【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】小島に潜む巨悪【Part.1】
【前回のあらすじ】
バイト先で知り合った郁三と川越は、愛牛花子を連れて日本の南方に浮かぶ小異国「小蘭島」へと向かう。二人の旅は、ありがちなお気楽珍道中になるはずだったのだが…。オリジナルシナリオ「小島に潜む巨悪」はここから始まります。
川越「ボイセ初だからなぁ…どうキャラ付けしたらいいか」
KP「あ、それなら、オフセとボイセで慣らした郁三さんがお手本を見せてくれますよ」
郁三「えっ?」
KP「というわけで、シナリオとは絡まないことを前提に、小型のプロペラ機で島に向かって飛んでいるとき、パイロットと会話をしましょうか。郁三さん、どういう感じでRPするか、お手本をお願いしますね」
郁三「ま、任せとけ…ちっくしょう!」
郁三さんのガタガタロールプレイ
パイロット(KP)「お兄さんたちみたいな若い人で、あの島に行くって人は珍しいんですよ。観光か何かで?」
郁三「観光だけども、おら、電車以外の乗り物ってはずめてだから、落ちねぇがすんぱいですんぱいで」
パイロット「古い飛行機ですからね。ちょっとしたことでトラブルになって落ちちゃったり…」
郁三「ひえぇぇっ、川越さん、おらおっかねぇぞ、だすけてくんろ」
川越・KP「早っ!」
KP「川越さんに話振るの早すぎません?」
郁三「やっぱり?」
KP「もう少し頑張れ! どうしてそこで諦めるんだ!」
KP「みなさんの眼下には、一面に広がる太平洋の海です。そこに太陽光が反射してキラキラと輝き、爽やかな旅の始まりを演出してくれることでしょう(BGMポチー)。水平線の先に見えてきた島、それが小蘭島です」
川越「おお、爽やかなBGMだ」
郁三「あれが沖縄の小蘭島サァー」
KP「郁三の方言安定しませんね(笑」
郁三「じゃあ普通に話しますって… あれが、日本に残された最後の楽園、小蘭島(イケボ」
川越「郁三さん、待って! どういうこと(笑」
KP「郁三さんのガタガタぶりを見て、こんな感じでいいんだってことが分かったと思いますので、以降お気軽にロールプレイしてください」
郁三「くっそーぅ、全然できなかったゾ!」
プレイヤーズ・ノート:ロールプレイにはこだわらなくてもいい?
役割を遂行すればロールプレイングゲームです。役柄を演じる必要はありません。郁三さんはわりとロールプレイ好きなPLなのでこうやってロールプレイを要求しましたが、実際にはこういう不必要な会話をせずともセッションを楽しむことができます。自分たちの卓にあったロールプレイ量を模索して、楽しいプレイ環境を作りましょう。
パイロット「これから向かいます小蘭島は、その昔、固有種の蘭が咲き誇ったことから、そのように名付けられました。発見が遅れたこともあって、独自の文化を育んでおり、タオ族の伝統工芸と儀式、また島の各所に残る石器文明遺跡でよく知られています。もちろん、独自に育まれた自然も素晴らしいものです。この島の独自種も存在しますので、ぜひ現地ガイドにお尋ねください」
KP「といったアナウンスをしつつ」
パイロット「当機は間も無く、着陸態勢に入ります。ご着席の上、シートベルトをご確認ください。また、手荷物は上の棚か、座席の下にお入れください」
川越「でも郁三さんは花子の上に座ってるんでしょ?」
郁三「どこの神様なんだ(笑」*1
KP「では、みるみるうちに島が近づき、小さな衝撃の後、ぐっとブレーキがかかって、無事に小蘭島に到着します」
流されて小蘭島
KP「では、そろそろお二人で会話の練習でもしてもらいましょうか。宿のオーナーである佐藤志男(シナン)と合流するまで、小さな空港から徒歩で数分のところです。ちょっと資料と地図を整えますので、お二人でロールプレイしてみてください」
郁三「川越さん、ナンパしましょうよ、ナンパ。タオ族の可愛い女の子つかまえましょうよ」
川越「えっ…」
KP「この人TRPGの中でだけ女の子に積極的な残念人間なんです、察してあげてください」
郁三「ひょっとしたら、宿に可愛い女の子がいるかもしれませんよ」
川越「高い金払ったんだから、きっと若い女の子の一人くらいいるよな」
郁三「見晴らしのいいテラスに、大きな部屋、そして露天風呂…」
川越「とれたての海の幸に、日本酒を合わせて…」
郁三「あ、あそこじゃないですか? いやぁ、立派な宿だなぁ」
川越「すごいなぁ、あんな旅館に泊まれるなんて…」
KP「・・・勝手にハードル上げないでもらえます?」
川越「いやぁ、俺たちはそれくらいの期待値で行くよ」
KP「では、一人の屈強な肌の浅黒い男性が手を上げて挨拶してきます」
??「お客さん、ご宿泊のお二人ですよねー?」
郁三「チッ男か」
川越「そうです、宿の方ですか?」
志男「ええ、佐藤志男、タオ族の名前をシミナボアンといいます。この民宿のオーナー兼小蘭島ガイドをやってます。さ、こちらに」
NPC紹介:佐藤志男(シミナボアン)
タオ族の男性。小蘭島でタオ族の文化観光を促進するために、民宿を経営している。料理の腕もさることながら、タオ族の戦士として、一級品の武芸(棒術)とカヌー(チヌリクラン)操縦の腕を持っている。釣り・素潜りも得意。真面目ながらも気さくな性格で、探索者たちもすぐに打ち解けることができるだろう。
KP「宿はそう整えられているという印象は受けません。今時珍しいブラウン管テレビに黒電話、昭和から時が止まったような和室です。」
川越「おい、金出したのにどうなってんだ!」
郁三「可愛い従業員がいるなら許す!」
志男「いやぁ、従業員も俺しかいないんで、何かあったら気軽にお声掛けください」
郁三「ガッデム!!!」
川越「他に宿泊客はいないんですか?」
志男「まだ到着なされてはいませんが、もう一人宿泊なさる予定ですよ。今はたぶん、タオ族の集落の方かもしれません。そうだ、なんなら、私が車を出しましょうか?」
郁三「間違いない、これは…」
KP「これは?」
郁三「女性客だ!」
川越「・・・よし、じゃあ行きましょう!」
*1:ヒンドゥー教のシヴァ神は牛に乗って現れたと伝わる。このため、ヒンドゥー教では牛は神使として扱われる。