【ソード・ワールド2.0リプレイ】要塞都市の出会い(後半)【英雄志望と二つの剣0-2】
GM:というわけで、騎士団の第二分隊長クリスティン・ヴェルチから走り書きの書簡があなたのところに届きます
外野:えっ、騎士団関係者?
レイラ:ヴェルチ殿から! 内容はなんと?
PC4 レイラ・フェルンホルム ハイマン/16歳/女性
この地方の北部にある北レシトリア国の騎士団に所属していた拳闘士。軍隊交流訓練のために要塞都市ダインハイトを訪れていたところ、兄の推薦によって要塞都市ダインハイトの騎士団員として編入されることになった。高い魔法適性を持った特異種族ハイマンとして生まれた代償に体が弱いものの、魔力を帯びた拳で敵を粉砕するハードアタッカー。
GM:配属替えまでの間、この周辺の地理を把握するのにうってつけの仕事がありそうだ、至急わたしの執務室まで
レイラ:では至急向かいます
GM:執務室に入ると、クリスティンが書類仕事を処理しながら待っています
クリスティン・ヴェルチ(NPC) 人間/28歳/女性
ダインハイト公国(要塞都市ダインハイトを中心とした地域国家)の首長ダインハイト公王の長女で、極めて優秀な騎士。実力主義の公国において第二分隊長の地位にまで上り詰めた。
レイラ:「北レシトリア帝国騎士団所属レイラ・フェルンホルム、ただいま参りました!」
クリスティン:「まだわたしの隊に所属することが決まったわけでもない。そう硬くなるな」
レイラ:「はいっ!」
クリスティン:「…それで、仕事という件だが、本配属の決定までの間だけでいい、冒険者と行動を共にしてもらいたい」
レイラ:「冒険者と…ですか?」
クリスティン:「不服か?」
レイラ:「いえ! そのようなことはありません! 謹んでうけさせていただきます!」
クリスティン:「よろしい。つまりは周辺の地理を把握しながら、この地域の市民的課題にも通じるいい機会には違いない」
レイラ:「はいっ!」
クリスティン:「それで、すぐにカミラという女性冒険者がお前の力を求めている仲間を連れてくるそうだ、くれぐれも、騎士団の名に恥じぬ働きを期待する」
レイラ:「はいっ!」
GM:と、威勢のいい返事をしたところで、廊下からどたどたと足音が聞こえてきて…
GM:バーンとドアが勢いよく開きます
カミラ:「くりすーー♪ この子? この子があんた一押しの子なの??」
クリスティン:「カミラ、部下の前でそういう態度をとらないでくれないか…」
ノイ:(騎士団相手にこんな無作法で大丈夫なのかな…)
アーク:「みんな見て! 騎士様だよ! かっこいいよ!」
カシウス:「うおお、ほんとだ、騎士さ…あれ? 普通だ…」
アーク:「ほんとだ、鎧つけてない…騎士っぽくない…」
ノイ:「二人とも、言葉には気を…はぁ、言っても無駄か」
クリスティン:「レイラ、どうやらこれがそうらしい。挨拶を」
レイラ:「き、北レシトリア騎士団第三分隊所属、レイラ・フェルンホルムであります!」テンションに気圧されつつ
ノイ:「はいはい、それならわたしは『冒険者の宿クラウ・ソラス所属、ノイであります!』かな? 敬語はいらないよ、あまり堅苦しいのは嫌いなの」
カシウス:「カシウス・クレイヴだ、よろしく!」
アーク:「はじめまして、騎士様に見えない人、僕はアーク」
レイラ:「は、はぁ…これから二週間ほどですが、よ、よろしくお願いします」
ノイ:(堅苦しいけど、ちゃんとしてそうな人だ、よかった…)
クリスティン:「…というわけで、わたしの仕事は終りだ。あとはやかましいから宿に帰ってやってくれ。とにかくレイラは優秀な騎士だ、わたしが保証する」
カミラ:「いやぁ、いつもありがとクリス! 暇ができたらまたデート行こうねーん」
クリスティン:「は・や・く、か・え・れ!!」
GM:というわけで、みなさんは執務室から叩き出されまして
GM:話しながら冒険者の宿に帰りましょうか
カミラ:「というわけで、ええとレイラちゃんが加わりました、おめでとう!」
アーク:「よろしく!」
ノイ:「堅苦しいのはなしでいこうね」
カシウス:「敬語とかいらないからな!」
アーク:「『けいご』ってあれでしょ? 商人が使うやつ!」
レイラ:(これにはレイラも苦笑い)
ノイ:「それは違うの、『ごますり』してるだけ」
アーク:「ごますり? 何もすり潰してなかったと思うけど…?」
カシウス:「ごますり? 商人は何もすっちゃいないぞ…?」
外野1:公益標準語すらままならねぇのかこいつらww
外野2:旅芸人でもこれよりはマシだぞ
ノイ:「自分が下で相手が上、それを刷り込んで相手に優越感を与える。そういうつまらないコミュニケーションのこと」
アーク:「へーよくわかなんない」
ノイ:「軍隊の規律としてはいいんだろうけど、私たちは仲間で、対等であるべきだと思うの」
カシウス:「なるほど(わからん)」
ノイ:「二人はどうでもいいけど、レイラにね。だから私たちに敬語はいらないよ」
レイラ:「その様なことは思っておりません。わたしにとってはこれが普通です」
ノイ:「うん、無理してないのならいいんだけど」
レイラ:「ありがとうございます。考慮しておきます」
カシウス:「なあ、騎士っていうのはみんなそう堅いものなのか?」
レイラ:「いえ、皆が皆というわけではありません」
アーク:「なんで騎士様なのに剣も鎧もないの?」
レイラ:「全員が装備しているわけではありませんので」
ノイ:(助かった…相手しなくてよくなった…)
GM:そんな会話をしながら、意気揚々と冒険者の宿に帰還します
サラー:するとそこでナレーションが入ります
一同:ファッ!!?!?
4人が店に帰ってきたとき、店の空気が一変していた。
店内の者達が客も店員も含め皆がある一点、カウンター席に座る男を見つめていた。鮮やかな金髪、切れ長の瞳に憂いを帯びた碧眼、透き通った白い肌。美男子。夢見る女の子ならおとぎ話の王子様の姿をそこに幻視するかもしれない。カウンターテーブルに肘をつき掌で顎を支えただけのその姿も、彼の体を借りればもはや芸術だ。
しかし、彼は絵画でも彫刻でもない。テーブルの上に置かれたシフォンケーキに小さなフォークを挿れる。洗練された優雅な所作。ひらりと舞い上がった一切れが、口に収まる。まつげの長い瞼が降りる。食べるというより、たしなんでいる。喉が一つ動き、その小さな唇の間から、小さく溜息が漏れる。
そして…
サラー:「おいしいぃじゃないのよぉ、このケーキぃ! アタシ超感動しちゃってるんですけどぉ~♪」
PC5 サラー 人間/19歳/男性
突如現れた美しくも謎多きオネェ。どこで身につけたのか優れた弓術の腕を持つ。美少年の容姿とは不釣り合いな性格をしているが、そのために人と打ち解けやすく、新しい土地でもすぐに適応して仕事を得ることができる。一体どういう流れでこの冒険者にたどり着いたのかは不明だが、その人格上の都合から実家から離れてしまった線が濃厚か。
カシウス:やばいww 濃すぎるwww
レイラ:すでに事件ですね…
サラー:「ちょっとマスター! これほんとおいしいわぁ。レシピ教えてよ、企業秘密っていうなら無理には聞かないけどぉ」
ゴリさん:「いくら兄ちゃんが美男子でも、レシピは教えねぇよ」
カミラ:(なんだ、いったいなんだあの意味のわからない存在は!!?)
アーク:「なんだか気持ち悪い人がいるね…」念のためバニッシュしてみようかな
サラー:「あらん?」
アーク:「あんな気持ちの悪い人さっきまでいたっけ?」
サラー:「あら、気持ち悪いとは随分ご挨拶ね、ぼうや」フォークふりふり
ノイ:「…ふっ、ふふふ…」笑いをこらえきれない
アーク:「はじめましておにーさん、僕はアーク。変な喋り方だね」
カシウス:「…女じゃないのか?」
サラー:「はい、はじめまして。おにーさんじゃなくて、そうねぇ…サラ姐ぇさんって呼んでくれると嬉しいわ」
アーク:「へぇー 男の人なのに女のしゃべり方するなんて、都会の人は変わってるんだね」
レイラ:「おそらく都会の人だからというわけでは…」
ノイ:「…えーと、わたしちょっとお皿洗いして頭冷やしてきていい?」
サラー:「ところで、ここにいたら来るっていう新人冒険者たちって、あなたたちかしら?」
アーク:「僕たちのことなの?」
ノイ:(きっと違う…そうきっと違う…
カシウス:「いちおう、俺たちも新人の冒険者たちではあるけど…」
カミラ:(ちょっとゴリさん! 違うわよね!? ノイをこんな変な人に預けようっていうんじゃ…ヒソヒソ)
ゴリさん:「うん? これでなかなかやるみたいだ、悪くはねぇと思うぞ」
サラー:「あらぁ! やっぱりそうなのね」席を立って女の子組に近寄ろうかしら
ノイ:「えっ」
レイラ:びくっ
サラー:「アタシはサラー。もしよかったら、お仲間にしてもらえないかしら?」ほおに指を当てつつウィンク
アーク:「おにーさん仲間になってくれるの!?」
サラー:「あなたたちがよければね。弓の腕はそこそこよ。そっちのお兄さんもいいかしら?」
カシウス:「もちろんだ。仲間が多いに越したことはない、楽しいからな」
レイラ:「よ、よよ、よろしくお願いします! き、ききゃ 北レヒトリア騎士団しょぞ 第三分隊所属、レイラ・フェルンホルムです」
外野:動揺隠せなさすぎだろw
ノイ:「カミラがいいならいいけど…」
カミラ:「…もう私の役目は終わったわ。ここからはあなたたちが決めることよ」
アーク:「じゃあ一緒に冒険しようよ!」
サラー:「決まりね♪ よろしくぅ~」
レイラ:(ほんとに、こ、こんな人たちと一緒に…私が…?)
サラー:「さて、アタシまだケーキを余らせてたのよね」
カシウス:「ケーキはいいぞ。形が崩れないように食べるのがちと難しいがな」
アーク:「けーき? 食べ物なの?」
ノイ:「あ、ゴリさん、わたしもそろそろケーキ補充したい」
ゴリさん:「補充ってなんだ、補充って まあいいパーティ結成の祝いだ、人数分出してやるよ」
アーク:「ほんと!? 初めて食べるなぁ!」
GM:無事にパーティ結成されたけど…事前にキャラクターの個性聞いてたけど…けど…
GM:大丈夫なのか!? これ大丈夫なのか!?
アーク:パーティ名決めるぞー
カシウス:かっこいいのにしようぜ!
ノイ:あー、パーティ名かー
レイラ:まだ本所属ではないので…
サラー:美しいのがいいわね
GM:…よ、よし、ケーキを食べながら、冒険者としての心構えなどをカミラに講釈されまして
アーク:しかしケーキの美味しさに話を全く覚えておらず
レイラ:ケーキは失敗だったようですね…
ノイ:「いやー やっぱりこの店のケーキはおいしいよねー」
サラー:「ゴリさん、紅茶も淹れてもらえるかしら?」
ノイ:「ケーキに紅茶、サラよくわかってるねぇ!」
アーク:「セコ茶?」
レイラ:「あ、セコ茶おいしいですよね」
カシウス:「えっ!? 知ってるのか!?」
GM:という具合に、みなさんが少しずつ打ち解け始めたところで
GM:冒険者の宿の扉が勢いよく開いて、若々しい高い少年の声が次のように響きます
???:「ここに来れば冒険者がいると聞いた! 喜べ! 仕事を依頼しに来たぞ!」
※立ち絵はジュエルセイバーFREEの素材を元にしたトレースです。レイラのプレイヤーがロゴ・地図・紋章・立ち絵の全てを用意してくれました。改めまして感謝!