【ソード・ワールド2.0リプレイ】弱くても、進む【英雄志望と二つの剣2nd season 4-2】
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前回のあらすじ
レイラとコーラルは生きていた。自身が帝国商会の工作員だったと告白したレイチェルから、二人の生存を聞かされたカシウスたちは、レイチェルの提案する作戦に従って二人の救出を試みる。それと同時に、アークを皇帝に引き渡さずに済むよう、首飾りの確保に向かうことになった。その前日、レイラとコーラルは地下牢で目を覚ましていた。
コーラル:目覚めて状況が確認できたら
コーラル:「あー……まーた檻ん中かよ……」と言ってゴローンと寝転がる
GM:監獄慣れしている唯一のプレイヤーキャラクターw
レイラ:そうでしたねw
コーラル:元死刑囚なもんでな
レイラ:もはや実家ですね
GM:コーラルとレイラは向かい合った別の牢に入れられています
レイラ:では、私は目が覚めてしばらくぼーっとしてから
レイラ:「……こ、ここは……?」
コーラル:「すぴー……すぴー……」
レイラ:石ころくらいありますか?
GM:ストーン2個を装備して構いません
レイラ:コーラルに軽く当てたいんですが、判定はいりますか?
GM:いえ、寝てますし回避判定できないので構いません
レイラ:こつん
コーラル:「ぁいたっ……ん? ぁー……よぉ、やっと起きたか」
GM:互いに斜めの牢あたりまでは見えますが、そこには誰もいません。もっと遠くには誰かいるかもしれませんが、確認のしようがありません
レイラ:「よかった、生きてますね。……あの、なんで私たちこんなところに?」
コーラル:「知らねぇ。あのクソ魔神に吹っ飛ばされたってとこまでは覚えてるけどな」
レイラ:「魔神……」だんだん思い出してきます
…………
レイラ:「!! ああああっ!」
GM:完全に体の自由を奪われた状態ですが、ここで相手は佩いていた大剣を引き抜きます
レイラ:それでも、顔を上げて相手の顔を睨みつけて、少し笑います。時間は稼いでやりました
GM:青色の魔神は他を逃がされたことによる苛立ちがあるのか、敵意をむき出しにして睨みつけたまま、その大きな剣を振り上げるようにレイラに叩きつけます
GM:さて、やってみましょうか
レイラ:かかってこい!
部位胴体
魔力撃宣言
命中判定 2d6+9 → (6,3)+9 → 18
回避判定 判定を放棄 自動命中
ダメージ 2d6+20 → (4,2)+20 → 26
防護点2点 薔薇のチョーカーを消費(ダメージ-2)
22点物理ダメージ(残りHP-13)
GM:サラーにもらった薔薇のチョーカーの飾りが飛び散って、その魔力がわずかにダメージを軽減してくれますが、その痛撃はレイラの意識を吹き飛ばすには十分です。
GM:激しい斬撃が終わると、体を縛っていた拘束が解かれ、レイラの体はその場に力なく崩れ落ちます
レイラ:(みんな……うまく……逃げられたかな……ああ……わたし……おにい、ちゃん……)
GM:朦朧としたレイラの意識はそこで途絶えます
レイラ:……
GM:生命抵抗判定、目標値は13です。コーラル共々、この後保護される見込みはあまりありませんが、一応やっておきましょう
レイラ:はい
レイラ:生命抵抗判定 2d6+6 → (6,1)+6 → 13 気絶・生存
GM:おめでとうございます。生存です
GM:1点のズレもなく、薔薇のチョーカーがなければ死亡でしたね
レイラ:サラーさんが、守ってくれました……
…………
レイラ:薔薇のチョーカーが壊れているのを触って確認して、自身の肩を抱いて押し黙ります。少し震えて
コーラル:「ぉ? ……なんだよ、わめき散らすかと思ったが、結構冷静だな。それともビビって声も出ねーか?」
レイラ:「……そう、ですね。……死ぬかと……思いました」
コーラル:「呑気だねぇ。……あぁ、てか、知らねぇのか」
レイラ:「……?」
コーラル:「治療、アンタもされてんだろ? そりゃ、アタイたちにまだ利用価値があるからだ。その価値を引き出すためには……やることは決まってる」
コーラル:「大抵の場合は拷問、酷いとこだと洗脳。ま、死ぬよかロクな目にあわねーことは確定だよ」
レイラ:「……」さらに小さく膝を抱えます
コーラル:「ついでに言うと、アタイらは“女”だからな。はっはっ」
レイラ:「……」
コーラル:「……アタイの初体験は帝国の騎士だった。ま、元死刑囚だ。あいつらの仲間を何人もぶっ殺した。当然の報いっちゃ報いだがな」
コーラル:「だが、まぁ……アタイは幸運だった。もう、噛みちぎる力もなくてよ。死ぬってふつーに思ってたところに、あのハゲ野郎がきた」
レイラ:「それでフロンタ殿のところで?」
コーラル:「……」
コーラル:「ぁー、つまり、何が言いたいかっていうとだな。どんなことになっても最後まで何が起こるかわかんねーから、体力温存するなり、精神落ち着かせるなりしろってことだよ」
GM:いまこいつ照れ隠しした!
レイラ:いま照れ隠ししましたね?
レイラ:「はい。ありがとう、ございます」
コーラル:話すことは話したし、ゴロンと転がってレイラの檻に背中向ける
レイラ:「……みんな、無事でしょうか?」
コーラル:「アタイが吹っ飛ばされた後、どーなったんだ?」
レイラ:「あのあと、私が敵を引きつけて、殿(しんがり)になったんです」
コーラル:「……なら、無事なんじゃねーの?」
レイラ:「……」
コーラル:「……」
レイラ:「ずっと」
コーラル:「……」
レイラ:「ずっと、死ぬのが怖くて。私、ほんとに、怖かったんです」
コーラル:「……」
レイラ:「でも、みんなが……コーラルさんやアークさんが死ぬかもしれないと思うと、もっと怖くて」
コーラル:「……」
レイラ:「……」
コーラル:「なあ。あんた、なんで騎士になったんだ?」
レイラ:「母も父も騎士だったんです。父はエルフで……母はハイマン*1でした。私が6歳のときに母が死に、父なりに将来を心配してくれて、それ以来兄と同じように、男として、騎士として育てられました」
レイラ:「……でも、母の死以来、私もすぐにああなると、それが怖くて……家族にも相談できなくて……」涙声になります
コーラル:(あぁ、こいつは……騎士じゃねぇんだ)
レイラ:「でもおかしいですよね。なんであんなことできたのか……」
コーラル:(ただの、“騎士になろうとした女の子”でしかねぇんだ……)
コーラル:(そして、それを自分でも気づいてねーんだ。面倒くせーなぁ……面倒くせぇよ、面倒くせぇ)
コーラル:(でも……)「羨ましいな」
レイラ:「羨ましい、ですか?」
コーラル:「あ゛?」すげぇ機嫌悪そうな声で、言ってねぇよオーラで
レイラ:「な、なんですか、人がこれ以上ないってくらい落ち込んでるのに」涙ぐしぐししながら
コーラル:「……あー」
コーラル:「白い肌がムカつく! かわいい声がムカつく! 整った顔立ちがムカつく! 感情で泣けるのがムカつく! サラサラな髪がムカつく!」
レイラ:「な、泣きたくて泣いてるわけじゃありませんよ! ていうか泣いてません!」
コーラル:「恐怖で震えるのがムカつく! 後先考えずに飛び出せるのがムカつく! まっすぐな青い目がムカつく! なんか時々首輪触って頬赤くしてるのがムカつく!」
コーラル:「アタイが捨てちまった“女の子”もったまま、そこまで強くなってることがムカつく!!」
レイラ:「……」
コーラル:「ムカつくから……こっから出たら、アタイとサシで勝負しろ」
レイラ:「……わかりました、受けて立ちますよ。……ここから出られたらの話ですけどね」ふぅっと力抜きながら
コーラル:「ふん。全員の前で泣かせてやる」
レイラ:「覚悟しておいてくださいよ」
GM:そんな会話をしながら、監獄のなかの時間は過ぎます。食事すらろくに持ってくる様子はなく、1日ほど日が昇り下りしたころ、監獄に近づいてくる小気味のいい足音が聞こえてきます
*1:ハイマンは寿命が30年と短い種族で、レイラの母は短命だった。一方エルフは300年の寿命をもつため、レイラの父や兄弟はレイラの死後もはるかに長い時間を生き続けることになる。