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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.12】

【前回のあらすじ】

法律家が適当なことを言って、事件調書を見ることに成功する。被害者遺族と連絡を取ったほか、そこから退職した担当刑事との接触を図る。

伏原は次第に明るみに出てきた怪異の謎に迫るべく、一冊の本を紐解いた。

 

 

夢に本体を持つ怪異

KP「では、佐々木さんが眠る少し前、伏原さんは本を読むんでしたね。」

伏原「そうです。これで怪異の大体の姿がわかるといいんですが。」

KP「この本では、たくさんの怪異が言及されています。どういった怪異に注目して読むんですか?」

伏原「まずは『夢蛭』ですね。あとは『枯れ木のように見える怪異』です。」

KP「なるほど。それなら、わかることは次の通りですね。」

 

夢蛭と鏡写し

上野国に伝わる『夢蛭』の姿を見ることはできない。しかし、ごく稀に、鏡の中に姿を表すことがある。その姿は細長く萎れた枯れ木のような姿をしていると伝わっている。また、一説には、夢蛭はだいだらぼっちの子であるという伝承も伝わっている。

 

伏原「鏡!鏡を通せば見えるってことですね。」

佐々木「だいだらぼっちって、あのだいだらぼっちですか?」

KP「そうですよ。柳田によって、大太郎法師の転だろうと推測された、あのだいだらぼっちです。」

伏原「それって、すごくでかいんですよね?」

KP「そうですね。あ、でも、その辺の情報は〈オカルト〉ロールでいきましょう。お二人が普通にご存知の範囲は、キャラクターも知っていたことにしていいですよ。」

佐々木「つまり、でっかい化け物、というくらいのことは知ってていい、と。」

伏原「でも、だいだらぼっちって、海坊主との関係はあっても、こんな夢蛭なんかと関係なさそうですけどね。形からして全然違うじゃないですか。」

KP「伏原さん…ここで、〈クトゥルフ神話〉、いっちゃいますか?」

伏原「…いっちゃいましょうか。」

クトゥルフ神話技能とは

プレイヤーキャラクターが初期習得できない唯一の技能です。

世界の真理にどの程度気づいてしまっているのかを示す指標です。通常、シナリオをクリアしたり、魔道書を読んだり、発狂したりした際に加算されます。その対価として、最大正気度が減少するため、ゆっくり確実に、狂人に近づいていくことになってしまいます。

なお、技能としてロールし成功すると、宇宙的導きにより、目撃した怪異の正体を瞬間的に把握することができます。ある意味では最強技能です。

 KP「ここまで情報を揃えたんです。いっちゃってもいいんじゃないかな、と思うのですが。」

伏原「そうですね。どうせ12%なんて、成功しないでしょうし。」

〈クトゥルフ神話〉ロール成功

伏原「成功しましたよ!成功!」

KP「なんと!では、あなたは眠る直前のまどろみの中で、唐突に『答え』に至ってしまいます。」

・・・・・【宇宙的真理お届け中】・・・・・

伏原「なるほど!ぜんっぜん解決に役立たない!」

佐々木「なんだそりゃ!」

伏原「結局、知っていることと何にも変わりありません。つまりは、知性を食って成長し、巨大な異次元の存在に成長しようとしているんです。」

佐々木「それが、だいだらぼっち?」

伏原「はい、そういうことです。」

KP「さて、ここで宇宙的真理に気づいてしまった伏原さん。」

伏原「はい?」

KP「あなたの脊髄の中心から、何かがズズッと動くような感覚が生じます。すると、すぐに、あなたの背中に激しい痛みが生じることでしょう。」

伏原「死ぬ!これは、いわゆる、突然の死!」

KP「しかし、痛みはすぐに引きます。これによって、あなたははっきりと自覚するでしょう。あなたの体の中に、あなたが知った宇宙的真理に関わる神話生物が寄生しているという事実を。あなたは当然、SANチェックです。」

SANチェック成功 減少値 1

KP「さらに、あなたはこれにより、この怪異からの警戒度が上がります。このシナリオ中、INTを−1してください。」

伏原「うげっ、ついに正気度のみならず、知性が食われ始めた…。」 

KP「では、ここまでで今日の探索を終えましょう。」

 

幕間

KP「そして、私たちも、ここで眠ろうじゃありませんか。」

佐々木「おっ、もう4時ですか!」

KP「そうですよ。明日用事もあるんですから、限界でしょう?」

伏原「あー、気になる!」

KP「では、続きは明後日ということで。」

伏原佐々木了解です!

 

・・・翌日。KPと伏原の雑談

KP「それで、伏原さん的には、状況はどうなんですか?」

伏原「え?ああ、たぶん、神社に行って、そこで解決策について、何かしらの情報が得られるんだと思うんですよ。でも、神社をまるっと信じていいかはわからない、と。」

KP「斎藤くんについてはどうなんです?」

伏原「いや、ああ言ってますけど、彼も十中八九被害者だと思いますよ。でも、いつ暴れだすかわからないから、そばに置いておきたくもないってところです。製材所事件の二の舞は演じたくありませんからね。」

KP「人間不信が治ってきたようで何よりです。」

伏原「なんにせよ、神社に行かなきゃ始まりませんね。でも、その前に、佐々木さんは被害者にあって、刑事さんに会うんですよね。」

KP「時間合わせが大変ですね。」

伏原「あ、そうだ。何かしら、除霊の方法について、自分達でも調べてみるといいかもしれませんね。あれですよ、ほら、『夢蛭を魂から引き抜き』でしたっけ?あの言葉を追っていけば、何かに至ることができる気もするんですよ。」

KP「結構整理できてますね。よかった。」

伏原「うん、たしかに、『アンドロイド』に比べると、情報量が少ない代わりに、ものすごく考えなきゃいけないな、という感じはしています。」

KP「オープンシナリオですからね。ちょっとキーパリングも優しくしすぎたかな、とも感じていますが。」

伏原「たしかに、キーパーの導きを感じる瞬間が結構ありますね。至らないプレイヤーで申し訳ない。」

KP「いえ、むしろ、プレイングについて、初心者の佐々木さんへのアシスト、ご協力ありがとうございます。引き続きよろしくおねがいします。」

伏原「いえいえ。」

・・・・・・・・・

 

再開。そして進む侵食

・・・さらに1日後。

KP「みなさんお揃いですね。再開しましょうか。」

伏原「よーし、今日も探索するぞー!」

KP「その前に、今夜の睡眠時正気度喪失をお願いします。もちろん1点です。」

伏原「ちっ。」

佐々木「いきなりこれかー。」

KP「では、佐々木さんは、まず被害者宅に向かいましょう。」

伏原「私はまた図書館に向かいますよ。また調べたいことがあるので。」

KP「了解です。では、佐々木さんのシーンからはじめましょう。被害者宅に移動して、到着したところからですね。」

佐々木「こんにちは。ちょっと、17年前の事件について、訴訟がおこりましてね、その法務手続きのためにお伺いしました。」

遺族「これは、お金が必要な種類のものなのでしょうか?」

佐々木「いえ、ご安心ください。お金が必要になる前に済ます、というのが目的のものですから。うまくいったら、菓子折りの一つでもくだされば十分ですよ。」

遺族「はあ。それで、どういったことをお伝えすればよろしいのでしょうか?」

佐々木「ええとですね、まず、例の事件の前に、息子さんの様子がおかしかったとか、そういった様子はありましたかね?」

遺族「ええ、たしかに。パズルが好きで、よくやっていたのですが、事件の少し前から、集中力が持たないといって、なかなかできなくなっていたようでした。」

佐々木「なるほど、注意力の欠陥ね。では、電話などはどうでした?同僚から急に呼び出されたとか、逆に誰かを呼び出したとか。」

遺族「私の記憶している限り、そういったことは起こりませんでしたよ。もしかして、誰かが呼び出して、あんなことを起こしたということなのでしょうか?」

佐々木「いえ、そう主張している人がいるだけのことです。事実は警察が明かした通り、集団パニックですよ。普通に出勤なさったんですよね?」

遺族「ええ、そうです。あの日も普通に出勤して、そして、帰ってきませんでした。」

佐々木「それがわかれば十分です。この訴訟はうまくいかない可能性が高い。私がうまく事前に処理してみせますよ。ご安心ください。」

遺族「どうもありがとうございます。」

佐々木「ええ、それでは、どうも、蒸し返すようなことをお尋ねして申し訳ありませんでした。」

KP「実に鮮やかな詐欺師っぷりですね。天然詐欺師と呼ばれる私も脱帽ものです。」

佐々木「いや、法務家っていうのはこういうときに強いんですよ。」

 

 

Part.13へつづく

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