TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

【サプリメント紹介】アルケミスト・ワークス【ソード・ワールド2.0】

アルケミスト・ワークス―ソード・ワールド2.0サプリメント

おそらく、多くのプレイヤーが、『ソード・ワールド2.0』において、一番初めに買うべきサプリメントとしてその名前を挙げるのが、この『アルケミストワークス』でしょう(同点で『ウィザーズトゥーム』も捨てがたいですが)。 

『アルケミストワークス』に掲載されている新要素は、以下の通りです。

① 新技能「アルケミスト」の追加

② 戦利品アイテムの加工ルールの追加 

③ 武器タイプ〈絡み〉の追加

④ フレーバーとして一般技能ルールを追加

改訂版ルールブックに反映されたことで、新要素の扱いではなくなりましたが、選択ルールとして「種族特徴の強化」を記載したサプリメントでもあります。 順を追って、新要素の魅力を解説していきましょう。

 

 

 

1.新技能「アルケミスト」の追加

アルケミストは、「マテリアルカード」を消費して、戦闘中に「賦術(フジュツ)」と呼ばれる補助効果を発動する技能です。戦闘以外の場面では、戦利品の加工を行うことが可能になります。

 

「賦術」を発動できるようになると、何が良いのでしょうか?

 

たとえば、近接戦闘技能を習得したファイターが、自分に補助効果を付与したいとき、「アルケミスト」が活躍します。

もしも「エンハンサー」によって補助効果を発動すれば、貴重なMPが消費されるうえに、効果は3Rしか保たれません。しかし、「アルケミスト」は違います。「アルケミスト」なら、自分ひとりへの発動が補助動作として行えるのはもちろん、MPの消費は必要ありません。代わりに、セッション開始前に購入しておいた「マテリアルカード」を消費するだけでいいのです。さらに、戦闘補助効果の多くは6R以上の継続時間を持っており、戦闘中の掛け直しも少なく済みます。

 

「アルケミスト」の導入によって利益を得るのは前線のキャラクターだけではありません。レベル5以降、消費MPを軽減させる賦術や、魔法ダメージを増加させる賦術の習得が可能になります。

また、前線のファイターなどが自己補助を行うようになれば、消費MPは自ずと魔法攻撃に割きやすくなるのも間違いありません。

 

 

2.戦利品アイテムの加工ルールの追加

新ルール「加工」では、これまで購入によってしか手に入らなかったアイテムたちを、自らの拾得物を組み合わせることで、独自に作成することができます

アイテムの作成には1日以上の時間が必要なため、基本的にはセッション終了から次のセッションまでの間の時間に製作することになります。「戦利品を手に入れ次第加工!」というようなことができないのは残念ですが、それでもこの追加要素がゲームの面白みを増す働きをするのは間違いありません。

 

この追加要素はこれまで換金以外の目的がなかった戦利品収集を、別の意味で面白いものに変えてくれます。

基本ルールブックに記載されたモンスター達は、それぞれに撃破時の戦利品が定められていました。基本ルールブックの段階では、これらの戦利品は換金する以外の価値を持ちません。しかし、「加工ルール」と「マテリアルカード」の登場によって、それらの戦利品を保存して、加工品の材料にしたり、その場で消費して急ごしらえの「マテリアルカード」にしたりできます

 

加工によって手に入れられるアイテムは、通常高価なものばかりです。その意味では、冒険時の戦利品をしっかりとチェックしていくだけで、冒険者の資金では手が出ない高級品を手にいれる可能性が拓けます。

 

「このモンスターからはどんな素材が手に入るのかな?」

アルケミストになれば、そんなことを考えながらプレイすることができるのです。

 

 

3.武器タイプ〈絡み〉の追加

〈絡み〉武器は、鞭や鎖などに代表され、攻撃に成功すれば相手の動きを制限することができます。その制限効果は絡みつく部位ごとに異なっていて、どの部位に命中するかは、通常、ダイスによって決定されます。前線で相手の動きを制することのできる貴重な補助要員になりえます。

しかし、〈絡み〉武器を使ったキャラクターをPCとして作成するには、よほど多くのキャラクターがパーティに存在している必要があると思われます。少なくとも5人、できれば6、7人のパーティメンバーがいる状態ならば、〈絡み〉武器を使える特殊なキャラクターにもパーティ内のロールが提供されるかもしれません。

その意味では、〈絡み〉ルールはNPCの設定として利用される方が多いのかもしれません。確かに、敵キャラクターとして登場すれば、プレイヤーたちの本来の能力を阻害しつつ、効果的な戦闘を展開することが可能になるので、シナリオの難易度を左右する、いい敵になることでしょう。

 

 

4.フレーバーとして一般技能ルールを追加

「フレーバー」とは、ゲームの本筋とは関係がない、「香り付け要素」のことです。とくにTRPGでは「ゲームの攻略には役に立たず、ただロールプレイングの助けにだけなるような要素」のことを指して言います。

 

『アルケミストワークス』に収録されたフレーバーは、「一般技能」というものです。 本来の「技能」がすべて冒険と関わる技能だったのとは正反対に、「一般技能」はそのすべてが、冒険とは完全に無関係な技能です

たとえば、技能「コック」は、料理人などが有する技能ですが、冒険上の問題解決には一切寄与してくれません。また、技能「ファーマー」は、農夫が有する技能ですが、やはり冒険上の問題解決には一切寄与しません。

 

つまり、冒険者という職業を持つ人々に、「ファイター」や「ソーサラー」などの技能があるように、それぞれの職業能力を「一般技能」として数値化してみたものといえます。 これによって、キャラクターの過去の経歴を、技能として反映することができるようになりました

たとえば、以前は漁村で漁師をしていた青年が、思い立って冒険の旅に出たなら、一般技能「フィッシャーマン」を習得している、というような設定にできるわけです。そうした設定がGMの目に留まれば、ひょっとしたらシナリオの中で活躍の機会を与えてくれるかもしれません(ちょっとした釣りゲームが行われたりして)。

 

これはあくまでフレーバーなので、プレイ時には「キャラクター付け」として運用されることになります。基本的には、フレーバーはあればあるだけ、ロールプレイの楽しみを増やしてくれるので、楽しい追加要素といえます。

 

このほかにも、選択ルールとして、防御ファンブルが提案されていますが、ここでは割愛しましょう。

 

サプリメント『アルケミストワークス』の導入によって拡張される要素は以上の通りです。あなたの卓でのプレイングの幅を広げてくれること間違いなしです。 『ソード・ワールド2.0』プレイヤーの皆様は、ぜひご購入を検討してみてください。

 

 

アルケミスト・ワークス―ソード・ワールド2.0サプリメント

アルケミスト・ワークス―ソード・ワールド2.0サプリメント