【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】忘却の結末【part.07】
【前回のあらすじ】
図書館での調査を通じて、ハルカが関わっている、『鬼子』の伝承を理解した伏原。その伝承は、生まれつき歯の生えた子供、つまり沙紀ちゃんを、渡辺夫妻から奪って、大間々の北の山に捧げる必要があることを意味していた。
しかし、伏原は、これを強く拒否する。沙紀ちゃんを親友から奪い取ることなく、さらに繰り返されてきた『鬼子』の連鎖を止めるために、伏原は決意を新たにするのだった。
その矢先、日本には山羊の神が存在しないことが明らかになる。いったい大間々に伝わる神とは、何者なのだろうか…。
『とおとふたつのかみ』と『ジューニさま』
伏原「どう考えても山羊神なのに、日本には山羊神が存在しない…と。」
KP「今回はメモがはかどりますね。」
伏原「いまどのあたりなんですか?」
KP「序盤ですよ、当然。全体の1割も情報取ってないんじゃないですか?」
伏原「あー、気が重い。」
KP「でも、ハルカちゃんを助けるって主人公発言してたじゃないですか。さあ、次の行動は?」
伏原「うーん…ウェブで調べるっきゃないですね。でも何を?…あ、そうだ、ハルカちゃん!」
KP「ハルカちゃんについて調べるんですか?」
伏原「お前じゃねぇよ、ハルカちゃんに声かけたんだよ!」
KP「ああ、そういうことね。」
ハルカ「なぁに?」
伏原「ハルカちゃんって、『とおとふたつのかみさま』なんだよね?」
ハルカ「うん。そうだよ。すごいでしょ!」
伏原「お母さんも、『とおとふたつのかみさま』なの?」
ハルカ「違うよ。お母さんは、『ジューニさま』だよ?」
伏原「『ジューニさま』と『とおとふたつのかみさま』は、違うの?」
ハルカ「うん。わたしは、『とおとふたつのかみさま』で、おかあさんが『ジューニさま』。」
伏原「わかった。ありがとう、邪魔してごめんね。」
ハルカ「おにーちゃんまだ本読むの?」
伏原「もうちょっと調べ物するよ。」
ハルカ「眠らないの?」
伏原「もう少ししたら眠るよ。」
ハルカ「わかった。待ってるね。」
伏原「とりあえず、仮説は間違ってなさそうですね。『十二様』と『とおとふたつのかみさま』が別物で、いつの間にか信仰がごっちゃになってしまっている。」
KP「はい、お見事ですね。」
伏原「でも、だからなんだって話なんですよ。全然解決手段に結びつかない。」
KP「誰かが解決手段を知っているようなものではないでしょうからね。自分で見つけ出したとしても、それは信頼できないものかもしれません。」
伏原「とことんリアル路線なのね…。うーん…ちょっと疑問を洗い出しましょう。」
謎が謎呼ぶ大間々奇譚
KP「情報整理が不得手な方のために、アドバイスをしておくと、情報は目的別に整理すると、行動に繋げやすいので、目的を分類することを優先したほうがいいですよ。」
伏原「なるほど。それなら、まずはストレートに、沙紀ちゃんをさらうルートについて。」
沙紀ちゃん奉納ルート
伏原「この段階で、沙紀ちゃんが鬼子であることは確かです。さらに、沙紀ちゃんを北の山に置き去りにして、誰かに引き取ってもらえば、ミッションコンプリート、ということですね。」
KP「なるほど。」
伏原「どうせ十二神社だとは思いますが、北の山のどこに放置するのか、それが現時点では不明瞭ですね。最終手段として十二神社に放置して、失敗扱いになってしまうと、キャラクターロストに繋がります。」
KP「そいでそいで?」
伏原「このルートについては障害は少なそうですが、鬼子伝承のより詳しいところを調査しなければ、自分の命すら守れません。何か情報が得られる手段を講じなければなりませんね。」
沙紀ちゃん保護ルート
伏原「次は沙紀ちゃんを洋一から奪わないルートについて。こちらについては、まったく手がかりがありませんね。そもそも、過去にそんな例があったのかもわかりませんし。」
KP「伝承も消えかかっている今では、手がかりを掴むのはなかなか難しいかもしれませんね。」
伏原「こちらのルートを達成するためには、多分、鬼子とはなんなのか、どうしてこんな現象が発生しているのか、その本質を理解する必要があると思うんですよ。」
KP「なるほど。」
伏原「ひょっとしたら、『十二様』が求めているのは、鬼子の肉体とは限りませんから。」
KP「というと?」
伏原「だって、『禊がれる』という現象が、物理的に発生していると考えるべきなのが、クトゥルフ神話TRPGの世界でしょう?山に放置して『禊がれ』て、誰かに拾われれば大丈夫、ということは、その間に子供の身に『何か』が起きてますよ。」
KP「それからどうした?」
伏原「つまり、その『何か』をこちらの方で再現できれば、沙紀ちゃんを保護したまま、『十二様』に必要なものだけをお届けできるかもしれないわけです。」
KP「よっ、名探偵!」
伏原「さっきから合いの手ばっかりですね。ええと、これを調べるためにも、まずは子供をどこに置き去りにすると伝わっているのか、よく知らないといけませんね。」
ハルカちゃん救出ルート
伏原「さらに問題なのが、ハルカちゃん救出ルートです。」
KP「どうしてどうして?」
伏原「ハルカちゃんが神様でなく、囚われた人間というなら、話は簡単なんです。しかし、ハルカちゃんは神様ですから、そもそも、人間の理屈とは別のところに存在しています。」
KP「ほうほう。」
伏原「二度と鬼子を発生させないようにするためには、ぶっちゃけ、『十二様』を殺るしかないと思うんですよ。」
KP「邪神ハンター伏原、爆誕!」
伏原「まぁでも、その辺も、『十二様』についてもっと多くの情報を得ないといけませんね。」
KP「たとえばどういう?」
伏原「うーん…まず、結局どういう動物なのかもわからないじゃないですか。古代信仰と関わってるっぽいのは確かなので、このあたりの信仰の歴史を調べないと…あ!」
KP「どうしました?」
伏原「八宮神社のことを忘れていました。八宮神社も、この地域の古代信仰と関わっているのかもしれません。ちょっと調べましょう。」
KP「了解です。では、準備はいいですね?」
八宮神社と赤城神社
伏原「というわけで、眠る前に、八宮神社について、ウェブで調査を。」
KP「〈図書館〉ロールどうぞ。」
〈図書館〉ロール→成功
KP「では、次の情報を得られますね。」
群馬県みどり市の八宮神社
八宮神社は、八幡と関係する神社と考えられがちだが、実際には、赤城神社の八番目の分社ということにちなんで、八宮神社と名付けられている。
伏原「一つ調べりゃ次が出ますね。赤城神社についても調べたいです。どういう神を祀っているのか。」
〈図書館〉ロール→成功
KP「この地域の赤城神社が、豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)を祀っていることがわかりました。」
伏原「豊城入彦命って?」
KP「まあそのくらいボーナスしてあげてもいいでしょう。ほぼ神話上の人物で、紀元300年前後、当時の崇神(すじん)天皇の長子ですね。東国征伐を指示されて、無事に東国を平らげたのち、上毛野(かみつけの)家の始祖となります。なお上毛野家は、東国の名家です。」
伏原「あがぐげこけひ…情報がやばいですね。知らない単語ばっかりだ。」
KP「トヨピーはむかーしむかしの王子様!お城から遠い所で戦って、そこで髪の毛一派のボスになりましたとさ。トヨピーマヂ神、神社不可避。トヨピー専用の赤いジンジャスーツ、赤城神社ができました。ちゃんちゃん。」
伏原「ありがとうございます。」
KP「あのね、難しい話だと思うから難しいのであって、人間、大概、友人関係のトラブルとかに対処するときは、ものすごい情報量を処理してるんですよ。だから、まずは情報をミキサーで砕き切ってください。」
伏原「とりあえず、トヨピーマヂ神、と。(メモメモ」
伏原「じゃ、この辺で寝ましょうかね。ハルカちゃんは?」
KP「まだオダマキさんからポケモン図鑑もらえてないあたりです。」
伏原「えっ!?」
KP「キモリのレベルだけ上がっていってますね。ちょっと退屈そうです。あなたが調査を終えたのを見て、ゲームをプイッと置いて、『よくわかんない!』と言ってあなたに飛びつきます。」
伏原「かわいい。でも、朝になったら物語を進めるという発想を教えてあげないと…。」