TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

【ソード・ワールド2.0リプレイ】幕間雑談【英雄志望と二つの剣3rd season 4−16】

f:id:xuesheng:20160606100658j:plain
前回のあらすじ
冒険者たちはフレデリックを追いかけて魔剣を求める冒険に駆け出した! フレデリックに同行していたクキバミは、アークが必ずやってくると信じ、彼らのための道しるべを作るために同行していたことを明かす。いまや冒険者たちの目標はただ一つだ!

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−23−33−4


GM:ちょっとだけ裏で幕間に入れたい一幕を作っておいたので、ここでご覧ください
GM:冒険者たちが決意を新たにフレデリックたちを追いかけて出発した頃、帝都での一幕です。

ーーーーーーーーーーーー

GM:大理石の床に彫刻の施された柱。さらに天井画まであしらわれたその部屋ですが、魔動ランプの黄色いあかりはくすんだガラスを通じてぼんやりと広がり、今はむしろ薄暗がりのような印象すら与えるでしょう。そんな寒々しい大部屋に、靴音をならして帰還したのはサイラス、あるいは親しんだ名前で呼ぶなら、サラーです。

皇帝:「魔剣を持ち帰ったか、サイラス」
サイラス:「今頃、二人の英雄志望が競い合ってる頃でしょう。兄上抜きでね」
皇帝:「……まだ冒険者風情に賭ける気か?」
サイラス:「賽の目はまだ出ておりませんので」
皇帝:「ではもう一つの要件は成ったか? スレインはなんと?」
サイラス:「概ね、兄上の提案と予測通りに事は進んでいます」
皇帝:「同じ考えだというのに手を取り合えんとは皮肉だな、ラトヴィック」
フロンタ:「全くです……」
皇帝:「ベンハートめがっ! 忌々しい! 騎士団が議会に媚びおって……みすみす反撃の機会を失うとは……」
サイラス:「……」
フロンタ:「軍団の指揮権さえいただければ、私が直ちにも……」
皇帝:「補給無しでか? ブラックバーンめが徴税権を体良くせしめたがためにこのザマだ。今や騎士団の兵糧さえ奴の手中だ」
フロンタ:「……」
皇帝:「……お前を責めているのではない。この状況下で我々にできる打開策を練らねば、開拓以来800年に及ぶ騎士団の歴史に我らが幕を下ろすことになるという事実を指摘しているだけだ」
スカーレット:「私がやろうか? 5人くらいでいいよ。バーっと行って、なんとかいう街の蛮族たちを倒せばいいんでしょ?」
皇帝:「お前は黙っていろ」
スカーレット:「はーい」

サイラス:「それで、今後の方針は?」
フロンタ:「そうだな。まずは政治を乱す者たちを抑え、帝国の統一意志としてダインハイトの奪還を……
皇帝:「思ってもいないことを口にするな、フロンタ。それは私の願いにすぎん。皇帝を中心とした政治を次の代にまで引き継ぐのは、騎士団長たる私の役目だからな。だがお前は違う」
フロンタ:「はっ。では、民の生活を守り通すことを第一目標に提案いたします」
皇帝:「問題はそのための手段だ。私欲に満ちたブラックバーンにこの国は渡せん。結果として、帝制の残存が唯一の選択肢となる。そこにおいて、私とお前が同志となっていると理解せよ」
フロンタ:「はっ」

皇帝:「……そこまではよい。帝制の護持のために、私は魔剣が必要だと考えている」
スカーレット:「いらないんじゃないの? そんなのなくても勝てるでしょ?」
皇帝:「お前は黙っていろ」
スカーレット:「……」わかってますよという表情

サイラス:「魔剣は英雄の象徴。其れを持つ者が次代を牽引する、と……しかしそれは兄上か、それとも他の誰かかはまだ決まってませんがね」
皇帝:「……お前の予測を聞こう、サイラス。担い手に相応しい者は誰か」
サイラス:「……兄上が俺に尋ねるとは。明日は雨ですかね」
皇帝:「茶化すな」
サイラス:「……俺にもわかりません。わかっていれば、俺はこの場にいない」
皇帝:「……。いずれのシナリオであっても、我らのやることは一つだな。ダインハイトを陥とす」
フロンタ:「では兵糧を北にもう一度要求すると?」
皇帝:「ダインハイト出兵のための兵とともにな。そうなれば奴も断るまい。スカーレット!」
スカーレット:「なに?」
皇帝:「5人でやる仕事だ。アイラットに行ってドグラスとコリンズを縛って連れてこい。道を開けさせる」
スカーレット:「それは無理」
皇帝:「何人必要だ?」
スカーレット:「んー……12人」
皇帝:「一人も死なせるなと言ったら?」
スカーレット:「8人の方がやれるかも」
皇帝:「いいだろう。魔動スカイバイクの使用許可を与える。今度は勝手をするなよ。サイラス」
サイラス:「はっ」
皇帝:「議会工作が要る。フロンタよりお前が良かろう。北レシトリア騎士団との交渉は騎士団内の取り決めにすぎず、国家間の外交事項に当たらないと強弁する議員を繕え。金はいくらでも使っていい。それで議会が1週間も滞れば動ける」
サイラス:「皇帝陛下の御心のままに」

フロンタ:「私は何を……?」
皇帝:「決まっているだろう。スレインもお前のなら信じるだろう。北へ向かい、兵を率いてダインハイトへ南下せよ。お前の手勢だけは伴っても良い。ただし5騎以内だ」
フロンタ:「かしこまりました。必ずや合流を!」
皇帝:「いや。私はダインハイトへは行けん。こちらの指揮はサイラスとスカーレットに」
サイラス:「……兄上はどちらに?」
皇帝:「まずは神殿へ赴き、打つ手がなく苛立つ姿を議員どもに晒す。……無論、それ以外にもあそこには用がある。しばらくかかりきりになる」
サイラス:「皇帝不在の間、またも議会に付け入る隙を与える事になるのでは?」
皇帝:「……お前の父たる先代皇帝陛下も、その目に耐えたのだろうな」
サイラス:「……どういう意味です?」
皇帝:「この国で最も優れた武人が為すべき仕事がある。お前の生まれでは知ることはないだろうがな」
サイラス:「……俺は不良息子ですからね」
皇帝:「まったくだ。ところで…」
サイラス:「何か?」
皇帝:「別に女言葉で話してもよいのだぞ」
サイラス:「……お戯れを」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

GM:というわけで、ついに彼らが動き出します
レイラ:遅すぎますよ! これまでずっと騎士団は何をしてたんですか!
クキバミ:気になる名前が二つあったな
カシウス:ブラックバーンはレイチェルの家名だな
クキバミ:もちろん知っておるとも。我をレイチェルのところに遣わしたのがその父君、ブラックバーン上院議員だからな
レイラ:皇帝が怒ってるの、間違いなくその人じゃないですか(苦笑

カシウス:もう一人のドグラスっていうのは誰だ?
レイラ:あれは帝国騎士団のトップ4の一人ですね。皇帝陛下、スカーレット・ヒューリー1番隊長、ドグラス・ベンハート重装歩兵隊長、フロンタ・ラトヴィック弓砲隊長の4人隊長制なんですよ
クキバミ:そのうち一人が議会派というわけか。たしかレイチェルが文通しておったな。頭文字Dの男と
カシウス:そんなことあったか?
クキバミ:カシウスはおらんかったからな。アークが寝込んでおるときにレイチェルの部屋をこっそり調べておいた
レイラ:女性の部屋をこそこそと……
カシウス:いや、あいつの部屋は……
クキバミ:もはやスパイのアジトじゃったな

コーラル:しっかし、あのハゲ野郎はまた後退しそうなことさせられてんな
レイラ:だからその呼び方やめたらどうですか?
コーラル:うるせぃやい!
クキバミ:しかし厄介じゃな
コーラル:なんだよ
クキバミ:コリンズといえばお主らの嫌いなアイラットの領主じゃろ? 我らが出会ったあの街の
レイラ:そうですね、フロンタさんととにかく対立してましたし……

クキバミ:スカーレットとやらが本当に8人でドグラスとコリンズを逮捕できるというなら、帝国は大混乱じゃろう。皇帝は賭けに出たと言った方がいい
レイラ:賭け……ですか?
クキバミ:議会派を投獄・粛清して皇帝派の独断で北レシトリアと共同で出兵するんじゃからな。もし失敗したら首が繋がらん危険性もある
コーラル:つまりクーデターだろ? そのまま失敗して帝国なんかぶっ壊れちまえばいいのに
クキバミ:我らにとっても人ごとではない。もはやアークは英雄になろうとしている。この盤上を左右する重要な駒じゃ
アーク:そうなの?
レイラ:全然聞いてませんでしたね……

コーラル:まーあれだろ? つまりアタイらは帝国より先に魔剣を使ってダインハイトを取り返せばいいんだろ?
クキバミ:……おそらくな。我の残した道しるべに従って、急いで来るが良い
カシウス:なんか奇妙な道しるべしか置かれてなさそうなんだが……


次回へつづく