TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

雑記的反省会:シナリオに足りない要素を考えよう

というわけで、先日ひとつのリプレイが完結しましたが、どうにも弱い。「シナリオパワー」なるものがあるかわかりませんが、何かそういうものが弱いんです。

 

今日はシナリオの反省をしながら、TRPG日記カテゴリーで雑記を展開してみます。今日の教訓は改めて別の記事に整理して、シナリオ>テクニックの記事として整理する予定です。

 

さて、先日のシナリオは、かれこれ10ヶ月くらい前に書いたもので、まだ自分なりのシナリオメイクの方法論をまとめる前に書かれたものでした。それゆえ、いろいろな点で足りないところがあるのも納得なのですが、それにしても、それ以前に書かれた「アンドロイド〜」や「肝試し〜」、「忘却の〜」、「糸にとらわれて」などのシナリオに比べても明らかに弱いシナリオでした。

 

物語の構造を整理してみましょう。

遠い昔にクトゥルフの落とし子「アニト」が封印された孤島

祠が少しずつ破壊されていて、守ろうとする派閥が壊そうとする犯人を探している。

止めるためには壊そうとする犯人を特定して、犯人を取り押さえて魔術を停止させればよい。

シナリオの中で楽しんで欲しかったのは、どちらを信用するかという判断と判断のための情報収集でした。

とはいえ、もとは初めてクトゥルフ神話TRPGをプレイした人用に作ったシナリオだったので、まぁあまり難易度は高くしないように気をつけていました。つまり、情報収集が終われば確実にどちらが敵なのか判断できるという仕様を心がけました。

 

ここで3つくらいの課題をぶつけて、このシナリオの質を試してみましょう。

 

 

課題1:プレイヤーの役割は?

このシナリオにおけるプレイヤーの役割は、真犯人を特定し、味方陣営を特定して彼らに情報を提供することです。

 

ここに弱さがあります。

 

プレイヤーたちは物語の主役でなければなりません。

つまり、味方陣営は真犯人によって壊滅させられるくらいがちょうどいいのです。そうなれば、この怪異を止められるのはプレイヤーたちだけになります。味方が味方だとわかった直後に壊滅する。判断が遅れたばかりに取り返しのつかないことになってしまった…この緊張感があれば、探索を急いだり、情報を探っていく気になれそうです。

そのうえで、壊滅した味方陣営の拠点を調べれば、事件の解決方法が明らかになり、いまやそれを遂行するのは探索者たちしかいないとなればどうでしょう?

こうなれば、探索者は燃えるクライマックスへと邁進することができそうです。

 

 

課題2:怪異の恐ろしさは伝わった?

このシナリオで中心的な役割を果たすのが「アニト」という現地信仰に登場する精霊です。実際に存在する伝承を、クトゥルフの落とし子という設定にして利用しました。

 

さて、そのアニトが目覚めたときに何が起きるのでしょうか?

実はここが設定されていませんでした。

 

「アニトの目覚めを阻止する」という目標を意識するあまり、どれくらい悲劇的なことが起きるのかを考えていなかったのです。このため、それらしい悲劇のほのめかしや、古文書、伝承などが用意されておらず、「なぜ怪異の目覚めを阻止するのか」が弱いシナリオになっていました。

クトゥルフの落とし子が封印されているなら、初めに封印を作った人物の活躍を物語った伝承が残っているはずですし、そういう用意周到さが抜け落ちていたなと反省させられました。

 

 

課題3:キャラクターは舞台の中に生きているか?

現在新たに公開中のリプレイ「死者のストンプ」を読んでいただければ明らかなのですが、舞台とキャラクターが結びつくのは非常に重要です。

キャラクターはどういう人物として生活していて、どこに拠点を置き、事件とどうのような関わり方をしていて、なぜ解決しなければならないのか、それが明らかにする必要があります。

 

その意味では、突然孤島に移動して始まるこのシナリオは、かなり分が悪いシナリオです。

まったく生活とは切り離されていますし、現地に知り合いもいなければ、この島が沈んだとしても自分さえ逃げられれば問題ありません。ぶっちゃけ嵐がやむまで経過を観察して、あとは普通に帰ろうというスタンスでも問題ないわけです。

 

当時の思いとしては、クローズドシナリオの作成練習がしたくて孤島ものを書きました。練習が必要と認めていただけのことはあって、クローズドシナリオ特有の難しさをあまり把握しないまま作ってしまったというところでしょう。

 

 

結論

つまり、結論はこうなります。

まず、プレイヤーにさせたいことが曖昧だった。これが失敗です。

ペアシナリオライティングでも強調していくことになりますが、プレイヤーを動かすためにシナリオがあります。この部分を今後はいっそう意識する必要があるでしょう。

 

さらに、脅威をプレイヤーと共有する演出が足りませんでした。

それは古文書でもいいですし、伝承でもいいでしょう。あるいは壁画や石碑にその伝説が残されているというのもいいかもしれません。いずれかの方法を通じて、神話的絶望を退ける探索者の勇気ある行動というロールプレイを支援する必要が有りました。

 

最後に、プレイヤーキャラクターが決定した時点で、もっと詳細に設定を詰めるべきでした。知人が行方不明でも、実はその島出身ということでも、研究のために頻繁に訪れているでも構いません。島民たちの中で生活しているという設定はセッションを楽しむ上で非常に重要です(プレイヤーのアドリブが捗るので)。

この辺りの設定をよくよく考え直して、シナリオ資料にもっと書き込みを行っていこうと思います。

 

というメモ書き的雑記でした。

お目汚し失礼いたしまする…