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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.00】

私の書いたオリジナルシナリオ、「肝試しのあと」は、かなりキーパリングが難しいシナリオです。問題解決のための正当な手順が定められていませんし、恐怖を演出するために、物事の本質を解き明かすことは、いくら探索しても達成できません。その意味では、私が普段書くようなかっちりと解決までの道筋の決まったシナリオとは全く異なっています。

どちらかといえば、プレイヤーとキーパーが雰囲気を共有して、夏の夜に寄り集まって怪談話をするような感覚で、ゆっくりじっとりと、恐怖を共有していく必要があるのです。

 

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今回のリプレイでは、実際の卓でのプレイを基にしつつも、雰囲気を共有するために、もっとこうしておけばよかった、というような反省も反映しながら、執筆していこうと思います。その意味では、大いに演出が加わってしまいますが、読者の皆様にはご理解いただければと存じあげます。

 

 

KP「それでは、はじめましょうか。まず、新規参加の佐々木さんを紹介します。クトゥルフは初プレイなので、今回はキーパリングも優しめにいきますので。」

佐々木「えーっと、弁護士の36歳、佐々木です。ハカセのアドバイスに従って、信用と説得、あとは法律にたくさん技能がふってあります。交渉担当ということで、頑張ります。」

KP「伏原さんも自己紹介を。」

伏原「カンフースターの伏原です。すでに狂気のアンドロイドとの一悶着に首を突っ込んで、そこで知人女性に殺されかけた経験から、人を信じられない状態にあります。でも、SANは高いので安心してください。」

KP「というわけで、今回はこの二人でプレイしていきます。シナリオのタイトルは『肝試しのあと』というもので、この『あと』という言葉に注意してください。みなさんの穏やかな日常が、肝試しを境にゆっくりじわじわと汚染されていく、そんな雰囲気を楽しむシナリオですので、そう焦らずに、ゆったり構えてプレイしてください。」

伏原「じゃあ戦闘技能の出番はないんですか?」

KP「ええ、そうですね、“みなさんが慎重に行動していれば”、完全に戦闘を避けることが可能です。」

伏原「ということは、死ににくいシナリオと見ていいわけですね。」

KP「いいえ。結構死にますよ。戦闘がないのに死ぬということは、一瞬で死に至るレベルの邪神が登場する可能性がある、ということです。」

伏原「いやだなぁ。キャラクターロストはしたくないなぁ…。」

KP「第二シナリオにして愛着が湧いてきましたか?」

伏原「当然ですよ!」

KP「佐々木さんは初プレイですから、相応にキーパーの方で助け舟を出しますからね。もちろん、それでも死んでしまうこともあるでしょうけれど。」

佐々木「まあ、死んだときは死んだときでしょう。」

伏原「ダメですよ!そんな調子だとすぐに殺しにきますよ、このキーパー!」

KP「僕は優しい方だと思うけどなぁ。」

伏原「どの口が言いますか!」

KP「別に、いつも知人が裏切ってあなたを殺しにくるシナリオばかりを書くわけではありませんから。」

佐々木「え、俺、初めてなんだけど、そんなひどい試練を与えられてるの?」

KP「いえ、別に、そん」

伏原(割り込んで)「ほんとひどいですからね。登場人物は全部信用しないでください。いつもあなたを背後から狙っていますから。」

KP「いや、だから、今回はそんなでもないですよ。前回は冒頭で注意したでしょ?だいたいみんな狂ってるから気をつけろ、って。今回はそんなことは言いませんので。」

伏原「あー、信用できねぇ。この人信用できねぇ。」

KP「ところで、佐々木さんと伏原さんはお知り合い、ということでよろしいですか?」

佐々木「ええ、いいですよ。伏原さんは私に服従を誓った後輩、という…」

伏原「おいおいおい!そりゃないっすわ!」

KP「では、伏原さんが始めの映画出演をきっかけに大ブレークした際に、当時の所属事務所をめぐるトラブルに対応していただいた顧問弁護士ということにでもしましょうか。その際に、人生観などをめぐっても意気投合し、機会があれば声をかけて様々なレジャーに赴いていたような仲、という感じで。」

伏原「それならいいですね。」

佐々木「まあいいでしょう。」

 

KP「では、始めましょうか。2015年8月初旬のことです。夏のうだるような暑さが東京のアスファルトに陽炎を浮き上がらせ、どこからともなく現れた街路樹のセミが、夏の彩りを豊かにしてくれている、そんな季節のことです。」

伏原「前回の事件から3ヶ月は経過していますね。」

KP「ええ、そういうことになりますね。」

KP「始めのシーンは、伏原さん、あなたからです。仕事で知り合った『斎藤一国(さいとうかずくに)』というフリーランスのカメラマンから、あなたに次のようなLINEメッセージが届きます。」

 

ネットでヤバい心霊スポット見つけちゃったんすけど、今度行ってみませんか?

 

伏原「前回の経験があるから、不用意には近づかないところですけど、シナリオのためです、ノっていきましょう。」

KP「あ、別に必ず参加しなければならないイベントではありません。今回のシナリオタイトルは、『肝試し』ではなく、『肝試しのあと』ですから。もちろん、断ろうとしたら『ビビってんすか、伏原さんw』という煽りが来ますけどね。」

伏原「あー、それなら行きますわ。煽り耐性あんまりないんで。」

KP「では、『伏原さんの予定に合わせて行くことにしましょうよ、いつが暇ですか?』と尋ねられます。」

伏原「13日の金曜日とかどうかな?」

KP(カレンダーを見て、13日が木曜日であることを確認してから)「ほう、いいですね、雰囲気も出るってもんじゃありませんか。それでは、『他に面白そうな人いたら誘っといてください』と返事が来て、集合場所は池袋、目的地は埼玉の北西部だと教えてくれます。」

伏原「ところで、埼玉って、私の出身地なんだが。」

KP「え?そうなんですか?何市になってるんですか?」

伏原「秩父市。」

KP「あー、あの俳優の設定まんま借りてるんですね、なるほど。(地図を見て)ええと、そうですね、埼玉の北西といえば、秩父市も含まれますね。今回赴く心霊スポットは、その近隣の小さな村、これは実在しないフィクショナルな土地なのですが、境町の山の中にある製材所跡らしいです。」

伏原「製材所?」

KP「材木の加工場だと思っていただければ。」

伏原「なるほど。」

KP「それで?どなたを誘うことにするんですか?」

伏原「もちろん、佐々木さんを。13日の金曜日の夕方から暇か尋ねます。」

佐々木「おう、週末だし、いいぞ、飲みにでも行くか?」

伏原「なんか友達が、心霊スポット見つけたらしいので、付き合ってくださいよ。」

佐々木「心霊スポット?面白そうじゃん。どこに行くの?」

伏原「埼玉の北西の材木加工場らしいです。集合は池袋で、18時頃に、友人が車で来てくれるんで、一緒に行きましょう。」

佐々木「で?女の子はいるんだよね?」

伏原「佐々木さんも誰か声かけといてくださいよ。僕も声かけとくんで。」

佐々木「よっしゃ、任しとけ。」

 

伏原佐々木「…で、誰も来てくれなかった、と。」

 

KP「(吹き出して)ぶっ…そんなところで息合わせないでください!では、結局、男三人心霊スポット肝試しが始まるわけですね。」

伏原「わー、むさ苦しい。」

佐々木「女の子が欲しい。」

 

 

Part.01へつづく

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