【ソード・ワールド2.0リプレイ】氷壁を砕け!【英雄志望と二つの剣3rd season 3−16】
前回のあらすじ
死闘を演じるアークたちとドレイクだったが、突如凍てつく風が地下空間を満たし、立つのもやっとの強風にドレイクは姿をくらませてしまう。凍てつく空気の先から聞こえてきたのは、聞き慣れぬ言語だった。
<前回 |第1シーズン|第2シーズン|レイラ個別|3−1|3−2|3−3|
レイラ:コーラルさんのところに走ってサーマルマントかけます
コーラル:手で押しのけつつ、デスサイズを杖にして立ち上がる
アーク:そうだね、僕も剣と盾を構えるよ
コーラル:ああ、最悪もう一戦だぜ
カシウス:嘘だろ……
GM:冷気に白く凍った靄が床に落ちていくと、その奥に巨大な影が浮かび上がり、その姿が明らかになります。鼻がまえに大きく突出したリザードやリルドラケン風の風貌に太くたくましいツノを生やし、その全身が白銀の鱗に包まれた生物です。首と思われる部位が長く伸び、その背にはアークたち全員を包み込んでも有り余る巨大な翼が広がっていましたが、すぐに体に沿うように畳まれます。その姿は間違いありません。伝説に聞く幻獣「ドラゴン」です。
レイラ:「……」完全に固まります
ドラゴン:「よし。終わったな。帰れ」交易共通語
コーラル:「は?」
アーク:「え?」
クキバミ:魔物知識してよいか?
GM:どうぞ
魔物意識判定→クキバミのみ成功
GM:グレータードラゴンです。レベル18。エルダーでもいいんですけどね。つまり戦っちゃダメなやつです
アーク:やばい
クキバミ:にげろやにげろー
レイラ:凍土平原ってドラゴンとの繋がりの伝承ってありますか?
GM:はい。凍土平原グラン・イチを生み出しているのは一匹のドラゴンだと伝わっています。人族と蛮族との戦いの際に遭遇したという逸話もあります
レイラ:……もう神話的存在じゃないですか
GM:さて、おそらくこのドラゴンこそ、スレイン公の言っていたこの遺跡に存在する何かには違いないのでしょう
クキバミ:じゃろうな
アーク:でもなんになるんだろう
ドラゴン:「帰れと言っているだろう。私は争いが好かない」交易共通語
アーク:「ドラゴン!」
GM:アークがそう言うと、ドラゴンがぬっと首を伸ばして鼻先をアークに近づけます。アークを一口に飲み込めそうな巨大な口の上に開いた鼻から、冷たい鼻息がふんとアークに浴びせられます
アーク:「うわっ」
レイラ:くさそう……
ドラゴン:「その首飾り、ロッテルのものだな」
アーク:「ロッテル?」
GM:見識判定7どうぞ
見識判定→アーク以外成功
魔剣の以前の所持者ロッテル・ヴェルチ
大破局の際に魔剣を使用したと伝わる英雄的人物。名門ヴェルチ家の末っ子だったのだが、とんだ放蕩息子で、ろくにレシトリアに滞在したことがないと伝わっている。しかしそのために大破局に伴うレシトリア陥落に巻き込まれず、ヴェルチ家の全滅を免れた。その後ムートランドで組織された反抗軍に加わり、レシトリア奪取作戦で敵陣中央に切り込んで一時戦死を疑われたが、直線状の白色光線が敵陣を貫き、そこを突破してロッテルの小隊が帰還したという逸話がある。そのときに地形ごと貫かれたという大通りは、現在でも「クラウ・ソラス斬開の道」と呼ばれている。
ドラゴン:「ロッテル・ヴェルチだ。もう何年前になるのか」
アーク:「ヴェルチ? フレッド?」
ドラゴン:「フレッド? ヴェルチという家名なら奴の子孫だろうな。奴も子をなしたか」
レイラ:「は、ははは」引きつった笑い「ドラゴンと普通に喋ってますよ、あの人……」コーラルに
コーラル:「いやぁ……まぁ……アークだしなぁ」
ドラゴン:「その首飾りは危険だ。力に囚われる」
アーク:「危険?」
ドラゴン:「はじめその剣を手にした者は、ここで血の海を作った。私は私の寝床のために、この地を凍りつかせた」
アーク:「さっき神様が言ってた」
クキバミ:「資料にもあったな」
ドラゴン:「その甲斐あって、ここを境にして南の平原と北の平原は争いをやめた。それぞれに安住の地を得たのだ」
コーラル:「……ん?」
ドラゴン:「そうか、互いに知らんのか。ここより北には豊かな大地があり、ダルクレムの子らが住んだ。ここより南に豊かな大地があり、ライフォスの子らが住んだ。私の作った凍土の雪解け水のおかげだな」
アーク:「そうなの?」レイラに
レイラ:全力首振り(知りません!!の意味)
コーラル:「まだ北に大地が……? なら、アタイらも……」
クキバミ:「まさか! ここが北の最果て、大陸の終着点のはず!!」
ドラゴン:「そう思っていた方がいいだろう。その首飾りと、あの魔剣がまたここで騒がしくしては叶わんからな」
アーク:「でもグラードベルドはもう魔剣を使ってた……あいつと戦うなら、僕も魔剣を使わなきゃ、みんなを守れない……」
ドラゴン:「守る? お前もそいう言葉で人々を戦に駆り立て、この地を血で穢すのだろう?」
アーク:「違う。……その血を少しでも少なくするために戦ってるんだ」
ドラゴン:「……」鼻で匂いを嗅ぐ
ドラゴン:「お前は偽りを言えるほど賢くない」
アーク:うん
レイラ:認めるんですか
アーク:だってほんとだもん!
ドラゴン:「その志を違えるな。力にはいつも責任が伴う」
アーク:「大丈夫、もう迷わないって決めてるんだ」
ドラゴン:ふーんとまた冷たい鼻息をアークにかけます
アーク:「うわっ」
ドラゴン:「だが、この地で争うことだけは許さん」
クキバミ:わがままな龍じゃのう
アーク:「わかった。こっちは戦いが起きないようによろしくね。僕はもう片方に行かなきゃ」
ドラゴン:「賢明だな」
クキバミ:GMよ、この情報だけじゃないのだろう?
GM:はい。皆さんの状況を総合すると、このドラゴンに頼みたいことがあると思います
コーラル:帝国領通れないもんな。それに伝説が確かなら、アタイらは森と山に向かう必要がある
レイラ:えっ……まさか……
クキバミ:ふむ。まぁそんな大それたことを思いつくのは我だけじゃろう。我が交渉してみせよう
アーク:お願い!
クキバミ:大きく息を吸って、喉の奥を唸らせてドラゴン語で語りかけるぞ
レイラ:あなたほんと何者なんですか!!!
クキバミ:「古の竜よ、我らの願いを聞き入れたまえ」ドラゴン語
ドラゴン:「小さき者よ、続けてみよ」ドラゴン語
レイラ:(なんかクキバミさんも話し始めたっ!?)
カシウス:(こいつらの神経どうなってんだ!?)ちびりそう
アーク:ちびったら凍って凍傷になるよ!
カシウス:我慢する!
クキバミ:「今この世界は混乱の只中。力ある蛮族が民を虐げ、更には同族の中にも不和が生じる始末……。我もこの小さき目でそれを見た。我の喉の音はその悲しみを語っているだろう?」ドラゴン語
ドラゴン:目を閉じてクキバミの唸りに静かに耳を傾けます
クキバミ:「斯様な不完全なる者の跋扈がこの大地に続くことはいかなる名において許されうるだろうか。いや、断じて許されるべきではないのだ」ドラゴン語
ドラゴン:(この者、まるで自らが舞台に立っているかのように話すな)
コーラル:役者だな
アーク:でもこの人これが素なんだ
クキバミ:「竜よ、あなたのもたらした調和を我らは歓迎する。そしていま、我らはいま、一つの不調和に直面している。この大陸そのものの崩壊をももたらす不調和に他ならない」ドラゴン語
クキバミ:「我らはいま、もう一つの調和にも偉大なる古の竜の力をお貸し願いたいのだ」ドラゴン語
ドラゴン:「志はわかった。だが、私は戦いを好まぬ。お前たちの戦いに従うことはないだろう」ドラゴン語
クキバミ:「その赤き者が申した通り。我らの求める調和は守護と救済」テクテク歩いて近づいて、用件を伝えるぞ
GM:なるほど、ではここでシーンを切りましょう。このシナリオのエンディング描写に入ります
コーラル:うさぎがガウガウ言ってるシュールな光景だったんだろうなぁ
レイラ:クキバミさんがわかりません……
GM:では、「氷壁を砕け!」エンディングです
全てが凍結した大地の中央に、氷と雪に包まれた巨大な金属遺跡。この凍てついた静寂の大地で、雪の他に唯一動くのはその表面に走る光の筋だけだ。その光がにわかに強く光ると、金属遺跡は積もった雪を払い落とし、唸りを上げてその姿を変貌させる。払い落された雪が舞って、昨日のキャンプに残された焚き火の跡は雪煙の雪崩に飲まれた。昨日までの雪嵐が嘘のような快晴。蒼天から降り注ぐ日差しを反射して、星々のように輝く雪煙の中から、巨龍が一匹垂直に舞い上がる。
ドラゴン:「落ちる者は捨て置くぞ、英雄志望たち」
アーク:「すごーーーーーい!!!」
レイラ:「置いてくったって! 魔導バイクよりずっと早いですってこれーーー!」
カシウス:「装備も落とすなよー!」
コーラル:「ひゃっはーーーっ! 風がサイッコーーだぜ!!」
その首と背にしがみつくのは英雄志望たち! いま、彼らの物語は新たな舞台へと飛翔した!
クキバミ:「なんか我かっこ悪くない?」ワイヤーアンカーでぷらーん
GM:というわけで、第3シーズン第3シナリオ、「氷壁を砕け!」セッション終了です!
一同:お疲れ様でしたー!
次回へつづく