【ソード・ワールド2.0リプレイ】彼方に望む風景【英雄志望と二つの剣3rd season レイラ過去編5】
前回のあらすじ
レイラとアルミィは協力して実戦試験の課題ジャイアントアントの撃退に成功した。田舎村の出身で同世代の友達のいなかったレイラだが、試験の課題を通じてアルミィと次第に心を通わせていく。
GM:待機室では先にシェインが呼ばれ、面接後の待機室が別にあるためこの部屋には帰って来ません。少ない受験者が一人一人といなくなり、
GM:アルミィもレイラより先に呼ばれて去っていきます。去り際にレイラに小さく手を振って去っていきます
レイラ:こっちも小さく手を振り返します
GM:それからしばらくして、ついにレイラ・フェルンホルムの名が呼ばれます
レイラ:「はい!」
GM:レイラが案内についていくと、一つの木の扉の前で中に入るよう促されます
レイラ:ノックして「失礼します!」
面接官:「どうぞ」
レイラ:緊張しながら中に入って姿勢を正します
面接官:「名前は?」
レイラ:「レイラ・フェルンホルムです! よろしくお願いします!」
GM:面接官は金髪の男性騎士で、顔付を見るに40代くらいのかなりキャリアを積んだ人物に思われます。
面接官:「レイラ・フェルンホルム……フェルンホルム中隊長のご息女かな」
レイラ:「はい! 父がいつもお世話になっております!」
面接官:「なるほど。ひとまず座りたまえ」
レイラ:「失礼いたします!」と礼をして着席
面接官:「さて、レイラ・フェルンホルム。君に尋ねたい。騎士とは如何なる存在だろうか」
レイラ:「はい! 騎士とは市民の安全を守るため、人々を苦難から守る盾となるべく日々精進することと考えております!」
面接官:「……ふむ。騎士神ザイアの教えだ。ザイア様の信仰を持っているのかな?」
レイラ:「はい! 神と交信こそできませんが、祈りを欠かしたことはありません!」
面接官:「なるほど、よいことだ。習慣を持つ人間は成長する。行軍でも実戦でもよい成績を得ているようだが、毎日訓練を?」
レイラ:「はい! 兄とともに鍛錬に励んでおりました! また私は体力のなさを補うために早朝にランニングをしております!」
面接官:「良い心がけだ。聞くまでもないことかもしれないが、規則なので確認しておこう。騎士団への入隊をご両親、っと失礼、お父様は認めているのかな?」
レイラ:「……はい! 応援してくれています!」両親という言葉に一瞬だけ間があきます
面接官:「よろしい。では二つの質問が残されているが……君にはこちらから尋ねてみよう。いま、我々北レシトリア騎士団に求められていることはなんだと思う?」
レイラ:「……」少し考えます
レイラ:「良い人材の確保と軍事力の強化でしょうか? 私はクーファの出身ですが、世情は安定しているとはいえ、大破局以来まだまだ蛮族の脅威が去ったとは言い難く、地元でもフロストワイバーンやフロストパンサーなどの被害が出ることがあります。安心して生活ができるようになるには、騎士団の力が必要だと私は考えております」
面接官:「フェルンホルム中隊長殿に似て保守的だね」柔らかく笑いかけます
レイラ:鈍感なので意図には気づけません
面接官:「さて、もう一つの質問だ。本来ははじめに尋ねるべきことかもしれないから、拍子抜けするかもしれない」
面接官:「君はなぜ、この騎士団への入団を希望したのかな?」
レイラ:……
レイラ:この子、志望動機がないんですよ
面接官:でしょうね。だからこそ最後に。
レイラ:少しキョトンとして、さっきより長い時間考えます
レイラ:「私が盾となることで、市民の生活が少しでも安定すればと考えて……志願いたしました」
面接官:「なるほど、よくわかった」
面接官:「君の格闘術の実力を我々は高く評価している。安心して結果を待っていればいい」
レイラ:「はい! ありがとうございます!」
面接官:「以上だ。お疲れさま」もう一度優しげな笑みを向けられます
レイラ:「本日はお時間をいただき、ありがとうございました!」
GM:そう言ってレイラが去ったあとの部屋で、面接官は書類に所見を書き込みます。
自分の肌と頭で判断し、状況を生き抜く力に劣る。
指示に従う下士官としては優秀……云々
GM:しかし、そこに書かれた所見をレイラが知ることはないでしょう
レイラ:実に図星である
GM:さて、また少し時間を進めましょう。面接を終えた受験者の待合室には、机に肘をついて文字通り頭を抱えたアルミィがいます
レイラ:席順自由なら、隣に座って声をかけますね
GM:どうぞ
レイラ:「どうしたんですか?」
アルミィ:「レイラ……なんかわたし、全然騎士っぽいこと言えなかった……なんか面接の人ニヤニヤ笑ってたし……ダメかも。あーーーー、うん、だめだよ……」
レイラ:「あぁ……私も返答に詰まってしまいました……」
アルミィ:「レイラも? 騎士団に必要なことなんて聞かれても困るよね……でも『輝き』以外にあるのかな……」
レイラ:「かっ、輝き!?」
アルミィ:「しーーっ! 声が大きいよ!」
レイラ:「ご、ごめん。でも実地試験も考慮すると言ってくれてましたし、アルミィさんも大丈夫だと、思う」
アルミィ:「ありがとうレイラ……わたしの分まで騎士団を輝かせてね……」
GM:などと不安の吐露をしているとですね、しばらくして担当騎士さんが現れます
レイラ:ドキドキ
担当騎士:「それでは、今年の入隊者を発表する。はじめに、今回は全ての試験において高評価を得た士官候補として採用された者がいる」
レイラ:どよどよ
担当騎士:「シェイン・フェインホルム! 騎士団は君の全てを高く評価する。入隊おめでとう」
シェイン:「はっ! 光栄です」
レイラ:「!!」驚きと嬉しさと羨望が入り乱れますが、嬉しさが一番かな?
アルミィ:横で声を出さないけどアルミィがめっちゃレイラの肩を叩いたり腕をぶんぶんしたりして動きが騒がしい感じ
レイラ:落ち着いてw
担当騎士:「続いて入隊が決まったものを一人ずつ発表する。聞き漏らしのないよう」
GM:数名が読み上げられ、それぞれに訓示が与えられるなか、5人目にアルミィの名が呼ばれます
アルミィ:「ひゃいっ!!」
担当騎士:「君の自由な発想は今の騎士団に必要と判断された。期待している。入隊おめでとう」
レイラ:自由な発想wwww
アルミィ:「はいっ!!」顔がぱっと明るくなって、晴れやかな表情でレイラを見ます
レイラ:「おめでとう」小さな声で
アルミィ:抱きつきたくてうずうずしてるけどレイラがまだだから我慢
GM:さらに2人、3人と読み上げられ、それぞれに訓示が与えられます
レイラ:(私はダメだったかぁ……)
担当騎士:「レイラ・フェルンホルム!」
レイラ:「……へ?」小さい声が漏れる
担当騎士:「君のような実力あるものこそ騎士にふさわしい。今後もその拳を鍛えよ。入隊おめでとう」
レイラ:「……」言葉を反芻してじわじわ実感でてきて
アルミィ:隣で超にっこり
レイラ:「やった! やりました!」アルミィに抱きつき
アルミィ:「やったー! やったねレイラっ!」ぴょんぴょん
レイラ:「騎士団ですよ! 騎士になれましたよ、私たち!」ぴょんぴょん
アルミィ:「騎士だって! 騎士だーーっ!!」ぴょんぴょん
担当騎士:「ゴホン」
レイラ:「はっ……!」
レイラ:「し、失礼しました!」
アルミィ:「ごめんなさい!」
シェイン:これには兄貴も苦笑い……いや、微笑ましく笑うかもしれません
レイラ:座り直して、小声でアルミィに声かけます
レイラ:「失礼しました、つい……」
アルミィ:「ん? なにが?」
レイラ:「え、いや、その……怒られた件です」抱きついたっていうと恥ずかしいです
アルミィ:「ん? ……いいよー 友達なんだし、一緒に喜んで、一緒に怒られよ?」
レイラ:「友達……私たち、友達に……なれたんでしょうか?」田舎村で同世代の友達いないんです
アルミィ:「うん! レイラが友達だと思ってくれたら、わたしたちは友達! これからもよろしくね?」
レイラ:「はい! これからもよろしくお願いします。アルミィさん」
アルミィ:「『さん』はいらないよ、レイラ♪ わたしはアルミィだからね」
レイラ:「あ、えっと……これからもよろしく、アルミィ」顔赤くしてややそらす
アルミィ:「~♪」嬉しそうに満足げ
GM:そんな心通う仲間を得たあの日。
GM:レイラが自分の家を出てはじめに体験した出来事。
???:「おい、レイラ」
==========現在==========
カシウス:「レイラ、どうかしたのか?」
GM:レイラは現実に引き戻されます。レイラはいつか西に仰ぎ見た丘の上に立ち、故郷を彼方に見下ろしています。
GM:暖かな幸せに満ちていた時間は遠くに過ぎ去り、今はその記憶とこの景色に背を向けて歩かなければなりません。
レイラ:「……いえ、なんでも……なんでもありません」
レイラ:カシウスさんたちに表情を見られないようにしながら、向きを変えます
レイラ:目を閉じて、深く息を吸って、緊張を取り戻して
レイラ:「行きましょう」
GM:レイラの複雑を極める表情に気づくものはなく、ただそこには、嗅ぎ慣れた故郷の草の匂いだけが、レイラの頬に当たっておりました
GM:お疲れ様です。セッション終了です
レイラ:……お疲れ様でした
次回へつづく