【ソード・ワールド2.0リプレイ】再会の大地【英雄志望と二つの剣3rd season 1−6】
前回のあらすじ
人質がさらわれたという現場に赴き、相手の編成を調査したカシウスら3人は、その足跡を追って敵の根拠地をたしかめに向かった。その途中、敵の偵察部隊に出会って交戦するが、様子のおかしいレイラに対してコーラルは同行は危険だと主張する。自らの立場を失い、レイラはただ俯くことしかできなかった。
カシウス:「……」さっきのこと気にしつつ、さらに足跡を追おう
コーラル:「なんだよ。まだレイラのこと気にしてんのか? 仕方ねぇだろうが、あんな状態じゃ」
カシウス:「あぁ、そうなんだけどな……今のレイラの気持ちになって考えてみると、やっぱいいすぎた気がして」
コーラル:「……おめーもどっかズレてんだよな」
カシウス:「あぁ、自覚はあるんだ。何やるにも中途半端だし、何も決められない。いつも迷ってばかりで、結局他人に選択を委ねる」
コーラル:「ぁー……お前、自分のこと嫌いすぎだろ」
カシウス:「はは……そうかもな」
GM:さて、そろそろ湿地帯の只中にいくつか露出した岩があって、そうした景色の中に急ごしらえの拠点らしき場所が現れます。
カシウス:「おっと、あれだな」コーラルに合図して立ち止まります
GM:身をかがめて拠点の様子を見ると、噂に聞いていた大型の蛮族が鎖に繋がれており、それから距離を取るようにして数匹のボガードトルーパーがいるようです。
コーラル:「あれが例のやつか。……周りの連中はどうとでもなりそうだけどなぁ」
GM:その向こうに厚手の布を被せられた四角い大きなもの、おそらく牢と思われるものがいくつか見えます
GM:ちょっとここで聞き耳判定からやってみましょうか
聞き耳判定 目標値10
コーラル・カシウス 共に成功
GM:では、二人とも、エーヴァの声とそれに応じる男性の声を聞きます
コーラル:うわぁ声が聞こえる距離か
カシウス:やばいぞやばいぞ
男声:「何度でも言うが、人質をとってやつらと取引などするだけ無駄だ」
エーヴァ:「あら坊や。ずいぶん偉そうな口を聞くじゃない? それも『あのお方』のモノマネかしら?」
男声:「取引を持ちかけたなら、もう人質など殺してしまえば済むこと……どうしてそうもこだわるのだ!」
エーヴァ:「あら? 私がこだわっているように見えたの? あなた、頭が回るって聞いてたけど……」
GM:この手の話は蛮族語だと複雑なので、交易共通語でやっています
コーラル:優しいな
カシウス:しかし知性担当が二人いて仲間割れしてるな
GM:さて、これ以上ここで耳を傾けるなら簡単な隠密判定に成功する必要があります。一方、牢を自分で確かめるなら、より難しい隠密判定が必要です。いずれも目標値は公開しません
カシウス:俺は牢を確かめに行く。コーラルはここで聞き耳を立てといてくれるか?
コーラル:カシウス、予備の指輪あるか?
カシウス:指輪は3つある。一つ貸すよ*1
GM:許可します
カシウス:それから、買っておいた迷彩ローブをここで活用だ
GM:おお、そんなもの買ってましたね
カシウス:俺の仕事は偵察くらいしかないからな!
GM:では、判定どうぞ
隠密判定 目標値2段階(非開示)
コーラル:2d6+8 → (4,5)+8 → 17
カシウス:2d6+11 → (6,2)+11 → 19
カシウス:どうだ!
GM:なるほど……
GM:二人とも成功です
カシウス:しゃ!
コーラル:よし!
コーラル:(この指輪使わなかったな……よし、パクろ)
アーク:これだから海賊は……
GM:会話は以下のように続きます
男声:「やつらがこんな人間一人のために取引に乗ると本当に考えているのか!?」
エーヴァ:「乗るわよ。だって、あの子たちは私とノイルがあの要塞でやったことを知ってるんだもの」
男声:「それとこれと何の関係がある!」
エーヴァ:「彼らの間に諍いを引き起こすのが私にとっては簡単だって、知ってるのよ」
GM:口論しながら移動しているのか、ツノのある男声の主がコーラルの視界に姿を現します。
男声:「だからって、帝国の騎士でも議員でもないこんなやつを……」
エーヴァ:「だから、よ。ま、使いようね。ノイルの話が本当なら、この人間もコソコソと動き回っていたらしいわよ」
GM:そんなことを話したあたりで、鎖に繋がれたゴーリーが何か言って暴れます
ゴーリー:「アアゴゥボゥ! カィグヴァァ!」
GM:蛮族語のため聞き取れませんが
コーラル:所詮ゴリラだな
GM:ギリ知性はあるんですよ!
エーヴァ:「これ、なんとかしなさいよ。あなたが飼ってるんでしょ」
男声:「……」何も言わずに憮然とした態度でゴーリーの元へ向かいます
コーラル:(ったく、騎士でも議員でもないって、じゃあ誰だよ……)
カシウス:俺はそのゴーリーの声に合わせて裏から忍び込ませてもらおう
GM:カシウスは二人が移動して離れた牢へ向かいます。背をひとつの牢につけてあたりを伺い、中を確認しては次の牢に移動します。
カシウス:(思ったよりすんなり入り込めたか……これは?)
GM:カシウス布めくるの慣れてますもんね
カシウス:なんで慣れたんだ……! 謎は深まる!
GM:音ひとつなく、たとえそれを纏っている人がいたとしても気づかれないほどの繊細さでカシウスが布をめくり上げると
カシウス:洗練された技術。フィネア随一の布めくり師とは俺のこと
GM:なかに女性らしい衣服を来たまま横たわっている人物が目に入ります。背を向けていますが、その質の良い生地とブロンドの髪に思い当たる人物がいます
カシウス:レイチェルかな?
GM:はい。なにがどうなってそうなったのかはわかりませんが、そこに囚われていたのはレイチェル・ブラックバーンです
コーラル:お前かーい!
アーク:嫁だった
コーラル:……よし、見捨てよう
レイラ:助けてあげましょうよ!
カシウス:そうだよ! 俺は助けるぞ!
コーラル:えーっ、だってこいつすぐアタイらのこと売るぜ?
レイラ:事実ですけど!
アーク:カシウスに至っては2回も売られてるんだよなぁ……
カシウス:でも俺は助ける!
コーラル:ま、メタに言ってこのお嬢さんに死なれるとこの世界が詰むんだよな
アーク:そうなの?
コーラル:こんな小娘なのに崩れかけのフィネア地方の柱の一つなんだよ、めんどくせぇ
GM:さて、レイチェルの背中を見るに、脇腹がかすかに上下動しているので、息はあるようです。起きているかは定かではありません
カシウス:手元にある紙を小さくちぎって、助けに来るってメッセージを書いて中に入れとこう。起こして声を出されてもまずいしな
カシウス:「レイチェル、助けに来るから……待ってろよ」
GM:カシウスが小声でそう言うと、中のレイチェルはゆっくりと体を動かしてカシウスの方を見ると、光が眩しいのか目を細めた後
レイチェル:「だれ?」と小声で応じます
カシウス:「起きてたか……」口に指当てして静かにっていうジェスチャー
レイチェル:「カシウス?」小声
カシウス:「あぁ、俺だよ。助けに来た」
レイチェル:「カシウスが助けるの? 私を?」
アーク:これは……どっちの意味だ?
コーラル:お前ごときが? に一票
クキバミ:散々売り飛ばしたのに? に一票
カシウス:「あぁ、今すぐは無理だが、絶対助ける」
コーラル:……なぜだろう、涙がでる
アーク:チョロウス
レイラ:あまりにも悲しい……
レイチェル:「ごめんね、カシウス。私はいいから、見つかる前に行って。カシウスじゃ敵わない」
カシウス:「あぁ、俺だって叶わないのはよくわかってる。だけど絶対助ける。ここで死なせたりしない」
カシウス:「たとえ敵わなくても、大事な人を見捨てて行くなんて選択肢はない。それはお前がよく知ってるだろ」
レイチェル:「……」何も言わずにしばらくカシウスの顔を見つめます
コーラル:いまレイチェルの脳内では、乙女心と打算がぶつかり合ってると見た
レイチェル:「……カシウスって、ほんとにバカだね」
カシウス:「……相手の条件は首飾りだ。お前と北レシトリアが人質らしいが……俺たちはあれを渡すわけにはいかない。でも、きっとなんとかしてみせる。全部守ってみせる。だから、少しだけ待っててくれ」
カシウス:なんだっけな、何か確かめないといけないことがあった気が……
レイラ:パンツの色ですか?
クキバミ:まじかよカシウス最低じゃな
GM:さて、ゴーリーが落ち着いたのか、そろそろこれ以上の潜伏は難しいと感じるでしょう
カシウス:「……そろそろ戻らないとヤバそうだ。次に来るときは助かるときだ。すぐに来る。だから……」
レイチェル:「わかった。待ってる」
カシウス:力強く頷いて、布を払って退散しよう
GM:ではカシウスは身を隠しながらそこを立ち去ります。そういえば紙も残してましたね。覚えておきましょう
カシウス:あっ、見つかるか!?
GM:いえ、判定に成功しましたし、その辺は演出ですからね、いいようにしかしませんよ
コーラル:蛮族の食料あさっていい?
アーク:食い意地すごい
GM:演出ですし構いませんよ。しかし蛮族が食ってる肉って……
コーラル:いい肉(蛮族基準)
GM:せっかくだし2d6してくださいよ
コーラル:2d6 → (4,5) → 9
GM:じゃあジャイアントリザードあたりの肉にしておきます
コーラル:臭みがあるな
GM:食えなくはない
コーラル:持って帰って冒険者の宿で報告しながらみんなで食おう
レイラ:食べませんよ、そんなの……
アーク:わーい
次回へつづく
*1:能力値の指輪を割ることで、判定ボーナス+2を得ることができる