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【ソード・ワールド2.0リプレイ】いにしえの契約【英雄志望と二つの剣2nd season 3-13】

<前回 第1シーズン2nd−1カシウス過去編2nd−22nd-3

 

前回のあらすじ

自身の失敗を受け入れられないアークは精神に異常をきたしてしまう。カシウスが殴って気絶させ、クキバミとともにバイクで追っ手を振り切って遺跡を脱出した。急ぎ重症のアークを搬送する一方、クキバミは代理としてフロンタ隊長のもとに報告へ向かう。

 

GM:クキバミは一人で騎士団の詰所に向かい、フロンタに遺跡調査の報告があると伝えると、すぐに通されます。このときいつも取り次いでいるミカではなく、別の秘書官が対応します

GM:いざ部屋にたどり着くと、フロンタはこめかみに指を当てて眉間にしわを寄せて考え込んでいますが、入ってきたクキバミを見て立ち上がります

クキバミ:「失礼」

フロンタ:「待たせて申し訳ない。しかし、直接頼んだ冒険者が一人も報告に来ないということは……」言いながら一つの椅子に着席を勧めます

クキバミ:「察しの通り、パーティーは崩壊。レイラ及びコーラルは遺跡内に残り消息不明。帰還した中でもアークは精神崩壊のうえ重症。惨敗じゃ」

フロンタ:「そうか……申し訳ない。遺跡の格を見誤った私の失態だ。すぐに手勢を向かわせる。前線から兵を割くことになるが……やむを得ないだろう」

クキバミ:「すぐさま制圧しなければ手遅れになる。これを」像に書かれていたものの写しを

クキバミ:あ、読めるかの?

フロンタ:セージもあるので読めますよ

クキバミ:さすが優秀

フロンタ:「ふむ……つまりこんなところにザールギアスの忘れ形見の私兵がいたということか」

クキバミ:「今の状況、あの遺跡が起動すれば人々は危機に陥る。的確な行動を」

フロンタ:「わかっている。他に報告することがあるか?」

クキバミ:「いや、特には。事態の即時収束を期待しておる」

フロンタ:「もちろんだ。少し待っていてくれ。まだ話があるんだが、攻撃の指示を出してくる。ミカが席を外していなければ早かったんだがな」

クキバミ:……PLレベルではミカが最も怪しい人物とは言っておく

GM:おや、なにかあの秘書官について気になることでも?

クキバミ:確証はないがな

 

GM:さて、そう断るとフロンタは一度席を外します。机漁りでもしときます?

クキバミ:品がないがやっておきたい。此度の依頼の判断ミスを誰が犯したのか

GM:了解です。では探索判定をどうぞ。誰も見ていませんし簡単なので目標値は7とします

クキバミ:探索判定 2d6+5 → (3,5)+5 → 13 成功

GM:では、フロンタの机から3つのものが出てきます。どれか1つだけ見る時間があります

 

フロンタの机から出てきた3つの書類

 今回の遺跡調査に関するミカによる報告書
 皇帝陛下からの親書
 「サラー」という人物から寄せられた私信

 

クキバミ:遺跡の情報も見たいが、サラーからの手紙……しかし我はクキバミ! サラーとは一瞬しか会っていない!

GM:そうなんですよね、残念ながらここはおそらく……

クキバミ:1番目の遺跡調査の報告書を読ませてもらおう

 

アイラット外郭地下遺跡の簡易調査報告(要点)

 遺跡の発見:外堀建設作業員
 初期調査担当:ミカ
 初期調査工程:外壁の一部を爆砕後、内部に侵入し3部屋ほどを調査。
 初期調査結果:生物や魔物は確認されず。
        念のため冒険者を派遣し隠し通路の調査を実施すべし
 適正冒険者:コーラル他への発注を推奨
 依頼資金:調達済み

 

GM:つまりミカがどうやってかわかりませんが資金を調達した状態でコーラルたちを送り込むように提案したようですね

クキバミ:……やはりミカか。これでクキバミもさすがに疑念を深めるな

GM:では、書類を戻して居住まいを正したところで、フロンタに帰ってきてもらいましょう

 

フロンタ:「待たせてしまってすまない。それで……」自身の机に戻り、先ほどクキバミがあさっていた引き出しを開け

クキバミ:こわい!

フロンタ:二つの封書を取り出します

フロンタ:「私はここに二つの手紙をもらっている」ひとつは皇帝から、もうひとつはサラーのそれです

クキバミ:見なかった方だな

フロンタ:「これら二つの手紙には、とある人物について正反対のことが書かれている。君も知っている人物だ」

クキバミ:「?」

フロンタ:「ファミリーネームもない貧しい生まれの青年でな。彼はただこう呼ばれている」

クキバミ:まさか

フロンタ:「……『アーク』とな」

アーク:呼んだ?

カシウス:寝てろ

 

クキバミ:「皇帝陛下から直々に? そのような奴には見えなんだ……」

フロンタ:「君もそう思うか。実は私もそう思っている。しかし皇帝陛下は、彼を捕らえて帝都に護送せよと命じられた。勅書でな。どうやら……」そう言うと勅書の方を丁寧に引き出しの中にしまいます

フロンタ:「魔剣クラウ・ソラスと関係のある人物らしい」

クキバミ:(ほう……)

クキバミ:「……かの者は今は重症。そのうえ精神状態も正常ではない。そのような者を送るのは難儀しそうじゃな」

フロンタ:「いや、逆に言えば容易い。意識のないうちに牢に入れて、医者を伴わせて送ってしまえばいいのだからな」

クキバミ:「せめて体調が回復し、長旅に耐えられる状態にならねば厳しかろう」

フロンタ:「たしかに、言わんとすることは理解できる。実際、私も念のため回復を待つつもりではいる。しかしそれは、別の都合からだ」

クキバミ:「別の都合とな?」

フロンタ:「もうひとつの手紙だ」サラーからの手紙を机のうえに置きます

フロンタ:「以前、信頼の置ける私の弟子がその『アーク』と行動を共にしていた。その話は聞いたことがあるか?」

クキバミ:「いや、彼らとの付き合いはまだ浅くてな」

フロンタ:「そうか。まあいい。その信頼の置けるかつての弟子がこう言うのだ。つまり『アークを逃がせ』とね」

クキバミ:(ほう……)

フロンタ:「先日、君とブラックバーン嬢がフレデリック・ヴェルチを迎えにきただろう?」

クキバミ:「たしかアークの仲間とメイドが一人同行して帝都に向かったな。あのときの冒険者がその弟子か」

フロンタ:「そういうことだ。しかし実に奇妙なことでな。そのフレデリック・ヴェルチが帝都で騎士による襲撃を受けたらしい」

クキバミ:(きな臭くなってきおったのう……)「無事なのか?」

フロンタ:「彼のメイドが応戦して、帝都を脱出して南に向かったらしい。メイドとは名ばかりでな、私も口裏を合わせたが、あれももとは冒険者。ダインハイトの生き残り組だ」

クキバミ:「抜け目のなさが吉と出たわけじゃな」

フロンタ:「……さて、なにもここで私がどうするべきかを君に問おうというのではない。私の状況を理解してもらったうえで、私は複数の意見を聞いておきたいのだ。少なくとも、この手紙は私を思いとどまらせるに価する」

クキバミ:「フロンタ殿はその弟子とやらをどうお考えで? 信頼に足る人物だと?」

フロンタ:「ただ生まれに恵まれた子供だと思っていたよ。私たちの元を突然去るまではね」

GM:フロンタは少し懐かしむように窓の外の夕焼けの空を見ます

フロンタ:「言っただろう。信頼の置ける弟子だ。あれはあれなりに、この世界の行く末を見ている。皇帝陛下が見ているのと同じようにな。だからこそ、私は最も近くで『アーク』を見た者の意見を聞きたい」

 

フロンタ:「いったい『アーク』とは何者なんだ? 彼を中心にして、何が起こっている? 『アーク』は本当に、私が……いや、私たちが賭けるべき人間なのか?」

 

GM:ご自由にお答えください

クキバミ:……いま思っていることだけを述べよう

 

クキバミ:「はっきり申せば、彼はいま、中空に放り出されてクルクルと回る銀貨のようなものじゃ。信じていた現実は泡沫に消え、見たくも信じたくもない現実をめくるめく絵巻のごとく押し付けられ、いまや支えるものも何もなく、ただいたずらに慌ただしく回ることだけが、彼のなせること……」

フロンタ:「……」

クキバミ:「しかしこれは試練。否、人としての義務。あるいは冒険者としての責任。……乗り越えられなければ、周囲をも巻き込んできりもみに揉まれて擦り切れる」

クキバミ:「しかしこれを乗り越えたとき! 二度と反対には裏返りますまい。良くも、悪くも」

フロンタ:「……わかった。しかし、もはや猶予は少ない。依頼によって任務中だとごまかせても、あと3日というところだ」

クキバミ:「3日もあれば、投げた銀貨は落ちてこよう」

フロンタ:「それまで待つとしよう。彼の目覚めを」

クキバミ:(表か裏か。……クラウ・ソラスと関わる青年、とんだ運試しよ)

 

GM:というところで、第2シーズン第3シナリオ完結です! みなさんお疲れ様でした!

アーク:お疲れ様でしたー

カシウス:お疲れ様でしたー

クキバミ:お疲れ様でしたー

 

GM:……レイラとコーラルのその後は、こちらのお三方がいないところでやりましたから、皆さん知らないんですよね

カシウス:そうだよ! そこキャラクターと合わせるなよ!!

GM:今回シナリオで「英雄志望」と「2つの剣」というキャンペーンタイトルも回収されましたし、第1シーズンのあの人達の活躍も伝え聞かれましたからね、次回はちょっと幕間雑談をとって状況を整理しようと思います。

アーク:コーラルとレイラはどうなったの!!

GM:まだ秘密です!

 

 

次回につづく