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【クトゥルフ神話TRPGシナリオ】アンドロイドは名状しがたき夢を見るか(改訂版)6/6

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探索者たちは行方不明になった知人の捜索をするうちに一つの研究室にたどり着く。その研究室では、他の研究室と共同で、高機能のアンドロイドを生み出すことに成功していた。しかし、そのアンドロイドの動作がおかしいようだとも耳にする。いったいこの研究室で何が起こっているのだろうか? そして奇妙なアンドロイド、ミーミルとは、いったい『何』なのだろうか?

このパートでは登場するNPCについての補足とステータスが記載されている。

佐伯京介(TFEUエンジニアリングコース教授)

43歳・男性
 アンドロイド・ミーミルのハードウェアを作成した研究室の代表を務める教授。新しい大学でありまだ学生は少ないが、ロボティクスの業界では非常に優れた業績をあげており、若手の注目株として期待されている。それゆえ40歳の若さで教授に昇進し、TFEUを支える代表的な研究者の一人に数えられている。この学校に入学する学生はパンフレットなどで必ずその顔を見たことがあり、彼の研究室に入ることを目指して入学する学生も多い。また、度々メディア露出もしておりノーベル賞部門にロボティクスが存在しないためにノーベル賞を受賞できていない天才として広く国民にも知られている。
 ロボットに感覚器を搭載し視覚・聴覚・触覚の三感で情報を取得、それらの情報を内蔵したコンピュータで処理して自立的にロボット制御する技術を確立した。彼の名を一躍有名なものにしたロボットwapa(adamをひっくり返して命名)は、感覚器で収集した情報をもとに、あらかじめプログラミングされた数万種類の動作から一つを選択して実行するものだ。
 現在wapa の次世代機を作るプロジェクトを推し進めており、同大学に所属し人工知能研究で注目されている丸山准教授と共同で、前人未到の高レベル人工知能を搭載した本当の意味での『アンドロイド』を生み出そうとしている。プロジェクト開始から一年が経過し、ハードウェアが完成した新世代アンドロイド・ミーミルは、ついに人工知能と接続、試験運転を開始した。
 本シナリオのきっかけを作った人物だが、現在多忙のため登場機会はほとん どない。

丸山峙大(TFEU コンピューティングコース准教授)

38歳・男性 狂信者
 人工知能研究が思うように進まなかった時期に出席した国際学会後の懇親会の席で、カリフォルニア大学の講師だと語る黒人の研究者から「Nameless Cults」という書籍を渡される。丸山は帰りの飛行機でなんとなくその本を読み、これに完全にのめり込んでしまう。帰国後、脳研究に取り組んでいる宇宙生物ミ=ゴとの接触を果たし、ついに彼は脳缶を用いたほとんど完全な“人工”知能の構成に成功した。
 停滞していた共同研究プロジェクトにこれを転用し、人工知能はミーミルと接続される。ミーミルの登場は彼にますます大きな名声を保証するはずだった。しかしミ=ゴとの接触を通じて完全に発狂してしまった彼は、もはや大学での名声など気にしていなかった。彼は“再び”ニャルラトホテプに接触し、この世界の正しいあり方を顕現させたいと考えている。

丸山峙大(マッドサイエンティスト)

STR 10, CON 11, DEX 10, APP 11, INT 12, POW 12, SIZ 11, EDU 17
SAN 0, MP 12, 耐久力 11
目星45, 回避20
戦闘になれば、拳やキックで攻撃するが、鍛えられておらず脅威ではない。

wapa(前世代型アンドロイド)

 ワパの知能は明らかに低い。たしかにそのあたりのチャットボットよりは優秀で、自動的に身振り手振りを返すほか、視線の動きや姿勢を直す動作など、人間の微妙な動作を瞬時に組み合わせて、まるで人間であるかのように振る舞うことができる。それでも十全な聞き取り能力があるとは言えず、まだまだ開発途上という印象を与える。
 戦闘することはないので、ステータスは省略。

ミーミル(史上初の人工知能搭載型アンドロイド)

 完璧なアンドロイドである。ワパがその知能に難点を感じさせたのに対して、ミーミルはむしろその動作にだけ問題が残っているような印象を与える。言葉の選択も適切で、敬語から砕けた表現まで自在に使いこなす。時折空圧式の人工筋肉の作動モーター音に違和感を覚えこそするが、もしこの表面に人間の特殊メイクが施されていれば、人間とみなしてしまいかねないほどだ。その異様なまでに人間らしい振る舞いは、探索者たちに恐怖すら呼び起こすことだろう。
 これほどの性能はミ=ゴと狂信者丸山による脳缶を用いた半人工知能に依存している。しかしそれだけではなく、本来機能するはずではなかった複数の脳を接続した半人工知能が、狂信者西田志垣の脳が加えられたことで機能してしまったことが原因である。現在ミーミルの知能は事実上西田志垣によって掌握されており、彼はコンピュータと他の脳までも駆使して丸山とミ=ゴをも出し抜き、彼の目的達成のためにミーミルを使おうと考えている。
 複数人の脳を共有しているほか、西田がかなりの人間の POW を吸い上げてい るため、おぞましい POW・INT・EDU を持つ。文字通り「人間やめてる」レベル である。
 なお、命名の由来は、北欧神話の知恵の神ミーミルから。

ミーミル(狂気のアンドロイド)

STR 25, CON 25, DEX 10, APP なし, INT 28, POW 118, SIZ 10, EDU 38
SAN 0, MP 119, 耐久力 25
装甲 すべての部位で5点の装甲をもつ。機械の体は貫通効果や刃のある武器のダメージを半減する(端数切り上げ)
攻撃手段 組み付き30%(db=+1D6)
     体当たり50%(1D4+1D6)
     ナイフ(ツァンの清められた刀身) 30%(1D6+1+db)

西田志垣(失踪中の狂信者)

失踪時34歳・男性
 警察などにも目をつけられていた狂信者である。『血の教団』日本支部のリーダーであり、彼は個人的に「ツァンの清められた刀身」というアーティファクトを所有していた(キーパーコンパニオン p57)。この刀身を使って信者の心臓を切り出し、そこから心臓の血液の儀式によってPOWを自らに移植する ことで、いずれチャウグナー・フォーンの招来を実現できるだろうと考えていた。
 彼は中央アジアでの調査以降、チャウグナー・フォーンに魅せられ、この邪神と接触する方法を模索していた。神の託宣にしたがって行動した結果、ミ=ゴに捕縛され現在脳缶に詰められた状態である。とはいえ彼の持つ狂信者としての知識は脳缶を接続した半人工知能内の他の脳の正常な反応を駆逐するには十分だった。彼は他の脳を自らに従え、今や人間を超越した存在として目覚めている。
 彼は白い樹脂の外骨格を有したアンドロイド・ミーミルの知能として生きている。その姿はチャウグナー・フォーンの伝説で予言された、かの邪神を新しい土地へと運ぶ「白い侍者」そのものであると予感している。西田はこの姿で改めてチャウグナー・フォーンと接触を果たすべく、虎視眈々と行動を続けている。
 西田志垣としての姿で登場することはないためステータスは省略。

猪瀬奈々(「血の結社」幹部の狂信者)

26歳・女性
 西田の布教活動によって完全に狂信の道に目覚めた女性。可愛らしい身なりとは裏腹にかなり狂った思想の持ち主。
 西田に世界を救済してもらうためには手段を選ばないため、西田の情報を集める限りにおいて探索者の味方をしてくれる。しかしミーミルの正体に気がつくとすぐに手のひらを返して、探索者たちを殺しにかかってくる。頼らなければ進めないが頼りすぎると危険な女性であり、このシナリオでは彼女の扱いにおいて、プレイヤーの判断が試されることになる。

猪瀬奈々(若き狂信の美女)

STR 9, CON 10, DEX 9, APP 16, INT 14, POW 8, SIZ 10, EDU 14
SAN 0, MP 8, 耐久力10, アイデア70, 幸運40, 知識70
回避 38, 隠す 90, 隠れる 45, 心理学 45, 説得 75, 武道(合気道) 41, 薬学 16, スタンガン 40
攻撃手段 スタンガン 40%(スタン1D6戦闘ラウンド)
     武道(合気道)+組み付き 40%(1D6+db0)
     こぶし 40%(1D3+db0)

遠藤徹哉(TFEU ロボティクスコース博士課程在学)

 真面目な若手研究者。多忙な佐伯教授の代わりにラボを案内してくれる。彼はミーミルの手の制御系コンピューティングを担当しており、その能力は国際的にも高く買われている。修士課程修了に前後してワパの開発にも携わっており、佐伯ラボに置かれている自律型ロボットのすべてを解説できる。ロボットに対する興味の反面人間に対する興味が薄いのか、協働した丸山ラボについても大した印象を抱いていない。ただ佐伯教授のことは随分と慕っているようでもある。なおミーミルが暴走した場合の第一犠牲者になる。その場合、史上初めてアンドロイドに殺された人間という名誉ある死を遂げる。

竹本矩一郎(TFEU コンピューティングコース博士課程在学)

 オタク気質のプログラマー学生。共同研究の開始からしばらくして丸山先生の様子がおかしくなってしまったことで学籍の移動を検討している。同じ研究室に所属する学生として、教授が立ち入り禁止にしているサーバールームが存在することに強い不満を覚えており、どういったアルゴリズムでミーミルの人工知能が機能しているのかを知らされていないことには、指導学生として怒りすら覚えている。

俣木涼子(警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査第4係)

27歳・女性
プレイヤー人数が少なく、丸山ラボへの突入時に不安が生じる場合などに利用できるお助けキャラクター。猪瀬奈々が同行している限りは彼女が協力してくれることはない(西田も相当の危険人物と睨んでいるため)。彼女は失踪事件の調査をしているが、この一連の事件がただの失踪事件ではないと内心勘付いている。それゆえ単独で丸山ラボに突入した場合、彼女は唐突に事実に気づいてしまい、丸山とミ=ゴの手によって殺害されてしまう。
俣木涼子(文武両道のエリート刑事)

STR 11, CON 13, DEX 9, APP 17, INT 14, POW 6, SIZ 9, EDU 19
SAN 30, MP 6, 耐久力 11, アイデア 70, 幸運 30, 知識 95
聞き耳 75, 心理学 55, 説得 45, 追跡 60, 法律 65, 目星 45
攻撃手段 杖 65%(タクティカルバトン 1D8+db0)
     日本刀(不携帯) 75%(1D10+db0),
     拳銃(非番のため不携帯) 60%(S&W M39かベレッタM85F)