シューター×タワーディフェンスの戦術的アクション【sanctum2レビュー】
こんにちは。実は一番好きなゲームジャンルがタワーディフェンスのハカセです。世の中にはいろいろなタワーディエフェンスゲームがありますが、今回はシューターゲームと組み合わせて独特のプレイ感で楽しむことができる良作sanctum2を紹介します。
※筆者が英語のまま遊んでいるため画面が英語ですが、MODによる日本語化も可能とのことです。
シューター×タワーディフェンスの草分け
sanctumシリーズでは、FPSとタワーディフェンスを組み合わせることで、戦略性とアクション性を共存させています。それぞれの要素を取り出して個別に紹介してみましょう。タワーディフェンス
そもそもタワーディフェンスとは、防衛目標(タワー)を守るために防衛陣地を整え、一定数の敵の襲撃を防衛陣地で撃退することに主軸を置いたゲームです。具体的な戦略性はゲームによって幅が異なります。sanctum2はタワーディフェンスゲームの中でも特に複雑なシステムを採用しているため、最もシンプルな要素から順に紹介することにします。防衛施設の設置
タワーディフェンスゲームで一般的に利用されるのが防衛施設の設置です。迫り来る敵に対して自動的に攻撃してくれる防衛施設をたくさん設置して、その総火力で相手を撃退するのがタワーディフェンスゲームの基本と言えます。防衛施設には敵の種類に応じて強弱関係があるのが一般的で、複数種類のバランスをとって、様々な敵の構成に対応できるようにする必要があります。sanctum2の防衛施設もその例に漏れず、たくさんの種類の防衛施設を設置することができます。もっとも基本的なキャノンの他に、装甲の薄い敵に特に効果を発揮するガトリングや広範囲を同時攻撃するACPという衝撃兵器などのバリエーションが整えられています*1。プレイヤーはこれらの防衛施設の設置比率を考え、あらゆる敵に対応できる防衛陣地を構築しなければなりません。
アップグレードとターゲット
ただ防衛設備を並べるだけではなく、施設の攻撃力や攻撃速度を高めるアップグレードのシステムが搭載されています。敵の攻撃を1ウェーブやり過ごすと追加のコストを得ることができ、プレイヤーはそのコストで新しい施設を建設するのか、既存の施設を強化するのかを選ぶことになります。強化された設備を効率よく使いたいと考えると、その設備の特徴を活かしたターゲット設定をしたくなるところです。たとえば先ほど紹介した装甲の弱い敵に特化したガトリングが、より確実に装甲の薄い弱い敵を攻撃するように設定できれば、防衛施設の効率はさらに高まります。
このゲームでは「HPの最も高い敵」「HPの最も小さい敵」「最も近い敵」「デフォルト」の4種類のターゲット設定が可能です。たとえばガトリングなら「HPの最も小さな敵」に設定しておけば、足の速いザコ敵だけを優先して攻撃してくれるはずです。逆に1撃の圧倒的な火力を誇るスナイパーライフル型の設備は「HPの最も高い敵」に設定して、大物を撃退する支援となるように設定してみましょう。
ルート設計
以上の要素は通常のタワーディフェンスでも取り入れられることが多いのですが、一部のゲームでしか楽しめないのが「ルート設計」という要素です。あらかじめ敵の通る道が決まっているタワーディフェンスも多いのですが、このゲームでは障害物となるブロックをプレイヤーが設置して、相手が通過するルートそのものを設計します。
この要素が組み合わせられることで、それぞれの防衛施設が持つ射程を意識して、施設を最大限活用するルート設計という戦略要素が加えられます。同じように蛇行させるとしても、兵器の射程内で蛇行させるのと射程外を蛇行させるのとでは効果が全く変わってしまいます。
この要素が加わることにより、プレイヤーのとりうる戦略の幅は大いに広がっています。足の速い敵と遅い敵を切り離したり、兵器を分散させたり逆に密集させたり、ルートのどの部分でどのタイプの敵を削り落とすのかをデザインしていくことになるのです。
シューターゲームとして
一方、sanctum2はシューターゲームでもあります。ゲームは常に一人称視点で進行し、プレイヤーはアサルトライフルやショットガン、グレネードなどの銃器を利用して敵に直接攻撃します。防衛施設だけで敵を撃退するには心もとなく、プレイヤー自身の攻撃もミッションの成否を握る重要な要素となっているのです。アクションはシンプル
FPSになっているとは言っても、メインはタワーディフェンスなので操作はシンプルです。スコープを覗いて射撃したり、サブのグレネード類を射出するという基本動作の他には、せいぜいジャンプくらいしかアクションはありません。スライディングや緊急回避などの操作は要求されないため、FPSのアクション要素がゲーム全体を左右する要素は1〜2割程度に抑えられています。パッシブ能力が戦略の要
一方、プレイヤーキャラクターには最大3つの「パーク」というパッシブ能力を搭載することができます*2。ステージ開始時に選択するのですが、アクション要素よりこちらの方がよりゲームの成否を左右すると言っていいでしょう。プレイヤーはパークの組み合わせによってゲームをコントロールできます。たとえば「弱点に命中したときのダメージ増加」などのアクション要素により大きな影響力を持たせるものを搭載すれば、1〜2割程度だったアクション要素の影響力は明らかに増大します。精密な射撃が得意なら、このパークを利用するとクリア確率が上がることでしょう。
一方、「攻撃命中時、防衛施設からのダメージ増加」などの支援系パークを装備すれば、攻撃を当てるだけでも大きな貢献をすることができます。大抵のステージでは防衛設備が与えたダメージは全体の6〜7割程度に達するため、ここを強化すればより高い火力が期待できるのです。
他にも「相手を踏みつけるとダメージ」とか「近くにいる敵の移動速度を低下させる」とか、とにかく様々なタイプのパークが用意されています。ステージと自分の技量に応じたパークの組み合わせを考え、ミッションを成功に導きましょう!
協力ロールプレイと追加難易度
これら戦略要素が魅力的なsanctum2ですが、さらに4人までの協力プレイに対応しています。プレイヤーは4種類のキャラクターから1人を選んで参戦し、それぞれの役割をこなしながら防衛作戦にあたります。4つの役割
ゲームに用意されているのは4つの役職です。機動力の高いアサルトライフルのキャラクターと、瞬間火力の高いショットガンナー、範囲火力に優れたグレネーダー、そして長距離戦に特化した狙撃手です。プレイヤーキャラクターの選択は重複が許可されているため、たとえば全員がアサルトライフルで出撃することもできます。しかし4つの役職をうまく分担すると、さらに戦略性の高いゲームとして楽しむことができます。機動力の高いキャラクターが大型の敵を引きつけているところを、狙撃手が撃ち抜いたり、「攻撃を当てた敵の動きが遅くなる」パークを装備した範囲攻撃のキャラクターが敵の足を止めて、「弱点へのダメージ上昇」を搭載したショットガンナーが素早く背後に回って大ダメージを与える……こうした役割分担が機能することで、困難なミッションを攻略することができるのです。
複雑な戦略性と追加難易度
これまでに紹介したような複雑極まる戦略性は、通常難易度でこのゲームをクリアする限りでは、あまり気にすることがないかもしれません。しかし間違いなくこうした要素がこのゲームを面白くしているため、それを楽しみたいプレイヤーのための追加難易度設定が用意されています。「敵のHPが少しずつ回復する」とか「一度死亡するとリスポーンできない」などの追加の縛り要素が5種類用意されており、プレイヤーは好きなものを選んで挑戦することができます。もちろん、5種類全てを同時に課して遊ぶこともできます。
5種類の条件が課された高難易度のミッションでは、これまでに紹介した全ての技術を適切に利用する必要があります。1周遊んで終わりではなく、チャレンジングなミッションでさらなる挑戦に臨めるのは、このゲームの大きな魅力の一つと言っていいでしょう。
まとめ
Sanctum2は、FPSゲームのアクション性をほどよく取り入れつつ、タワーディフェンスの戦略性と見事に調和させたタワーディフェンス・シューターゲームです。マルチプレイヤーで協力してミッションをこなすこともでき、友達と一緒に購入すれば、かなりの時間を楽しく過ごすことができます。特にFPSゲームに苦手意識があったとしても、防衛設備の力を借りることを優先するキャラクター設定も可能で、基本的にはタワーディフェンスゲームの感覚で遊ぶことができるのは優れた特徴のひとつと言えます。sanctum2は2013年発売の古いゲームですが、いまだに色褪せない魅力を持ったゲームと言えます。皆さんも是非一度、その面白さに触れてみてください。