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ペアシナリオライティングで学ぶシナリオ製作【第2回】

前回↓

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キツネさん(以下 狐)「今日は『問題と解決のパッケージ』をつくるとかなんとか言ってたな…よーし、気合を入れてツッコミ入れていかないと!」

ハカセ(以下 ハ)「いやいや、メインはそこじゃないでしょ、キツネさん!」

狐「え? 違うの?」

ハ「違いますよ! 狐さんが頑張るポイントは、あくまでシナリオを書くことなんですから!」

狐「いや、だって前回、シナリオライティングと冗談とどっちが多かったかって考えたら、どう考えても冗談の方が多かった気がして」

ハ「前回のハカセは冗談が多すぎて話にならない反逆者でしたが・・・」

狐「今回のハカセもたぶんダメでしょう」

ハ「ダメじゃないよ! よし、やっていくぞー!」

 

第2回 問題と解決のパッケージをつくろう!

シナリオライティングは全体から考える

狐「それで結局3番のアイディア、死のループを使ったシナリオを書くんだったよね?」

ハ「そうなりましたね。今日はそこからもう一歩だけ進めますよー」

狐「死んでループするシナリオってことは、いくつか死んでしまうギミックを仕込まないと! うおぉぉ、◯すぞぉ!」

ハ「キツネさん、発言が物騒!」

狐「早く探索者を血祭りにあげたいんじゃぁ^〜」

ハ「そんな狐さんに残念なお知らせです。まだ細かいギミックは考えません」

狐「何・・・だと・・・?」

ハ「今日は、事件の原因とその解決手段を考えます」

狐「だからほら、密室に閉じ込められている事件で、鍵を開けて逃げればいい。これでいいでしょ?」

ハ「いいえ、ダメです。死んだら元の場所に戻るってループがあるじゃないですか。その原因はなんです?」

狐「え、ほら、それは…邪神様パワーでこう、もにょっと」

ハ「ほら、そんな感じの甘い設定だとギミックに統一感も作れないんです。そこで今回参照するのがこちら。TRPGシナリオ作成大全VOL.6。こちらに『クトゥルフシナリオの常識』という章があります」

狐「常識?」

ハ「はい。サンプルシナリオの原因やオチなどを分類して整理したもので、実践的に役立つ素晴らしい記事です」

狐「なるほど。それでその常識とやら、教えてもらっていいの?」

ハ「もちろん。次の一覧を見てください」

【クトゥルフ神話TRPGのオチ】

  • ラスボスを倒す/つかまえる
  • 神話生物などを倒す
  • 儀式を妨害する
  • 脱出・人質の奪還
  • 呪文/儀式
  • アイテムを使う
  • アイテムを破壊する

狐「言われてみればシナリオのオチってこういうのばっかりだね」

ハ「ですよね? つまり、ここからプレイヤーの最後の行動を選べばいいんです」

狐「あ、選ぶだけでいいんだ!」

ハ「はい、『どれにしようかな』って選んだり、ダイスを振ってもいいですよ」

狐「いや、初めて書くんだからそんなリスキーなことは・・・よし、アイテムを破壊してもらおう」

ハ「アイテム破壊、君に決めた!」

狐「ピッカー!・・・ハッ!」

ハ「キツネなのにキュウコンとかマフォクシーじゃないんだ・・・もう表記は鼠でいいかな・・・」

鼠「やめて!・・・ほんとに変わってるからやめて!」

ハ「それで、ビリビリドブネズミさんは・・・」

鼠「敵作りすぎるからそれ以上はいけない!」

ハ「つまりこのシナリオは『邪神が呪器を通じて探索者を死のループに捉えている問題』を解決するために『その呪器を破壊すること』を目指すシナリオということになります」

狐「おお、それっぽい!」

 

ハ「ついでに聞いておくと、密室の方はどうなんです? これにも邪神様直接介入ですか?」

狐「んー、そっちは人間がやってる感じかな。でも逃げ出すのには魔術的な何かが必要な方がいいかも」

ハ「ふむふむ…では、こういうのはどうでしょう。何かしら対抗魔術的なものを習得して、それを詠唱すれば封鎖を突破できる」

狐「ああうん、それでもいいけど、なんで?」

ハ「死んで戻ってきたときに、もう一度密室からの脱出作業を繰り返すのが手間だからですね。記憶だけは引き継げるので、記憶している言葉だけで突破できるのが理想です」

狐「ああ、なるほど。チェックポイントにショートカットが仕組んであるのか」

ハ「シナリオの構造をプレイヤーと共有するためにも、この仕組みは役に立ちます。ダンジョンの奥にテレポスフィアが置いてある感じですね」

狐「ここで一区切りってプレイヤーに伝えるわけか・・・こういうのってなかなか思いつかないなぁ」

ハ「慣れですよ、慣れ」

 

兄さん、いい邪神、そろえてますよ〜

狐「よーし、かなりシナリオっぽくなった!」

ハ「今日はもうひと押しがあります。邪神様を選びましょう。」

狐「お! ついに選べるんですね!」

ハ「狐さんも好きですねぇ…。ほら、この子なんてどうです?」

 

(邪神様紹介中…)

 

狐「なんか表現がいろいろおかしかったけど、この邪神にします! アトラック=ナチャ!」

ハ「キミに決めた!」

狐「もうやらないよ?」

ハ「蜘蛛の神様ですね。これでこの密室の中のギミックや演出は、蜘蛛をイメージして統一感を持たせることに決定です!」

狐「これで邪神様をやり込めて脱出するってことになるから、探索者が目をつけられちゃうね」

ハ「探索者デビューにはもってこいですよ。探索者としての活躍は邪神界とのコネクションいかんに関わりますからね!」

狐「わぁい、華々しい探索者デビューだ!」

 

 

今日のまとめ

ハ「というわけで、今日の内容をまとめます」

狐「ええと、『問題と解決のパッケージ』を作ったんだったね」

ハ「はい、難しいことは言わず、『よくあるオチから一つを選ぶ』これが基本です。最終的にプレイヤーに何をしてほしいシナリオなのかを決める一番簡単な方法ですからね」

狐「そのときに、TRPGシナリオ作成大全Vol.6が参考になるっていう話もしたっけ」

ハ「オチが決まったら、ルールブックのクリーチャーや神格、できれば『マレウス•モンストロルム』を参照しながら、シナリオに登場する邪神を決めてしまいましょう」

狐「邪神を決めたら、シナリオ全体で登場する演出に統一感が生まれるんだったね」

ハ「そういうことです。その邪神のイメージや解説に沿う形で、霧が発生したり、羽音が聞こえたり、蜘蛛の糸があったり、突然燃え上がったり、急速に年老いたり…恐怖演出が具体的に定まってくれるんです」

 

 

次回予告

ハ「ついに登場邪神を決定したキツネ! また一つシナリオは具体的になったと思っていたところに、次の使命が課される。 『探索内容の分割と配置』という難題は、キツネの精神を抉り取るように消耗させる…」

狐「え゛? マジで?」

ハ「果たしてキツネは、この戦いを生き残ることができるのか…」

ハ・「次回、『キツネ、曉に死す!』」

狐「酷いネタバレ・・・って、死なないからね!?」

 

つづく

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