなさん。どうやら、時が訪れたようです」スレインは唐突にそう切り出します

スレイン公爵:「……アークさん、剣の首飾りを持っていますか?」

アーク:……きょろきょろしたあと、「これ?」って言いながら見せるよ

スレイン公爵:「ふむ……なるほど」その宝石をしばらく見て、スレインは一度瞳を閉じます

スレイン公爵:「ここにお招きしたのは、魔剣、いえ……神の剣クラウ・ソラスについて、私の知っていることをお伝えするためです」

 

スレイン公爵:「アークさん、あなたはクラウ・ソラスの詩をご存知ですか?」

アーク:「……知ってるよ」

スレイン公爵:「その首飾りは、この世界に剣のかけら、あるいはマナとともに雲霞のごとく霧消したクラウ・ソラスをこの世に再び形をとって作り出すための鍵となる装置です」

GM:スレイン公爵は話を続けます

スレイン公爵:「フィネア史に残る人物ハウゼン・ヴェルチがフェトル様の導きの元に作り出しました。……しかし、まだその首飾りではクラウ・ソラスを“作り出す”ことはできません。この地の様々な場所で、それぞれの土地のマナと接し、その首飾りに力を与えなければならないのです」

レイラ:なるほど、詩の通りってことですね

アーク:詩ってどんなのだったっけ

GM:1-1でフレデリックが口にしていますね。引用します

 

クラウ・ソラスは世界を駆け巡る。
あるときは大海に揺蕩う波のように。
あるときは草原を撫でる風のように。
あるときは雪原を覆う吹雪のように。
あるときは密林を裂く河川のように。
あるときは山肌に轟く稲光のように。

 

クラウ・ソラスは世界のどこにでもあって、世界のどこにもない。
それはときの訪れを待っている。

 

人々が英雄を望むとき、クラウ・ソラスはそこにある。

 

スレイン公爵:「しばらく待たせてしまったのも、フェトル様がなかなか交信に答えてくださらなかったからです。しかし、フェトル様は昨日ついに時の訪れを告げられました」

スレイン公爵:「……しかし、アークさん」

アーク:うとうとしてたから名前呼ばれてはっとしてキョロキョロ

クキバミ:寝とったのか!

アーク:話が長いから!

スレイン公爵:「神はあなたを選んだわけではありません。ただ時が来たことを告げられたのみです。だからこそ、神の意志の忠実な僕として、私はここに皇帝陛下の特使をお招きしました」

皇帝の特使:跪いたまま恭しく礼をする

スレイン公爵:「その首飾りを皇帝陛下の特使に手渡すとあなたが決断なさるなら、それもまたこの世界の理が導いたこととして受け入れましょう」

 

皇帝の特使:マントを翻して立ち上がる

 

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レイラ:「サラー……さん」小さく声が出ます

アーク:「あ、サラーだ」

サイラス:「お初にお目にかかる。レシトリア帝国皇軍近衛隊主席代表、サイラス・ホーエンシュヴァンだ」

アーク:「?」

レイラ:寂しそうな目をして「初めまして、冒険者をしております、レイラ・フェルンホルムです」

カシウス:「……? どういうことだ?」

サイラス:「いえ、名乗りは結構。皇帝陛下の近辺ではあなたたちの名はよく知られている。……私はレシトリア皇帝の使者としてこの場所にいる。私の言葉は皇帝の、帝国の言葉として受け取ってもらおう」

クキバミ:「ハハーーッ!」平伏

 

レイラ:ホーエンシュヴァンという家系については知っているんでしょうか?

GM:はい、まともな環境で育っていれば、知らない人はこのフィネアにはいないでしょう。孤児のカシウスでも知ってると思います

クキバミ:先帝ヴィルフリート・ホーエンシュヴァンのご子息に違いない!

レイラ:先帝ですか……

サイラス:「前置きは不要だろう。アーク・セコ*1。お前のもつ魔剣の首飾りを即刻引き渡してもらう」

アーク:「え? ダメだよ、これはフレッドから預かった大切なものだもん」

サイラス:「……ダインハイト公の子息フレデリック・ヴェルチ殿ならば、すでに同意をいただいている」

アーク:言ってたっけ?

レイラ:あれから会ってませんからね、サラーさんには言ったのかも

アーク:「うーん……でもフレッドに次に会ったときに返したいから、

サイラス:「君がフレデリック殿に会うことは二度とない」

アーク:「どうして?」

サイラス:「ダインハイト公国の壊滅。流民による帝国の財政難。すでにこの大陸にいる人族は限界を迎えようとしている。彼は今やその事態の中心人物の一人だ。一介の冒険者にかかわる時間はない。さらに言えば、君がここでフレデリック殿を理由に断るのであれば、その責任はフレデリック殿にとっていただくことになる」

アーク:「フレッドに責任? サラー、さっきからなんかおかしいよ」

サイラス:「私はサイラス・ホーエンシュヴァン。サラーではない。……理解されておられないようだから直接的に述べよう。もし君がフレデリック殿を理由に断るのであれば」

 

サイラス:「帝国は彼を死罪とする。むろん、君も同罪だ」

 

レイラ:拳を握り締めます

カシウス:「おい、死罪って! そんなっ……!」

サイラス:睨みつけて黙らせる

サイラス:「当然の措置だ。人族生存の鍵をみすみす放り投げるという愚行だ。人族全体に対する罪は死罪でも償いきれぬと思うがね」

アーク:「……」

レイラ:「アークさん……」心配になって声をかけます

アーク:「わかんないことがたくさんあるけど、わかったよ。魔剣が必要で、だからこれがいるんだね」首飾りを握って

アーク:「でも、これは渡せない。だからさ……」

 

アーク:「俺が魔剣を手に入れる。神様は選んでないかもしれないけど、じゃあ誰を選んだの? 誰も選んでないなら、俺が魔剣を手に入れたっていいはずだよ。フェトル様なんて関係ない。俺は自由の神様を信じてるんだ!」

 

サイラス:「……なるほど。君は我らが皇帝陛下よりもその魔剣にふさわしいと……英雄となることを望むわけか」

カシウス:(アーク……!!)驚きの目をアークに向ける

サイラス:小さく口元で微笑み、すぐに冷たい雰囲気を纏う

サイラス:「ならば……君は全フィネア、そして帝国の敵だ。この場はスレイン公の玉座に免じるが、次に会うときは刃を交えることになるだろう」

アーク:「……大丈夫だよ。魔剣を手に入れる。決めたんだ」

サイラス:マントを翻して歩き去る

サイラス:大きな扉に手をかけ、それを押し開くと

サイラス:「英雄は一人だ。君ではない。違うと言うのならば……」

 

サイラス:「証明してみせろ」

 

サイラス:それを言い残すと、扉が閉まってサイラスは退場します

 

スレイン公爵:「……帝国も逼迫しているようですね」

スレイン公爵:「あなたの言う通りです、アークさん。神はまだ誰も選んではおりません。そうであるならば、私は等しく全ての者に導きを与えなければなりません。あなた方はもはや帝国へ立ち入るのは困難でしょう」

スレイン公爵:「この国の北には、長城が築かれています。それよりさらに北へ向かいなさい。神とその首飾りが導いてくださるのなら、北の最果ての遺跡にたどり着くことができるでしょう。その遺跡があなたたちを導くことでしょう」

カシウス:「わかった。アーク、詩通りなら、残りは雪原と森と山だろ? 行こう」

アーク:「……うん」

コーラル:っしゃ、やることはかわんねぇぜ

カシウス:「そうだ、逃げてきたとき、捕まえないでくれてありがとな」公爵に

クキバミ:「カ、カ、カシウス、こ、ここ言葉づかいがお乱れ候」

コーラル:クキバミの耳掴んで持ち上げて歩き出す

レイラ:「ありがとうございました。失礼します」一礼して急いで扉に向かいます

スレイン公爵:公爵は静かに冒険者たちの姿を見届けます

 

 

次回へつづく

*1:アークはファミリーネームを持たない田舎農民であったうえ、名乗りファミリーネームを作るほど社会生活も営んでいなかったことにより、帝国で犯罪者として管理する都合、出身村であるセコ村の名が当てられた