TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

初心者向けシナリオとは何か?

クトゥルフ神話TRPGの初心者向けシナリオに対するニーズが尽きません。様々なライターさんがシナリオを公開してくださった結果として、初心者でも遊びやすいシナリオが幾つも生まれていることと思います。

 

私もこのニーズに応えるべく、初心者向けシナリオの執筆を開始したのですが、そこでさっそく一つ目の躓きに出会いました。

 

いったい、「初心者向けシナリオ」ってなんなのでしょうか?

 

メニュー

1.資料が煩雑ではない

2.目的が明白である

3.予備知識がいらない

4.判定の数を減らす

5.わき道にそれるリスクを減らす

 

1.資料が煩雑ではない

まずはこれに尽きるでしょう。まだ1、2回しかセッションをしていない頃に、非常に凝ったシナリオ資料を読み込むのは手間です。

パッと見ただけでどういうシナリオか理解でき、セッションの様子をイメージしやすい資料にしなければなりません。そのためには、幾つかの要素をカバーしておく必要があると思うのです。

 

2.目的が明白である

一番大切なのは、シナリオの目的が明白であることです。

 

「ボスを殴れ!」とか「ここから脱出せよ」とか、そのくらいのシンプルな目標であるのが望ましいでしょう。この目標はできれば明示されているくらいがいいかもしれません。

 

私の持論なのですが、黒幕の存在は早い段階で認識できていた方がいいと思っています。探索を通じて明らかにするのは、黒幕の「カラクリ」や「倒し方」といった要素であったほうが、探索もやりやすいのです。

 

しかし「クトゥルフの招来を試みているから、狂信者達を殴って止めよう」なんていう目標が初めから明示されると、ちょっと興醒めです。どうすればいいのでしょうか?

 

 

3.予備知識がいらない

一つの案としては予備知識のいらない設定を利用することが考えられます。

日本人ならば、クトゥルフについては知らなくても、妖怪や幽霊についての漠然としたイメージを持っています。

 

これらの超自然の存在にはたいてい物語が付随していて、なんとなくは何をするべきなのかイメージを共有できています。

幽霊なら成仏させなきゃなりませんし、妖怪だったらなんらかの方法で遠ざけなければなりません。この漠然としたイメージを利用して、シナリオの主要目的として暗に伝達すればよいのです。

 

「クトゥルフを招来しようとしている狂信者達を殴ってね」に比べれば、

「幽霊に取りつかれたから頑張って除霊してね」の方が伝達可能性が高いのです。

 

 

4.判定の数を減らす

また初心者の場合、ルールブックの参照を行うのも一つの作業です。呪文を利用したり、邪神やクリーチャーを利用するたびに、キーパーとプレイヤーは一つの未知に遭遇します。

 

未知が一つ増えるたびに、プレイ上の障壁が一つ増えてしまいます。キーパーはプレイヤーから説明を要求され、キーパーも新しい判定や処理を学ぶ必要が生じます。

 

初めてソード・ワールド2.0をプレイした時の思い出

このブログにもルール勉強の経緯が書かれていますが、初めてソード・ワールド2.0をプレイしたとき、あれだけ簡易化されたルールでも、魔法の使用ルールと〈ガン〉の使用ルールに混乱させられました。結局このあたりを正確に理解できたのは3、4回目のプレイの頃だったと思います。

この頃を思い出せば、新しい要素が一つ加わるだけで初心者にとってどれほどの負担増なのかよくわかります。慣れてしまえば簡単なことも、初めの頃には本当に難しいのです。

 

そこで、使える要素を初めから限定してみましょう。

クトゥルフ神話TRPGなら抵抗ロールや銃器の運用ルールを省き、技能ロールだけでプレイできるようにしてみましょう。決して落下することもなく、殴り合いをすることもなく…それでもきちんと探索して多様な技能を活用できるシナリオならば、初心者のプレイには最適です。

ソード・ワールド2.0なら、思い切って魔法やガンの利用を制限してみましょう。初めてのプレイ時には近接攻撃だけでやりとりしてみれば、ルールの学習はぐっと楽になるはずです。

 

 

5.わき道にそれるリスクを減らす

そして私がいつも忘れがちなのがコレです。

プレイヤーの想像力を刺激しすぎると、窓を破られたり屋敷を焼かれたり、とにかく様々なシナリオ崩壊の危機が発生します。そういう事態に対して柔軟にペナルティを課すことができるのは慣れたキーパーだけです。

 

そこで初めからそうした余地を覗かせないように工夫したシナリオを書く必要があります。

その結果が「目覚めたら見知らぬ部屋にいた」系のシナリオなのですが、これでは部屋の様子をすべて描写する必要が生じます。部屋は全く見知らぬ場所で、現実とは切り離された空間なのですから、プレイヤーとイメージを共有するのは困難です。

 

そこで現実に存在する空間を利用してイメージ共有をしつつも、わき道にそれるリスクの少ない空間を利用することが推奨されます。

 

これから先、以上の考察を活かして3つの場所を舞台にした、3つの初心者向けシナリオを執筆しようと思います。順次公開して、以下にリンクを貼っていきますので、完成の折にはプレイしてみてください。

 

 

↓トンネルを舞台にしたパーセントロールオンリーのチュートリアルシナリオ

trpgscenario.hatenablog.com