TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

アパッチ・ロングボウについて語ろう

別に兵器マニアというわけではないのですが、最近訳あって自衛隊の兵装について調べる機会がありました。そこで戦闘ヘリ、AH-64Dアパッチ・ロングボウがどうにもかっこいいので、ひと記事分の分量だけアパッチ・ロングボウについて調べてみることにしました。

 

そもそも、戦闘ヘリの歴史はいつ頃に始まるのでしょうか?

記録によれば、第二次大戦末期にドイツで運用されたフォッケ・アハゲリスFa223という機体が初めての戦争用ヘリだったようです。とはいえ、少数生産のうえ機体性能が低く、本格運用には至らなかった模様なのですが。

 

兵器が運用されるには理由があります。

そもそも戦闘ヘリというのは、不安定な地形で歩兵の火力支援を行うのが目的です。地上軍の進行に随伴できる航空戦力として貴重な役割を果たすようになったのは、1960年代のことで、つまりはベトナム戦争で戦争用ヘリコプターが本格運用されました。

欧州大戦を前提として開発された戦車や装甲車の運用は、密林地帯では困難です。そこで運用されたのが、いわゆるガンシップです。アメリカ軍で1950年代を通じて開発計画が進行した結果生み出された、空飛ぶ歩兵輸送装甲車であり、機銃座だったというわけです。

しかし、ベトナム戦争後に新たな教訓を得ることになります。旋回性能が弱いためにヘリからではうまく狙いをつけられなかったり、装甲が薄いために敵の迫撃砲で撃墜されてしまったり、実戦投入には困難続きだったのです。

 

そこで本格的な戦闘ヘリ開発計画が持ち上がり、戦闘ヘリの大きな転換点を迎えます。

 

それが、重火器を搭載した戦闘ヘリの開発です。

歩兵の支援だけではなく、相手の機甲戦力撃破を目的とした本格的な戦闘ヘリがついに世界に送り出されるわけです。その嚆矢となったのは、コブラというスマートなフォルムの機体です。コブラを開発したのはベル・エアクラフト社でした。

その後、コブラの後継機開発計画において、コンセプトモデルの競争に勝利したヒューズ社がアパッチの基本設計を担当します。のちにボーイング社に統合されるヒューズ社ですが、今日に至る主力機であるアパッチシリーズを生み出したことで歴史に名を刻んだと言っていいでしょう。

 

アパッチは高性能の火器管制システムを搭載し、レーザー照準機とミサイルによって長距離からのミサイル攻撃を実現、さらに広域にナパーム弾を撒き散らす対地攻撃力、そして索敵システムとリンクした正確で旋回性の高い機関砲を運用していました。まさに地上の覇者として君臨する超高性能機としてローンチしたのです。

以降、様々な追加兵装が開発され、多彩なバリエーションが生み出されています。

 

と、前説が済んだところで、そんなバリエーションの一つであるアパッチ・ロングボウを詳しく見ていきましょう。

 

アパッチ・ロングボウの最大の特徴は、その名前にもなっている「ロングボウ火器管制レーダー」を搭載していることです。ロングボウ火器管制レーダーは、その名に恥じぬロングレンジでの火器管制を実現しています。

旧来の火器管制システムでは、砲手が視認した対象に光学レーザーを照射することで照準していました。これでは対象の視認性が低かったり、複数の対象に連続的に攻撃を行ったりする際にシステムの脆弱性が露呈してしまいます。また、照準のためにヘリの機動性を犠牲にするという最大の弱点がここにあったのです。

そこでロングボウ火器管制レーダーでは、あらかじめ広域をレーダーによって索敵し、一帯の同型機、そして作戦司令部と情報を共有します。撃破優先順位が指定されると、搭載されている管制コンピューターが砲手の操作ディスプレイに反映し、自由姿勢からミサイル攻撃が可能になりました。これによって、悪天候も粉塵も煙幕もなんのその。高い機動性から高火力の対地攻撃が可能になったのです。

こうして、アパッチは戦闘ヘリ界の頂点の座を揺るぎないものとしました。

 

このアパッチ・ロングボウが実戦投入されたのは1991年の湾岸戦争のときです。280機ほどが実戦投入されて活躍しています。以降世界的にもアパッチ・ロングボウ旋風が吹き荒れ、英米・中東の西側諸国、そしてインドや日本、台湾などの親米アジア諸国で採用されています。

 

しかし、アパッチ・ロングボウの時代は終わろうとしています。

現在アパッチ・ロングボウのさらなる改修型である「アパッチ・ガーディアン」の試験が進んでいます。これは指揮通信ネットワーク性能を向上させたほか、飛行継続時間も向上、さらにはヘリを拠点にして無人戦闘機の遠隔操縦が可能になるというぶっ壊れ性能を誇っています(ファンネルかよ)。

自衛隊がようやく30機程度を買い入れたと思ったら、さらなる最新鋭機が導入という流れです。なんだか悔しいような、さらにかっこいい兵器の登場が嬉しいような…

 

いずれにしても、これからも同盟国アメリカの軍事力は私たちの安全を大いに保証してくれそうな模様です。