RPGアツマールが気になって仕方がない
ニコニコに新しいサービス「RPGアツマール」なるものが開設されました。何を隠そう今年の目標の一つがRPGツクールを利用したRPGの公開だったわたし。なんやかやと目標を先延ばしにしていましたが、こんなサイトまで用意されたら作ってみるっきゃありませんね。
というわけで、ちょっとだけRPGアツマールについて調べてきました。とりあえずわかったことと勝手な推測を整理しておこうと思います。
プレイヤーとして見たときの魅力
オンラインですぐにプレイできる!
最大の特徴はこれです。これまでツクール系のフリーRPGはランタイムパッケージと呼ばれている基本ソフトをダウンロードして、さらに遊びたいゲームをダウンロードして、オフライン、ローカルのPCで遊ぶという仕組みでした。
しかしRPGアツマールではブラウザでツクールのRPGを遊ぶことができます。これによってツクールげーのプレイ環境は一層簡易になり、OSやハードウェアを選ぶことなく手軽にプレイできるようになりました。
セーブデータはクラウド保存
セーブデータがcookieと一緒に削除されないか不安? そんなフラッシュゲームとは違います。セーブデータはニコニコのアカウント別にクラウド保存されるのです。これでニコニコアカウントがあれば容量など気にせず遊ぶことができるようになりました。
さらにいえば、セーブデータはハードウェアに依存しないので、ノートPCとデスクトップ、あるいはタブレットなどでセーブデータを共有することができます。これはRPGゲームのプレイ環境としては画期的ということができるでしょう。
こんな環境で個人製作のRPGを遊べるというのは、実に素晴らしいことです。それぞれのクリエイターがこんな環境を提供するには多大な投資が必要です。それをドワンゴ側が一手に引き受けてくれていると思えば、実に素晴らしいことではありませんか。
コメント機能が付いている!?
さらにプレイを楽しませてくれるのがニコニコ動画でおなじみのコメント機能です。プレイ中、(どうやら)イベント発生をキーにして、他のプレイヤーの笑いや悲鳴が流れてくるようになっています。もちろん自分自身もそこにコメントを加えることができるので、数百人のプレイヤーと一緒にRPGを楽しむことができるのです。
人気のゲームがすぐわかる
これもプレイヤーにとってありがたい機能です。話題になったゲームはトップページですぐに目に付きますし、タグ検索機能も実装されています。検索性が向上すればどのゲームが面白いのかを見分けるために多くの時間を費やす必要がありません。
また逆に、ニコニコ動画と同じようにジャンルタグが時間をかけて発達し、プレイヤーの趣味嗜好に対する応答性の高い検索が実現していくことになるでしょう。この点で今後のタグの発展にも期待したくなります。
製作者サイドから見た利点
ニコニ・コモンズに対応している
RPG製作にも素材が必要です。その点でニコニ・コモンズに対応しているというのは大きな利点です。まだ実際に投稿してみたわけではないので、どのような利用方法になっているかわかりませんが、ニコニ・コモンズ側の利用規約には対応サイトとしてRPGアツマールが登録されていました。したがって動画と同様にコンテンツツリーに対応しているのだと思われます。
ということは、ニコニ・コモンズに関連素材がアップロードされるようになるかもしれませんね。顔グラやマップチップがアップロードされるようになれば、一層開発は促進されることでしょう(僕は絵のセンス一切ないので無理ですけどね)。
クリエイター奨励プログラムに対応している
ニコニ・コモンズに対応しているということは、逆に実況動画投稿に使ってもらうことでコンテンツツリーに登録してもらえる可能性があることを意味します。そのようなコラボレーションを推進する装置として、「クリエイター奨励プログラム」があります。
クリエイター奨励プログラムは、すでにニコニコ動画やニコニ・コモンズで利用されている機能です。コンテンツをプログラムに登録することで、その再生数やコラボレーションの量に応じたニコニコポイントが配分されます。これは一定額以上なら現金にも変換することができ、クリエイターの活動を支援するプログラムです。
これまでRPGの製作をマネタイズするのは困難でした。奨励プログラム対応は個人クリエイターのモチベーションを高めることにつながり、より多くの優良なゲームの登場を支援することでしょう。
プレイヤーの反応がすぐに帰ってくる
気軽に使えるコメント機能はプレイしてくれた方からの反応をすぐに得られる点で画期的なツールとなります。演出が上手く決まったのか、プレイヤーにとってわかりにくい場所がなかったか、難易度が高すぎなかったか…さまざまな反応をすぐに確認することができます。
この意味では、動画投稿に使っていただくのも大いに参考になることでしょう。コンシューマーの反応を手軽に得ることができるというのは、大きなゲーム制作会社にとっても労のかかる作業だったのですから。
なお、こういうシーンに応じた反応を気軽に見ることができるというのは制作側にとって二つの意味でありがたいことです。一つには自分の製作物の評価がわかるということなのですが、より重要なのは第二の側面です。すなわち他の人の作品の良い点、プレイヤーに評価されるポイントをすぐに理解することができるということです。この意味で他のゲームを参考にした製作も促進されていくことになると思います。
投稿済みのゲームの更新ができる
これも投稿したわけではないので未確認なのですが、一度投稿したゲームであってもバグが見つかったり更新版が完成したらファイルを置き換える形で更新が可能です。プレイヤーたちとのコミュニケーションを通じて更新が必要と判断したときには対応することができるのです。
大々的な書き換えは推奨されないと思いますが、このようにバージョンアップにも対応しているのはありがたいことです。時間をかけてゲームの完成度を高めていくことができるというのは、クリエイターにとってもありがたい環境と言えるでしょう。
開発中ゲームというステータスが用意されている
そうした環境を支援する目的でしょうか、投稿するゲームのステータスとして「開発中」というステータスが用意されています。大型ゲームを全て製作するまで投稿しないというのは製作モチベーション保持、あるいはプロモーションの面からいっても大きな障害でした。
この機能を利用すれば、開発中のショートシナリオ、あるいは一部システムだけを搭載した体験版などのリリースが可能です。そこにプレイヤーからの意見をもらうと同時に、プロモーションを展開していくことができます。こうした成果を最終完成版に反映していけば、大きなゲームを長い期間をかけて製作するのも一つの戦略として可能になったと言えるでしょう。
もっとも、アップロード可能なファイルは300MBが上限となっていますので、その上限が大型ゲームのサイズ限界と言えます(2016年12月現在)。
気になる課題
総じて、個人的には大いに期待を寄せたいプラットフォームです。個人製作のゲームがもっと流通して、マーケット的にも大きなポテンシャルを持つようになってくれれば嬉しく思います。しかしそれでもなお、いくつかの危惧があります。
実況ウケ、ネームバリュー問題
これはコンシューマーゲームでも同じことなのですが、やはりネームバリューのある作品がランキングを独占してしまうことになるのだろうなと嘆息を漏らすところがあります。また、ゲームとして面白さを追求するより実況動画にしたときに実況者がリアクションを取りやすいゲームなどが評価されるようになってしまったらそれはそれで残念だなと思ったりします。
自分がいちユーザーとしてこのサイトに面するとき、あるいは実況動画などを通じてゲームを紹介するときに、可能な限りネームバリューではなくゲームのゲームとしての面白さを評価できる人間でありたいなと思う次第です。それと同時に、そうした趣味にも対応したタグなどが発展したらいいなと思っていたりします(ちょうどボカロにおける「感性の反乱β」的な何かが)。
2次利用素材問題
ニコニコ動画しかりですが、いずれ2次利用素材の問題が出てくるのではないかというのも案じています。ニコニコ動画に長く根付いているMADカルチャーを思えば、それに類するコラージュ作品が登場するのも時間の問題かもしれません。そうしたものは権利者の通報があれば排除できるのでしょうが、今後の展開次第ではサイト全体の倫理観を問われることになる恐れもあるでしょう。
とはいえこのところネットリテラシーや著作権意識も向上しつつあると個人的には思っているので、これは杞憂に終わるかもしれません。杞憂に終わるなら、それが一番でしょう。
まとめ
気になるだけのことはありました。このサイトいいですね。期待できますし、自分も関わりたいです。RPGツクールMVを購入している方はぜひチェックしてみてください。
というわけで、私も本格的にRPGの製作を開始することにしました! 早速企画書も用意したので、コツコツと進めてみようと思います。自作TRPGより先にそっちをリリースすることになりそうですね。とはいえ原稿も重なっているのでどうなることか…