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【ソード・ワールド2.0リプレイ】英雄志望の進む道【英雄志望と二つの剣3rd season 4−2】

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前回のあらすじ

ドラゴンの背に乗ってたどり着いたリンディンフォーデは、砦として防備が整えられていたものの、相変わらずの調子のシン・イマオキが取り仕切っているようだった。帝都での難を逃れたフレデリックも滞在しており、長旅を終えたアークたちをリンディンフォーデの人々に紹介すると、木組みの小屋へと案内する。

 

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−23−33−4

 

 

GM:さて、相変わらずこの村の建物は簡素です。しかしロングハウスの中に入ると、思いの外丁寧に作られた机や椅子が備えられた、冒険者の宿のロビー風の光景が広がっています。そのカウンター席の高い椅子からひょいと飛び降りた身長の小さなメイド服の少女は、ほかならぬノイその人です

 

ノイ/ルーンフォーク

 第1シーズンで共に冒険していたルーンフォーク。もとプレイヤーキャラクター。PLの離脱と同時にサラーとともにフレデリックの護衛として帝都に同行してパーティを離脱していた。

 議会派の政変に際してフレデリックと共に命を狙われたが、サラーが皇帝に恭順して騎士団第一分隊長スカーレット・ヒューリーの協力を獲得。その手引きで帝都南方の港町ベルティンドットから海路リンディンフォーデに脱出した。

 感情を理解はするものの、人造人間であるルーンフォークらしく冷静な判断に優れている。過去に蛮族によって親しい人々を失っており、蛮族を血祭りにあげることには躊躇がないという血の気の多い一面がある。

 

ノイ:「……」

レイラ:「ノイさん! お久しぶりです!」

カシウス:「ノイ!? お前もここにきてたのか!」

ノイ:「久しぶり。みんな元気そうだね」

アーク:「うん! 久しぶり! 今日はいっぱい久しぶりだ!」

フレデリック:「ノイ、ゴリさんに言って飯を作ってやってくれ。 腹が減ってるんだそうだ」

ノイ:「フレッド、ゴリさんはこの時間外してるでしょ。私が作るよ。ケーキと肉とどっちがいい?」

アーク:「両方!」

クキバミ:「ニンジン!」

コーラル:「肉!」

ノイ:「はいはい、了解したよ。肉4でケーキが3。あとはニンジンね。ちょっと待ってて」

GM:ちょっとノイのテンション低めですが、誰かついていけませんか?

レイラ:たぶんカシウスさんの役目だと思います

コーラル:そうだな。カシウスかレイラだが、ノイとだったらカシウスの方がいいだろ

GM:了解です。ではちょっとカシウスのプレイングをどなたかお願いします

 

カシウス:ノイの様子が何か有り気だと思ってついて行って、みんなと離れたところで

カシウス:「嬉しくないのか? 様子が少し……な」

ノイ:「カシウスはあのあと何人くらいそうやって引っ掛けたの?」肉を切りつつ

カシウス:「何のことだ?」

ノイ:「なんでもないよ。でもさ、カシウスもわかるでしょ? アークもここに来たってことは、サラーの言ってたことが現実になるってこと」鉄板に肉を置いて

カシウス:「あぁ……………………どれだ?」

ノイ:「はぁーーーっ」

カシウス:「いや、ほらわかってるって、あれだろ?」

ノイ:「相変わらず鈍いなぁ。アークとフレデリック、どっちが首飾り……まぁ今となっては魔剣だけど、どっちが持つのか決めなきゃいけないよね」皿を並べてホールからケーキを切りつつ

カシウス:「あー……そうか」

ノイ:「あんまり再会して嬉しそうな二人に水を差してもいけないかなって思うけど、一分一秒を争う話でしょ? あ、紅茶がないけどセコ茶でいいよね?」

カシウス:「まぁな……ああ、いいけど、セコ茶ってなんなんだほんとに」

ノイ:「さあ? アークの出身地のお茶でしょ? ベルティンドットからの海路があるし、たしかセコ茶の産地ってあの辺でしょ?」

カシウス:「それでここにもあるのか……って、セコ茶の話じゃない。魔剣、どうにかしてアークに渡せないかな?」

ノイ:「…………ほんっと、相変わらずだね。はい、そっちのやつから持ってって。手伝いに来たんでしょ? あとこれ」ニンジン投げる

カシウス:「わかった……あ、クキバミは箸で食べるぞ」

ノイ:「ニンジンを? ……変なの」

 

GM:というわけで、カシウスがまずセコ茶とニンジンを持ってきますので

アーク:「この匂い! セコ茶だ!」

GM:味については謎に包まれているので好きに評して構いません

コーラル:「何だこのお茶!? あまにがしょっぱっ!?」

アーク:「えー、おいしいのに」

クキバミ:「うむ。まろやかなえぐみがある」

カシウス:「そうか? セコ茶は変なクセはない方だと思うけど……」

レイラ:「香草と砂糖で味を整えてますよ、これ」この淹れ方の話

アーク:ぐびぐび

カシウス:「まぁ水みたいに飲めるのは産地のやつだけだとは思うが……」アーク見て苦笑い

コーラル:「……あー、あれか、飲めるやつは飲めるけど飲めないやつは一生苦手な味ってやつか」

レイラ:「そうかもしれませんね。私は美味しいと思いますよ」

ノイ:「はい、お肉の人。食べそうな二人は大盛り」

コーラル:がつがつがつがつむしゃむしゃむしゃごくん

カシウス:「早い……!?」

アーク:「おいしい!」

レイラ:「寒冷地食も悪くありませんけど、やっぱりこういうのがいいですね」

カシウス:「いや、あれはあんまり……」

 

GM:とまぁそんな具合で腹ごしらえを済ませたところで、食後のセコ茶でも飲みながら、フレデリックが切り出すことにしましょうか

フレデリック:「さて、腹ごしらえも済んだところで、だ。アーク」

アーク:「なに?」

フレデリック:「事態は一刻を争う。お前がここに来てくれたのはまさに僥倖と言うほかない」

アーク:「?」

フレデリック:「…………アーク、首飾りを返してもらえるか? 約束通りだ」

アーク:返さない方がいい? 約束だし、アークはすぐに返すと思うんだけど

GM:それで構いませんよ。アークの物語ですから

アーク:じゃあ約束通り、首飾りを外して渡すよ

アーク:「うん。……ありがとう、これのおかげで僕はいろいろ経験できたよ」

GM:では、アークは首飾りを外しながらそう言って、フレデリックが差し出した手の上に首飾りを差しだそうとします

 

GM:誰か止める方は?

コーラル:あたいはアークの判断に従うしかない

クキバミ:我は止めぬ。ただ見ておる

レイラ:私も

コーラル:ここもカシウスに出てもらおう。カシウスにも意志があるはずだ

レイラ:そうですね

GM:了解です。では

 

カシウス:「待て」アークの腕をつかみます

カシウス:「俺が言うのはおかしいかもしない……でもアーク、本当にそれを渡してもいいのか?」

アーク:「これは元はフレッドのものだ。だから返さないと」

カシウス:「いや、アーク。お前の友達だからっていうんじゃないけど、俺は……いや、俺たちは、お前がこの首飾りと一緒に感じてきたこと、見てきたんだ。お前の決意も、力も。だから……」

カシウス:「お前なら英雄になれるんじゃないかって、そう思うんだ」

アーク:「僕は英雄を目指すって決めたよ。でも、約束を守れないのに英雄になれるなんて思えない。だから、これは約束通り返す」

カシウス:「アーク! フレッド、お前もわかるだろ? これはもう誰のものとか、返すとか、そういうものじゃないんだ」

アーク:「そうだね。だからフレッドにお願いがあるんだ」腕を伸ばしてフレデリックに首飾りを渡すよ

 

アーク:「フレッド、その首飾りを、もう一度僕に貸して欲しいんだ」

 

フレデリック:「……」

アーク:「……」

フレデリック:「ならばこうしよう」一度テーブルの中央に首飾りを置く

フレデリック:「アーク。私にはこの魔剣が必要だ。私は蛮族を斬りはらうために、力が必要なのだ。お前はなぜこの魔剣を求める?」

アーク:「守りたい人たちを守るため」

フレデリック:「そうだ、それは私の願いでもある。ならばここでは平等だな」ニカッと笑う

 

フレデリック:「ではアーク、お前は魔剣を使ってあの街に居座っている蛮族と戦った後、どうするつもりだ?」

アーク:あー……考えたことないよなぁ……

GM:いまのアークの考えを素朴にどうぞ

アーク:「全部終わったら? たぶん……何も変わらない。僕は冒険者だから」

フレデリック:「それで守れるのか? お前の目的はそれで果たされたのか?」

 

GM:返答できそうですか?

アーク:うーん……答えられない。アークも答えられずに黙ってしまうと思う

GM:では沈黙としましょう

アーク:「……」

GM:その様子を見て、フレデリックは続けます

 

フレデリック:「確かにお前の方が剣術では優れているかもしれない。だがアーク、私も寝ていたわけではない。本当に人々を守るならば、『統治』が必要だ。自分一人が強くても、全ての人を守ることなどできない」

アーク:「……」

フレデリック:「私は魔剣で蛮族を討ち払ったのち、皇帝に恭順の意を示し、魔剣を差し出すつもりだ。それを置いて他に、いまこのフィネアの土地を守り通す術はない」

コーラル:「……」ちょっとムカ

レイラ:「……」何も言いませんが考えとして聞いておきます

フレデリック:「カシウスの言う通りだ。私のものではないからこそ、私が魔剣を手にする。ロマンや野心で魔剣を扱ってよい時期は過ぎた。この大地のすべての民の命運がかかっているのだからな。……わかってくれるか?」

アーク:「……」違和感

 

GM:何が引っかかります?

アーク:これってフレッドが思う英雄なのかな、って

レイラ:違うでしょうね。これは政治の話です

アーク:だよね。だけど言わないよ。フレッドは現実的なことを言ってるけど、非現実的なことで返すことになるし、駄々をこねたいわけじゃないから

GM:わかりました。今回シナリオを通じて、その引っかかりを解決していきましょう

アーク:言葉にできるようにするよ

 

フレデリック:テーブルの上から改めて首飾りを拾って首にかけながら

フレデリック:「試すようなことをして済まない。アーク、これを守ってくれてありがとう」

 

フレデリック:「ふーーっ、よし」パンと自分の頬を打って

フレデリック:「私たちはここを発つ。お前たちは一休みするといい。すぐに帝国での名誉も取り戻してみせるさ」

フレデリック:「それともアーク、お前たちも来るか? 魔剣がどんなものか、一緒に見るのも悪くないかもしれないぞ」

ノイ:「……」

アーク:「……」

カシウス:「いや、俺たちも長旅で疲れてるから、少し休むよ。……気をつけてな」

フレデリック:「……まぁそうか。そうだな、旅の仲間は見繕ってはあるんだ。ここは冒険者の村だからな」

クキバミ:「じゃ、我行ってくるね、偉くなったら手紙も書くからのー」ぴょんこ

レイラ:かっるい!?

アーク:うっそ

コーラル:このウサギ……!

クキバミ:我偉くなりたいもーん

カシウス:「なっ、おい! いや、止める権利はないが……」

アーク:寂しくは感じるけど、クッキーがあまりにもいつもの調子過ぎてどうしたのか混乱するよ

クキバミ:「なんじゃ行かんのか?」

レイラ:「私も残ります。お気をつけて」

クキバミ:「ふーん、じゃ、参ろうかの」ぴょんこぴょんこ先に行く

フレデリック:「いや、引き抜きとかそういうつもりじゃなかったんだが……あのタビット、しばらく借りるぞアーク」

アーク:クキバミが出ていった扉を見ながら小さく頷くよ

 

GM:では、ここでシーンを切りましょう。これでオープニングが終了です。ここからも今回は地味な会話が続きますが、どうぞお付き合いください

コーラル:あいよー

レイラ:こういうの好きですから

 

 

次回へつづく