カクヨムでホラー小説の連載を開始
10月1日になりましたので「やさしい狂気のはじめ方 Vol.3」を…と言いたいところなのですが、今回はページ数もずぶんと多いものになりそうで、10月末に販売ということになりそうです。しかしこのところ公開シナリオがめっきり減ってしまって、皆様をお待たせしてしまっている気がするのもまた事実。
そこで今回、次回の「やさ狂」収録シナリオの内容の直接的なネタバレにもなります小説版の公開を行うことにいたしました!
タイトルは次回収録予定シナリオのタイトルそのままに「秋の足音」でございます。
シナリオの舞台と構成
今回発表のシナリオはまさかの1890年代ルールを採用します。それにもかかわらず舞台は日本! なんと明治23年の日本の田舎村を舞台にした実に珍妙なクトゥルフシナリオとなっております。
この時点でかなり取り回しにくいシナリオということができますが、そのうえ完全なるオープンシナリオとして設計いたしました。しかもプレイヤー人数は5人ときています。キーパーにとってこれほどの情報量を持ったシナリオを回すのは非常に苦労の多いものかと思いますが、その代わりに何度でも遊べる様々な工夫を折り込みました。
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キャラクター別導入の整備
キャラクター別に導入とシナリオ内の目的を明瞭に整備しました。ここでいうキャラクター別とは主に職業別のことを指しています。プレイヤーが選択できる職業は探偵や聖職者(日本なので僧侶など)はもちろん、科学者や医者、農作業従事者など多岐に渡ります。プレイヤーは過去に作った1890年代日本のキャラクターを持ち込んでも、新たにキャラクターを用意してもこのシナリオを遊ぶことができます。
物語の演出を最も重視
今回は物語の演出をプレイヤーの最たる目標に据えてもらおうとシナリオを用意しました。思考負荷が少ないながら、キャラクターが自らの意思を表明して村の危機を救い出すシーンがそれぞれのキャラクターに対して用意されているのです。プレイヤーはその目標をあらかじめ聞かされた状態で、より魅力的なシーンとして演出することにエネルギーを集中させることができます。
個別目標のクロスオーバーでよりよい結末へ
以上に示したキャラクター単位で与えられた個別目標を達成することで、他のプレイヤーの物語も演出されるよう、組み木細工のようなシナリオとして出来上がっています。プレイヤーたちの協力と、シーンを盛り上げるためのロールプレイの息合わせに集中して楽しんでみましょう。
それでも謎解き要素を忘れなたくないプレイヤーへ
したがってノーマルエンドの達成は比較的容易に作ってあります。それでも謎解きがしたいというプレイヤーにもご満足いただけるよう、ノーマルエンドの3倍程度の情報をベストエンドのために配置いたしました。私が初期に得意としていた、情報量爆発系オープンシナリオの現時点での集大成ということができます。
「アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?」「肝試しのあと」シナリオ未公開ですがリプレイシリーズ「忘却の結末」などのシナリオに覚えのある方は、今回のシナリオ「秋の足音」もお気に入りいただけること請け合いです。
小説化の目的
さてそんな「秋の足音」ですが、いったいどうして小説化などという労力のかかることを始めたのでしょうか?
目的は二つあります。
ファンを待たせたくない!
自分で言うとむず痒いのですが、このところいろいろな方から励ましの言葉やプレイ報告を聞くようになり、またプレイ後の感想絵や生放送なども見る機会に度々恵まれました。このように活動を続けられているのも、ひとえにこのように支えてくださる方々あってのことです。
このたび2ヶ月に一度発行というリズムに少しの遅れが生じましたので、それならば編集作業などの負担を負わない私が一肌脱ごうと思い、早速小説としてお届けすることで少しでも日々の皆様へのお礼になればと考えた次第であります。
情報量が多すぎ!
その裏でもう一つの心配事がありまして…それがずばり情報量なのです。
正直「トーキョーインフェルノ」の時点でかなりやらかしていたのですが、私は普段からものすごい情報量をシナリオに叩き込む習性があります。プレイヤーはそのうち自分たちが調査する分しか受け取りませんし、結局のところプレイヤー間で分担して考えられる限りのことをやればクリアできるようにはしているのであまり負担はないかもしれないのですが…問題はキーパーさんです。
キーパーさんはプレイヤーのアドリブにも応答しなければなりません。そのためには無数の補足情報を用意して、どうすれば設定に反さないように応答できるかを考えておかねばなりません。ましてや今回は完全なるオープンシナリオ。この課題は実に大きなものとしてのしかかりました。
実は「やさ狂1」に掲載した「わたしは死体」は私の本来のスタイルとあえて真逆のスタイルを採用したシナリオ資料でした。すなわちあえて説明しないことで、キーパーがなんでも勝手に考えていいという自由を残したのです。それはあのシナリオの柔軟性と利用しやすさにつながっていると思われます。
しかし今回の「秋の足音」はそうはいきません。緻密に作られた舞台設定のリアリティを保つためには相当の設定を織り込む必要がありました(それこそ土地の神社の歴史から地元で取れる農産物の種類まで)。はっきり言ってこれをどうやって整序してキーパリングすればいいのかなんてさっぱりわからないでしょう。私なら匙を投げます(おい)
そこであらかじめキーパリングを目指す方のための情報源として、小説版を用意することにいたしました。シナリオ資料に書かれていない資料を導入してみたり、展開を織り込んでみたりして、このくらいならアドリブしていいんだよという例を示したいと思っております。
今後の展開など
そんなこんなで始まった小説化プロジェクトですが、春にやっていたように定期連載という形をとると私が他の作業で死んでしまいます。それゆえあくまで書けるときに叩き込むというスタイルを貫き通します。
一回あたりの記載量は1500字以内に抑え、隙間時間を使ってゴリゴリと早めに投稿していきます。だいたい本作は合計で3万5千字程度になると思いますので、これまでの時点での文字数を考えればあと3日もあれば完結いたします(いやどう考えても無理なのですが)。
というわけで購入のご検討という意味でも、購入後のキーパリングの補助という意味でも、小説版「秋の足音」をご一読いただければ幸いです。
こちら小説へのリンク
10月6日追記
連載は無事に完結いたしました。以降全編を通して読むことができます。なお、カクヨム週間ホラージャンルランキング3位にランクインしました。総合週間ランキングでも最高38位を記録いたしました。皆様のご愛読ありがとうございました。