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【ソード・ワールド2.0リプレイ】弱くても、進む【英雄志望と二つの剣2nd season 3-1】

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英雄志望と二つの剣 ここまでのあらすじ

ごく普通の冒険者として歩み始めたアークたち5人の冒険者は、偶然から国家の要人とのコネクションを得る。しかし彼らの街は騎士団長の裏切りによって蛮族が侵入し、崩壊してしまった。多数の難民とともに伝説の魔剣クラウ・ソラスのカギを握るヴェルチ家の末裔を保護しつつ、隣国レシトリア帝国の地方農村に避難した冒険者たち。しかし魔剣を狙う皇帝や帝国商会の政治闘争に巻き込まれてしまう。ヴェルチ家の末裔は帝都に召し上げられ、その警護として仲間の2人と別れることになる。このときアークはヴェルチ家に伝わる首飾りを託された。残された3人は防衛線構築を急ぐ騎士団の依頼で新たな仲間2人とともに遺跡調査を行うが、そこでレイラとコーラル、2人の仲間が行方不明になってしまう。そのことに深く傷ついたアークは精神を病み、昏睡状態に陥る。魔剣のカギを握る人物として、アークを拘束するよう勅命が下ったことを聞いたクキバミは、カシウスとともにアークの目覚めを待っていた……。

 

 

GM:アークが眠りについてから3日目の朝のことです

GM:カシウスはこの3日間、自分以外のパーティメンバーがいなくなった冒険者の臨時宿ですごしてきました

カシウス:「……」ぼーっ ダインハイトの楽しかった頃を思い出してよう

???:「カシウス? ねえカシウス?」

カシウス:ぼーっ

レイチェル:「カシウスってば!」両方のほっぺをパチンと挟む

カシウス:「! あ、あぁレイチェルか……何か用か?」

レイチェル:「何があったのか、まだちゃんと教えてくれてないでしょ?」

クキバミ:レイチェルが冒険者の宿に来たのなら、我もついてきておるな

GM:ええもちろん

クキバミ:その後ろで何も言わずに椅子にのぼっておこう

カシウス:「あぁ……あの日のことか」

レイチェル:「まぁ、いまのカシウスを見たら、想像できないってわけでもないんだけど、さ」

レイチェル:「前の帝都でのときだって、カシウスはそんなに落ち込んでなかったから……」

カシウス:「ははは……まぁ、確かに。いまの方が落ち込んでるのかもな、俺」

レイチェル:「あのときは大変だったけど……守れたもんね、妖精さん」

カシウス:「……」

クキバミ:(いちゃいちゃしてて入りづらい……)

カシウス:すまねぇ!

 

カシウス:「ああ、そうだな。だけど……今回は……はは、なんだよこれ」

レイチェル:「……」どういう表情したらいいかわからない

カシウス:「なぁレイチェ……いや、クキバミ」

クキバミ:視線だけ向けます

カシウス:「お前から見て、遺跡での俺……どう見えた?」

クキバミ:「……敵に敗れて、仲間を置いて逃げた。これ以上の不名誉はない」

クキバミ:「だが、その責任はお主一人で抱えるものではない。あのときどう見えたかなど、関係のないこと。残された命、なんのために使わねばならぬのか、これから何が償いになるか……」

クキバミ:「遺志を継ぐとはそういうことだ。過去にとらわれては二人も報われなかろうて」

カシウス:「……」

クキバミ:「……」

カシウス:「あぁ、たしかにあいつに救われた命だ。無為に投げ出したりはしないさ……だけど」

カシウス:「わかったんだ。いや、前から気付いてはいたんだ。……俺には、アークのように剣も使えないし、クキバミのように魔法を使うこともできない。償いをしようにも、俺には……」

レイチェル:「……」ちょっとムッとした顔

カシウス:「……おまえたちのような、人の役に立てる強い力。それが……俺にはないんだ」

 

レイチェル:「そんなことない! そんなことないもん!!」突然の大声

カシウス:「!」驚いてレイチェルを見る

レイチェル:「カシウスは優しいんだよ! 人のために自分の身も顧みないで、いっつも自分ばっかり我慢して、いまだって……」

レイチェル:「あのときもそうだった! だからカシウスにも……ううん! カシウスじゃなきゃできないことだってあるよ!!」必死

カシウス:「俺にしかできないこと……か」

クキバミ:(ま、女に好かれるのは才能じゃろうな)

 

レイチェル:「……わたし、決めたよ。カシウス、やろうよ! カシウスにしかできないこと!」

カシウス:「レイチェル、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ

レイチェル:「わたしの部屋まで来なさい! わかった? 行くよ、クッキー!」一方的に歩き始める

カシウス:「……」

クキバミ:黙ってついていくぞ

カシウス:「あぁ、わかったよ」ついていくしかなさそうだ

 

GM:というわけで、勢い良く立ち上がったレイチェルについて場所を移動することになります。向かう先はコリンズの邸宅です。レイチェルは何も言わずにズイズイと勇ましく歩き進み、自室の扉も勢い良くバーンと打ち開き、席の案内もせずにたくさんの書類が置かれた執務机に向かいます

カシウス:(すごい量だな……)

レイチェル:小さな体で大きな椅子にどかんと勢い良く座って、目を閉じたまま荒々しく一つ息を吐きます

レイチェル:「カシウス、クッキーも。……わたし、あることを白状するわ」

カシウス:「あること?」

レイチェル:「わたしがここに来たのは、お父様にこの町の情報を届けて、この町での工作活動を支援するためなの」

クキバミ:「……」

カシウス:「……」

クキバミ:「全然気付かんかった」

カシウス:「俺もだ」

レイチェル:「でしょ? わたし、これでもやり手なの」

カシウス:「初耳だな」

レイチェル:「それで、わたしはあることを知ってるの。つまり、カシウス……(書類ガサゴソ)……この『アーク』って人」一枚の手紙の文中のアークの文字を指差して示します

クキバミ:差出人は?

GM:Dというイニシャルしか書かれていません

レイチェル:「これ、たしかカシウスの仲間の人だよね?」その手紙は、皇帝がアークを捕らえるよう指示したという報告です

カシウス:「……ああ、そうだ」

レイチェル:「カシウス、あなたはどう思う? その『アーク』って人まで取られちゃっていいの?」

クキバミ:カシウスを見守ろう

カシウス:「……アークを、皇帝に渡したりなんかはしない」

 

レイチェル:「カシウスならそう言ってくれると思ってた。だからもう一つ、わたしが知ってることを教えてあげる」

カシウス:「いろいろレイチェルも情報を集めてくれてたんだな……ありがとう」

レイチェル:「お礼はこれを見てからにして。わたしの使ってるスカウトからの報告」小さな紙切れが示されます。暗号のようで読むことはできません

 

レイチェル:「3日前、騎士団の地下牢に『女の騎士』と『女海賊』が運ばれてきた」

 

クキバミ:「!」

カシウス:「!! おい、それってまさか!」

レイチェル:「確証はもてないよ。でも、時期と容姿は一致してる」

クキバミ:「しかしレイチェル。それはおかしくないか? 騎士団と魔神がつながっていなければ起こり得ない。そんなことが本当に……」

カシウス:「騎士団と魔神たちが? そんなこと、あり得るのか?」

レイチェル:「……クッキーの言うとおりね。でも、カシウスたちがあのダインハイトから持ってきた知らせはなんだった? 反逆者の名前は? その身分は?」

カシウス:「……騎士団長……ノエル……」

クキバミ:「ノ“イ”ルじゃ……とはいえ、たしかにその情報がたしかなら幾つか納得できることもある」ミカのこととか

カシウス:素で間違えた! 恥ずかちぃ!

レイチェル:「もしカシウスが彼女たちを助けて『アーク』って人と一緒に逃げ出すなら、わたしの工作員が支援できる」

GM:そう言うと、小さなマギスフィアを示します

カシウス:「……」

レイチェル:「そしてその場合なんだけど……クキバミ、あなたにもお願いしたいことがあるの。危険なことだけど……」

クキバミ:「任せろ。危険がなんぼの商売じゃ」

レイチェル:「彼らをあなたの故郷、ムートランドまで連れて行って。そこにしばらく潜伏する手伝いをしてほしいの。あなたなら、ツテがあるでしょ?」

クキバミ:「あやつに頼むのか……。気がひけるが、背に腹は代えられぬか……」

レイチェル:「お願い。あとは……カシウス。あなたは、どうする?」

カシウス:「俺は……」

 

カシウス:「あの二人を助けるんだろ? だったら、行かないでどうする。それに」

 

レイチェル:「それに?」

カシウス:「帝国の騎士団を相手にするのは慣れてるんだ。経験あるんだぜ? 任せておけって」

レイチェル:「決まりねっ! 作戦会議をしましょう。ひとつだけ、どうしても確認したいこともあるし」

カシウス:「確認?」

GM:カシウスに尋ねられると、戸棚の妙な像を握って引っ張ります

カシウス:?

GM:ガコンと音がして、今度は床の絨毯をめくって床板を押し

カシウス:わーー!

クキバミ:ワクワクすることしてるー!!

GM:また音がなると入り口付近の食器棚が棚ごと開いて、そこから地図らしきものを取り出します

レイチェル:「これ、手に入れるの苦労したんだから」騎士団の現在の詰所の構造図のようです

カシウス:すごーい!

クキバミ:たーのしー!

 

カシウス:「す、すごいなこの仕掛け……」

レイチェル:「ひ・み・つ、だからね?」

レイチェル:「確認することっていうのはね、作戦の弱点。その『アーク』って人について知っておきたいの」

カシウス:「アークか、何を知りたいんだ?」

レイチェル:「たしか『アーク』って人、前に下の部屋で会った赤髪の人だよね? なんで皇帝に呼び出されてるの? 魔剣絡みらしいってことはわかってるんだけど……」

カシウス:「あぁ……ひとつある。心当たりがな」

カシウス:「アークがフレデリックから渡された首飾り。おそらくそれが、そうなんだと思う」

レイチェル:「首飾り。それが狙いってことね。……じゃあカシウス、あなたは一番最初にそれを確保して」

カシウス:「ああ、わかった」

クキバミ:「ちょっと待て。フレデリックというのはフレデリック・ヴェルチのことかの?」

カシウス:「ああそうだ。魔剣クラウ・ソラスに関係する首飾りらしいってことは、遺跡でなんとなくわかったんだけど、それ以上は俺もわからない」

クキバミ:「クラウ・ソラス!?」身を乗り出し

カシウス:「うおっと、どうした!?」

クキバミ:「クラウ・ソラスの伝説! 我が最も好きな演目のひとつよ! いつか我もあんな剣を持つ英雄になりたいと思っておったんじゃ!」見栄切り!

クキバミ:「……ま、タビットには無理じゃろうがの」

カシウス:カブキで見たんだな……

 

レイチェル:「でも、それほどのものなら納得だわ。カシウス、最悪の場合はアークさんを置いて逃げないといけないかもしれない」

カシウス:「なっ、なんでだよ!?」

レイチェル:「それがアークさんを救うことにつながるかもしれないってこと。だって、彼……いま動けないんでしょ? あなたが二人を助けて、首飾りを持って『これが魔剣の秘密でアークは関係ない!』って騎士団に喧嘩を売れば……」

カシウス:「たしかにそうだが……皇帝や騎士団と敵対してしまったら、アークを置いていくのは……」

レイチェル:「アークさんの身に何があったのかは知らないし、カシウスとの関係も知らない。でも、その首飾りの重荷から彼を解放することもできるってこと、忘れないで」

カシウス:「……」

クキバミ:「そのときは、アークを商会側で引き取れるか?」

レイチェル:「尽力するわ」

クキバミ:大きく頷くぞ

カシウス:「わかった」

レイチェル:「それじゃ、決まりね。始めましょう、あなたにしかできないことを! ね、カシウス!」

カシウス:「俺にしかできないこと……ああ、やってみるさ!!」

 

 

次回へつづく