【ダブルクロス3rdリプレイ】Crumble Days オープニングフェイズ1
Scene 1:始まり
9月某日夕刻
東京都N市 駅前バスターミナル
登場PC:百目鬼天命
百目鬼は学校での部活動を終えたあと後片付けを任され、帰宅時間がいつもよりも遅れてしまっていた。急いで駅に向かったはいいものの、さらに運の悪いことに電車は遅延。駅では「振替輸送のバスをご利用ください」とのアナウンスが繰り返されていた。
百目鬼 天命:急いで帰って修行をしなければな…バス停に向かおう
GM :バス停に向かったところで、百目鬼はよく知る女の子に声をかけられる
綾瀬 真花 :「あ、天命くんも今帰りなんだ」
NPC 綾瀬 真花(あやせ まなか)
PC1である百目鬼のシナリオロイス対象。クラスメイトであると同時に、百目鬼とは互いに意識する関係ではあるようだ。ここから少しだけラブコメ展開が発生する。
百目鬼 天命:「綾瀬か。ああ、部活で帰りが遅れてしまってな」
綾瀬 真花 :「そうなんだ。なんかわたしも色々重なっちゃって。先生のよくわからない用事で待たされちゃうし、ちょうど駅についたら電車も止まっちゃうし…改札通るまでは動いてたんだよ?」
百目鬼 天命:「お互い大変だな。俺にできることがあるなら言え。力になる」
綾瀬 真花 :「ふふっ…ありがと、天命くんはいつも頼りになるね!」
ふたりが話をしていると、バスが一台到着して乗車口を開く。電車に乗れなかった乗客たちが次々とバスに乗り込んでいくなか、綾瀬は百目鬼の服の裾を掴む。
綾瀬 真花 :「天命くん、一緒に座ろう? こんなに混んでたらちょっと…」
百目鬼 天命:「そうだな、こっちだ」手を取って一緒に乗り込みます
綾瀬 真花 :(百目鬼くんの手…ドキドキ
百目鬼の屈強な体なら、人をかき分けて席を確保するのは容易い。百目鬼は窓側に綾瀬を座らせ、自らは通路側に座ったところで、ようやく繋いでいた手を離した。二人の肩は触れ合うほどに近く、声をかけようと思って顔を向けると、今までに見たこともないほど近い距離で、綾瀬の少しだけ赤く染まった顔が見える。
百目鬼 天命:「…どうした? 熱でもあるのか?」おでこに手を添えます
綾瀬 真花 :「はわっ だ、大丈夫だよっ」
綾瀬はオロオロして手をのけようとするが、百目鬼の力には全く及ばず、まるでその手を握っただけのようになってしまう。綾瀬の顔はますます赤く染まり、視線も泳いでしまっていた。ようやくその視線を上目遣いに百目鬼に向けると、彼女は恐る恐る切り出した。
綾瀬 真花 :「あ…あの、さ…天命くん…」
百目鬼 天命:「なんだ?」手を離して聞きます
綾瀬 真花 :「天命くんの好きな子が、クラスの中にいるって聞いたんだけど…それ…って…ほんと?」
期待と不安の混じったような複雑な目が、百目鬼を見つめる。
百目鬼 天命:「それは俺が特別に好意を抱いている奴という意味か? 俺は色恋には疎くてな。そういう目で誰かを見たことはない」
綾瀬 真花 :「そっか…そう…だよね。ごめんね、変なこと聞いて」
綾瀬が明るさを作ってそう口にしたとき、百目鬼は全身に強い衝撃を覚えた。体が言うことを聞かずに空中に投げ出される、混乱する意識がスローモーションで世界を回転させる。右手の先に、同じように投げ出された綾瀬の姿。その手はしかし彼女には届かず、次の瞬間もう一度全身を襲った衝撃に、百目鬼の意識は途絶えてしまった。
あとに残されていたのは、突然の爆発により横転し炎上するバスだけだった。
百目鬼 天命:「綾…瀬…」
Scene 1:始まり 描写終了
コメンタリ
エヴァ :少女漫画みたいでドキドキしたんじゃが、妾病気かの…?
和泉 和弘 :ねぇさん少女とかww おもろいこといいますねー
エヴァ :和弘、わかっておるな?
和泉 和弘 :ぎにゃーっ
黒沼 夏目 :それにしても、ずいぶんなイケメンですね
エヴァ :妾の知るあのプレイヤーとは別人になっておるな
百目鬼 天命:いつもネタキャラばかりをやっているわけではない
エヴァ :してGMよ。お主いつもヒロインの立ち絵がこれではないか?
GM :ドキリ
黒沼 夏目 :GMの性癖なのです。そっとして差し上げましょう
エヴァ :まあ可愛いことは否定せぬがのぅ
補足コーナー
エヴァ :今回の補足はダブルクロスの特徴であるシーン制についてじゃ。
シーンとは「場所や時間を区切って作った物語の単位」じゃな。ダブルクロスはこのシーンを一つ一つこなしていくことで進行するぞ。幾つかのシーンをまとめて「フェイズ」と呼んでおってな、大きく分けて4つのフェイズからシナリオは構成されておる。
- オープニングフェイズ
- ミドルフェイズ
- クライマックスフェイズ
- エンディングフェイズ
この4つじゃな。いまはオープニングフェイズのうち1つ目のシーンを終えたところじゃ。
シーン制には大きな利点がある。それは時間の経過を考えなくて済むことじゃ。現在時刻や行動時間にとらわれていては、映画やアニメのような展開を作ることができん。一つ目のシーンでは過去の回想をして、次には東京、その次のシーンでは沖縄、またその次ではロサンゼルスにひとっ飛び…そんな劇的なシナリオ運びが可能になるのがシーン制じゃ。
つまりは物語として重要な部分だけを演出してつなぎ合わせる方法ということじゃな。ダブルクロスをプレイするときには、物語を演出することを忘れてはならんぞ。支部長との約束じゃ!
次回予告
バスの爆発炎上事故。その現場で不気味に笑う一つの影。すべてが仕組まれていたというのなら、燃え上がる炎は学生たちをどこへ導こうというのか。
死が人のつながりを引き裂くとき、“覚醒”が始まる。
次回、ダブルクロス the 3rd edition 『Crumble Days』シーン2 覚醒
ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉…
注意1:立ち絵にはすべて「ジュエルセイバーFREE」の素材を利用しています
注意2:「ダブルクロス the 3rd edition」は有限会社ファーイースト・アミューズメン・リサーチの著作物です。