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キー形式を使った探索順の構成【クローズド構築ノート3】

クローズドシナリオの設計思想を技術別に整理して記録しておくシリーズの第3回。今回もクトゥルフ神話TRPGのシナリオを書くことを前提に、また別のクローズドシナリオ設計技術についてノートに整理しておきます。

 

今回紹介するのは、私が「キー形式」と呼んでいるものです。シナリオ内で登場する空間は2つ以上に分かれています。初めの空間から次の部屋に移動するためには、なんらかの「鍵」が必要で、この鍵を手に入れるまでを前半、扉を抜けた後を後半とすることで、シナリオクリアに関わる情報が手に入るタイミングを遅らせることができるのです。

キー形式では、クローズドシナリオの中に明確なシーン変換を織り込むうえで最も有効な方法と言えます。少なくとも、「オープニング→鍵の入手→扉の突破→解決に関わる情報・道具の獲得→エンディング」という流れを生み出すことができるため、それぞれのシーンにイベントを書き込むだけで、5シーン制の物語として機能させることができるのです。

 

以下、このスタイルを利用したシナリオライティングの方法論について、細かく整理していきましょう。

 

メニュー

1.中間目標は早めに示そう

2.はうとぅーらいと

3.キー形式の難点

4.慣れたら他と組み合わせよう

 

1.中間目標は早めに示そう

キー形式を利用すると、シナリオに中間目標が設置されます。シナリオ全体の目標を達成するうえで、第一の障壁を取り除くための「キー」が必要になるからです。この「キー」の獲得こそ、中間目標に他なりません。

 

もしもプレイヤーが中間目標の存在に気付かなかったら、どういうことが起こるのでしょうか? たとえば「館から脱出する」という最終目標ばかりに目がいって、「隠し扉を開く鍵を見つける」という中間目標の存在も知らされず、ダラダラと探索が続いてしまったら?

シナリオで重要なのは、「いま何を目指して行動しているのか」をプレイヤーとキーパーが共有できるように配慮することです。この設定ならば、館に詳しい人物が「隠し扉が地下通路に通じているから、逃げられるかもしれない」と提案したうえで、「隠し扉を開けるためには、ロビーに置かれたブロンズメダルが必要だ」などと説明するだけでいいでしょう。これだけで、プレイヤー側が感じるプレイしやすさは格段に向上します。

 

このように「中間目標の達成が確実に最終目標の達成につながる」という情報とともに、中間目標を明示しましょう。

 

 

2.はうとぅーらいと

この形式を取り入れるとき、初めに考えなければならないのは次の要素です。

最終目標:シナリオ全体の目標

クリアキー:シナリオ全体の目標達成のための手段

中間障壁:最終目標達成のための必須通過点

中間キー:必須通過点通過のための手段

これらの要素を設定して、それぞれのシーンにNPCとの会話や、クリーチャーの出現、重要情報の提示など、イベントを配置しましょう。

 

強調しておきますが、中間キーが物理的な「鍵」である必要はありません。たとえば合言葉の発見や、電源の復旧、爆薬の設置…実に様々な「キー」が利用できます。

同様に、中間障壁がただの壁や扉である必要もありません。某国民的ゲームでも、眠っている巨大モンスターの横で笛を吹くことで目覚めさせ、道を開けてもらうなんていう「キー」が利用されていましたが、このようにモンスターを利用することも可能です。他にもアルカリの水路を渡るための特殊な船が必要だったり、電流地獄や火炎地獄を通るための防護服が必要だったり、やりようはいくらでもあります。

 

 

3.キー形式の難点

しかし、キー形式にも難点があります。それは、ダイス運によっては「キー」なしで突破されてしまうことがあるという点です。

たとえば強固な扉を設置したとしましょう。ここで筋肉モリモリマッチョマンの変態キャラクターがやってきます。そして次のような会話が挟まれるわけです。「こんなのは障壁じゃないわ、取っ手のついたサンドバックよ!」「だったら蹴ればいいだろ!」 〈マーシャルアーツ〉+〈キック〉を繰り出し、ダメージボーナスまで含めて最高の値を叩き出し、扉は弾け飛ぶ・・・。

こうなってしまっては、キー形式の意味をなしません(それはそれで面白いので、僕がキーパーなら許容してしまいますが…)。

 

プレイヤーの探索順を制御するという目標に照らせば、「キー」は代えのきかないものにしなければなりません。最も典型的なのは、〈鍵開け〉技能で突破されてしまったら、すべての調整は無駄になってしまいます。〈跳躍〉や〈登攀〉も思わぬ突破を助けることがあります。よく技能一覧を眺めて、突破不能かどうか確認しておきましょう。

 

 

4.慣れたら他と組み合わせよう

キー形式を導入することで、シナリオ全体に物語的展開を作り込むことができます。中間目標の突破を境に防戦から攻勢に転じたり、仲間だと思っていたNPCの新しい側面が明らかになったり、物語の起承転結における「転」のきっかけを組み込めるからです。

クローズドシナリオに「転」を加えれば、それはすっかり物語の様相を呈します。あとは他の形式と組み合わせて、様々なギミックを作り出しましょう。たとえば時間経過式イベントと結びつけて中間目標達成に時間制限を課せば、ルート分岐を組み込むことができます。あるいは、「キー」の入手に簡単な謎解きを要求してシナリオ前半を彩ることも可能です。

このように、キー形式は「物語のあるクローズドシナリオ」を作る上で最も安定した雛形になります。この土台の上に種々の小さな彩りを加えることで、クローズドシナリオの深みはぐっと増すことでしょう。

 

皆さんもこの形式を利用したシナリオ設計に挑戦してみてはいかがでしょうか?

 

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