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クトゥルフ神話TRPGシナリオ「廃鉱山の村で」の販売を開始しました

ねずぷろから離脱して自分でチームを抱えて作業するようになって8ヶ月がたちましたが、ようやくシナリオの自主販売にたどり着きました。BOOTHに自らのショップを構え、昨日同人販売がスタートしました。

 

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本日は新たに発売されたシナリオの内容について紹介しつつ、編集後記的にいろいろと裏話をしていきます。

 

 

 

シナリオ1本を収録

今回のシナリオ本ではシナリオ1本だけを収録しています。もともとは複数のシナリオを展開しようかと考えていたのですが、様々な事情があってシナリオは1本だけでの販売となりました。

廃鉱山の村が舞台

収録シナリオは現代日本の廃鉱山の村を舞台にしています。70年代に銅山が閉山され、急速に寂れてしまった村に住む友人がひどい熱でダウンしたとのことで、代わりに飲料水などを買って持って行ってあげるところから物語が始まります。事件に巻き込まれた探索者たちは、真相を解き明かすために調査を開始し、その先でこの村に隠されていた恐怖を目にすることになります。

廃鉱山という昭和の異物が村にもたらしている鈍い違和感は、村の内部の人間関係として描かれています。かつて発生した鉱毒に関する訴訟を牽引する高齢者がいて、代替わりした採鉱会社の社長は村の人々に対し怯えるようにコミュニケーションを遮断しています。かつての坑夫はほとんどが村を出て、いまは一人の老人が当時を語り継ぐばかり。代わりに鉱毒汚染の印象を拭い去りたい行政は環境系の会社を誘致しています。

オープンかつ誘導線を組み込む

こうしたリアルな舞台設定の中で、クトゥルフ神話らしい自由な探索経路と自由な解決策の選択を意識してシナリオを設計しました。その一方で、不慣れなプレイヤーのためにシナリオ側でも解決策を用意しており、情報収拾とクライマックスの判定に挑めば確実に結末を(それがいいものか悪いものかは判定次第だが)迎えることができるように工夫しました。

また、情報量が多くなりすぎないよう、NPCが物語を主導する形式をとらず、あくまで情報源に止まるように工夫してあります。このためドラマ的シナリオとは言い難いものですが、逆に無数のドラマを描くことのできる箱庭のような形に少しでも近づけたのではないかと思います。

 

裏話1:珍しく色がないシナリオ

シナリオの味付けは「プレイしたい」を生み出す

これまで僕はシナリオに「味付け」を済ませて売るというスタイルをとっていました。消費者が買おうとするときに、「このシナリオは明らかに青春ドラマを志向してるな」とか「明らかにジョークだな」とか、そういうスタンスがわかるところまで、味付けするように心がけてきたのです。

この形式の利点は、キーパー・プレイヤーの演出指針が自ずと決まることにあります。実際、僕がシナリオをプレイする際には、「めっちゃB級ホラーなシナリオあるんだけどやらない?」というような誘い方をすることが多く、プレイヤーもあらかじめ「今回はB級ホラー」「今回は青春ドラマ」などと認識を共有して、それを演出するように協力してプレイして笑うという環境があったからです。

より直接的に言えば「このシナリオをプレイしたい」という意識を生み出すためには、シナリオの「味付け」は大きな力になると考えていました。

シナリオの脱色をあえて試みる

しかし今回はあえて逆のことを意識しました。今回のシナリオは、言うなれば「料理前の素材のような状態」で提出されています。より直接的に言えば、このシナリオをベースに、B級ホラーとして遊ぶこともできるし、ジョークとして遊ぶこともでき、青春ドラマとして遊ぶことも、ヒロイックストーリーとして遊ぶこともできます。つまりは「味付け前のシナリオ」を販売したのです。

このため、シナリオはかなり素朴で、演出や盛り上がりをイメージしにくいものになってしまっているかもしれません。しかしそれは意図的なことです。これまでのシナリオは明らかにキーパリングに慣れていない方を意識して販売していましたが、そうした作品を通じてキーパリングに慣れたファンも増えており、そうした方に実力をのびのびと発揮してもらいたいと思い、素朴なシナリオを作った次第です。

 

裏話2:味付けしたらどうなるの?

メンバー内で出た味付けの話題

こうした話はメンバーにも説明し、いつもと毛色の違うシナリオの出版を容認してもらいました。その際、僕がいくつかの例を話していました。

たとえば、今回の脅威が1d100いて、プレイヤーにアメフトやっている大学生と金髪ビッチがいればB級ホラーとして遊べますと説明しました。シナリオ内に設置された12ゲージショットガンもいい味出すでしょうし、それぞれのキャラクターの「ノリ」を少し変えるだけで、それっぽいシナリオになってくれることでしょう。

あるいは、はじめに登場する友人の病状が進行していないとし、これをヒロインに仕立てれば、王道のヒロイックホラーに修正することもできます。バイオハザード7のように時折豹変するヒロインに攻撃されたりすれば、なかなかのものになるでしょう。

シナリオ作者なんて見えない方がいい

まとめると、今回のシナリオは僕の存在をなくすようにしました。個性を出していくのは大切なことだと思うのですが、その反面、個性のないシナリオも大切なのではないでしょうか。誰が作ったシナリオで、誰それっぽいよね、なんてことを話しながら遊んでも楽しくないし、その場にいるのはキーパーとプレイヤーだけなのですから、その空間の邪魔をしないように、空気のようなシナリオを目指したわけです。

もちろん、これがその完成系とは思っていません。いろいろな工夫はしましたが、まだまだ未完成もいいところでしょう。そういう実験の現在報告として、今回のシナリオが無事に出版に至り、発売されたのはありたがいことと思う限りです。

 

まとめ:皆さんなりの楽しみ方をしてください

さて、そんなこんなで新シナリオ「廃鉱山の村で」が出版されました。電子媒体で発行されていて、BOOTHで300円となっています。シナリオ1本の価格にしては割高と思うかもしれませんが、上述のような味付けの自由度から、何度も遊べるシナリオになっていると思います。ぜひぜひ皆さんなりの多彩な演出に活用してみてください。

 

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