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【ソード・ワールド2.0リプレイ】動き始めた歯車【英雄志望と二つの剣2nd season 2-8】

<前回 第1シーズン2nd−1カシウス過去編2nd−2

 

前回のあらすじ

自由人二人はコリンズの邸宅に侵入して好き勝手に調査し、しまいにはウサギ肉のシチューをつまみ食いして帰った。一見自由に見える二人の行動だったが、重要な情報をいくつか持ち帰っており、プレイヤーレベルでは助かる探索だった。玄関先でレイチェルと話すカシウスたちと合流したところで、重要なことを思い出す。

 

 

GM:というわけで、しばらくすると中からコーラルとアークが出てきます

コーラル:うまかったぜ

アーク:あ、こんなところにウサギ肉が……

クキバミ:食べ物ではないわい!

レイラ:「二人とも、何してたんですか!」

コーラル:「何って中でシチュー食ってたんだよ」

カシウス:「はぁ……ええとな、二人とも。レイチェルの提案で、館の中に入れないなら、館の外で犯人の調査をしようって話になったんだ」

コーラル:「あ、そ。アタイはどーすりゃいい?」

レイラ:「手伝うんですよ! そのために来たんでしょう?」

コーラル:「いや? アタイはあのおっさんの警護をしろって言われて来たんだ。まぁ面倒くせーからやらないってんならそれでもいいけどよ」

レイチェル:「そうね、フロンタさんのお仕事の依頼がどうなっているのかによっては、契約違反になっちゃうわね」

カシウス:「あー、そういえばそうだな」

 

アーク:ねぇプレイヤーとして言いたいんだけどさ

レイラ:どうしました?

アーク:僕たち、報酬の約束ってしてもらったっけ?

カシウス:……いやまさか、してもらってるだろ? 相手は騎士団だぞ?

レイラ:ちょっと思い出します(ログ見てきます)

 

(プレイヤーたちログ確認中……)

 

カシウス:おい、フロンタ報酬について何も言ってないぞ……

レイラ:てっきり依頼されたと思い込んでました

アーク:だよね? なんか記憶になかったから、あれ?って

クキバミ:なら始めにそのことを確認しに行かねばならんな

アーク:あーもう! めんどくさい!

GM:ちなみに伝え忘れとかじゃなくてGMの故意です

レイラ:よけいたちが悪いです!

 

レイラ:「……というわけで、その辺りの確認と、襲撃があったという事実を報告するために一度騎士団の営所に戻りましょう」

コーラル:「アタイはついてきゃいーのか?」

GM:置いてってもいいですが、絶対騒ぎ起こすので誰か連れてってください

レイラ:「危なっかしいのでついて来てください!」

カシウス:「ここで何か騒ぎを起こされても困るしな……」

 

GM:というわけで、続いて営所での受付に現れたのは例のルーンフォークの補佐官、ミカです。どうやらフロンタさんは例の蛮族との小競り合いの指揮のために前線に出ているようですね

ミカ:「というわけで、私が代理のミカです。どうかなさいましたか?」

レイラ:現状報告を済ませます

ミカ:「……なるほど、もう襲撃されたのですね。私たちが冒険者の派遣を決めた後でよかったです」

レイラ:「それで、引き続き警護の任務につくということでよろしいでしょうか?」

ミカ:「はい。この件は警護を行なったという事実が重要だと聞いています。引き続き宜しくお願いします」

レイラ:露骨に建前じゃないですか……

カシウス:「しかしフロンタがいないと困るんだが……まぁいいか、その依頼について尋ねたいことがあってな」

ミカ:「なんでしょうかカシウスさん」

カシウス:「実は報酬の額を詳しく提示されてなくてな。何か聞いてるか?」

ミカ:「……また隊長がいつものあれですね。では正確にお伝えします」

カシウス:「いつもの?」

ミカ:「中央からは騎士団員をあてるように言われておりますので、対応用の特別支出が直ちには用意しかねます」

アーク:しかねる

カシウス:「あぁ……」

ミカ:「隊長の意向としては、みなさまに4000G程度を用意したいそうで、私が工作にあたっておりますが、現状では保証しかねる状況です」

アーク:しかねる

カシウス:「それじゃ、フロンタはいつ戻るんだ? 報酬は正確に把握しておきたい」

ミカ:「……おそらく隊長は『大丈夫』とか『保証する』とおっしゃりますので、『把握したい』ということでしたら、私から正確な状況をお伝えした今の状況のままの方が混乱をきたさないかと思われます」

カシウス:「……」

アーク:すげぇよ、ミカは

レイラ:これ、つまり私たち、厳密にいうと

アーク:うん、正式な依頼にはなってないよ

コーラル:「あっはっは!」

コーラル:「帝国ってなぁ、いつもこんな感じだよな! 口約束ばっかでてんでアテになんねーでやんの!」

レイラ:「コーラルさん、おすわりです」

コーラル:「わんっ! って、誰が犬だコラ」

レイラ:「干し肉あげるから少し待っていてください」

コーラル:「誰が食うか!」ガジガジ

レイラ:食べてるじゃないですか!

カシウス:「……あー、つまり一人頭4000Gを基準にしてるけど場合によって変わるってことか?」

ミカ:「いえ、『保証し兼ねます』ということです」

レイラ:「……」

アーク:じゃあ依頼完了だ!

カシウス:俺たちの冒険は終わった!

 

レイチェル:「そ~こでわたしよ」えっへん

レイラ:「いたんですか!?」

レイチェル:「ちゃんとくっきーと一緒について来てたわよ、お嬢さん」

クキバミ:「帝国にもまともな人間がおるということを見せておかねばな、もっとも、数は少ないが」

カシウス:「レイチェル、何か策があるのか?」

レイチェル:「カシウス、わたしは大商人ブラックバーンの一人娘よ! それにしばらくコリンズさんのところにお世話になる予定もあるの」

クキバミ:「一番スポンサーにふさわしい立場におるのはレイチェルだの」さくら

レイチェル:「さすがくっきー、そういうこと。私の用意できるお金で、みなさんに働いていただくのはどうかしら?」

カシウス:「それはこっちとしてもありがたい。レイチェルのところなら安心できるからな」

レイチェル:「もし引き受けてくださるなら、前金ひとり1000Gに報酬ひとり3000Gの完全保証!」

コーラル:「帝国からじゃ報酬も期待できなかったが、お嬢が個人でってなら話は別だな、アタイにもでるんだろ?」

レイチェル:「もちろん海賊さんにも出しちゃうわよ」

レイラ:「え? 出ないことなんてあるんですか?」

コーラル:「アタイはいま帝国の飼い犬だからな、命があるだけでも報酬なんだよ」

アーク:(それでさっきおすわりを覚えてたんだ……)

カシウス:(なっとくだ……)

レイチェル:「それにお嬢さん、世の中って厳しいのよ。カシウスやクキバミは商人のところにいたから、騙し騙されやってきたのよ」

コーラル:カシウスが騙す……?

アーク:←商人に騙された人

カシウス:←騙され騙され騙されてやってきた人

クキバミ:契約書コワイ ガタガタ……

レイラ:騙される側の人しかいないじゃないですか!!!

 

レイチェル:「それじゃあ決まりね! というわけでこの件、帝国商会ブラックバーン商店が引き受けます。隊長さんにもそう言っておいて」ウインク

ミカ:「かしこまりました」

レイチェル:「というわけでみなさん。私がコリンズさんのところに戻るまで、警護をお願いします。そこからは犯人探しを」

レイラ:「了解いたしました!」びしっ

カシウス:「わかった」

コーラル:「あいあいさー、ボス」

クキバミ:「一刻も早く犯人を捕まえねばな」

レイチェル:「成長したカシウスのお手並み拝見ねっ♪」

コーラル:恋心が砕かれるまであと少しか……

カシウス:やめろよぉ!

 

シナリオ2-2 回り始めた歯車

依頼主  レイチェル・ブラックバーン(ブラックバーン商店)
 目標  コリンズ侯爵の暗殺を試みた犯人を捕まえて!
 報酬  前金1000G 成功報酬3000G
失敗条件 パーティの全滅あるいは犯人を捕まえずに3日経過
成功条件 犯人の拘束あるいは殺害

 

 

次回につづく