リプレイ本を読むことの意義
はじめてTRPGリプレイを読みました。
その作品は、こちら(リンクはkindle版)。
ソード・ワールド2.0リプレイ 戦慄のトリプルクラウン 下 (富士見ドラゴンブック)
- 作者: 北沢慶,グループSNE
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: Kindle版
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はじめてのリプレイ本で、GMリレー形式って、何を考えていたんでしょうね、私は。
このリプレイは、参加者が交代でGMを担当する、GMリレーキャンペーンです。
そのうえ、シナリオのお題はくじ引きで決められ、セッション直前に追加でくじを引いてシナリオに組み込むという無茶振り付き。
そういった性質から、キャンペーンとしてのシナリオの組み方については、シナリオのひとつめから丁寧に伏線が用意されるタイプのものでもないので、あまり参考になることはありませんでした。とはいえ、後半の伏線回収の仕方については、なかなか見事なシナリオ構築という印象を持ちました。
一方、シナリオ単発でどういう魅力があるかと考えると、実に勉強になることの多いリプレイ本でした。
それぞれのシナリオの中に、ひとつだけ、イベントマップが用意されていて、その盤上でのゲームが行われるというパターンが多かったのです(ダンジョンマップからヘクス、ウィルダネスアドベンチャ、しまいにはおはじきゲームまで)。こうしたイベントマップの利用は、これまで自分のシナリオでも積極的に行ってきましたが、そのバリエーションと発想の幅は、明らかに不足していました。
基本的なこととして、同じダンジョンマップでも、不必要に広くせず、ただイベントが配置される部屋だけがあれば十分だということがよくわかりました。逆に言えば、すべての部屋を探索させたいなら、相応の情報収集による謎解きを用意せよ、ということです。
また、いたずらに戦闘させればよいものではなく、プレイヤーに逃げるという判断を促す場面を作り、それをどうやって回避するかについて頭を悩ませるべきだということも読み取れました。
人の書いたシナリオとそれに基づくゲームプレイを読むことは、こうも勉強になるのかと感心させられた次第です。
しかし、私が作るシナリオと明らかに異なるのは、シナリオの自由度です。この点については、一人がすべてを作る連作キャンペーンではないので、事情が変わってくるのでしょう。様々なエンディングの可能性とルートを考慮した分岐処理をシナリオに組み込むのが好きな私としては、ちょっと物足りないところもあるかな、という気持ちもないではありません。
次のリプレイ本を読むときには、そのあたりに期待して、一人のGMが書き上げた連作シナリオによるキャンペーンを読みたいと思います。