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時間経過式イベントによるクローズドシナリオ設計【クローズド構築ノート1】

これまでオープンシナリオばかり設計していたので、クローズドシナリオを設計する方法についてはあまり考えてきませんでした。いざ書いてみると、いつも使っている技能連結型ノウハウが利用できないらしいことがわかってきたので、新しい手法をいくつも開発しておくことにしました。

なお基本的にクトゥルフ神話TRPGのシナリオ設計を前提にしています。

 

全部で4つの手法を紹介するのですが、今回はその第1回。

紹介するのは、時間経過式イベント方式…長いな。「イベント連結式」ということにしましょう。

次から次にイベントが発生して、その中で探索者の動きを問う形式です。一番マスタリングもしやすく、プレイヤーの選択肢も制御しやすいシナリオ形式かと思われます。

以下詳しくこの方法を紹介していきます。

 

メニュー

1.パニック! パニック! パニック!

2.はうとぅーらいと

3.イベント連結式の難点

4.慣れたら他と組み合わせよう

 

1.パニック! パニック! パニック!

イベント連結式シナリオの例を挙げて、イメージを共有しましょう。

この形式でシナリオを組み上げて、一番面白いシナリオになるのはパニックホラーシナリオです。

起:突然神話生物に襲われる! 逃げる!

承:生き残りたちの中に真相を知っている人がいた!

転:神話生物の攻勢を切り抜けて呪具にたどり着く

結:たくさんの犠牲の先で、探索者は再封印に成功する

ほーらパニック。

いきなりの遭遇戦(逃亡戦)イベントに始まり、事件の真相は簡単に把握することができ、それを実現するためには困難な道を抜けるというイベントをこなさなければならず、最後の勝利もイベントとして処理されます。

探索者はどこの部屋に向かうとか、何に対して目星をふるとか、そういうことを考える必要があまりありません。状況は常に切羽詰まっていて「イベントに突き進むか、それとも死か」を問われ続けるのですから。

この一連のイベントの中で必要な行動にはダイス判定を挟み、ロールプレイも織り交ぜながら進行すると、見事にオフセッションで3時間程度の模範的シナリオとして楽しむことができるでしょう。

舞台を科学プラントとか軍事基地とかにすれば、映画『エイリアン』や映画『バイオハザード』風のパニックアクションとして仕上がるかもしれませんね。社会科見学に来た学生探索者が銃をぶっ放す系シナリオにはもってこいです。NPCの兵士が学生を守るために死んでしまったりして…安っぽいけどいいドラマじゃありませんか。

 

 

2.はうとぅーらいと

まず、パニックホラーだということを頭に入れましょう。そして逃れられない生命の危機の本質を決めましょう。エイリアン? ゾンビ? 神話生物? 上級の奉仕種族? 実態不明の怪奇現象? …とにかく、いったい何に追い詰められているのかを決めさえすれば、あとは簡単です。

次に、危機を脱する手段を用意しましょう。単純に銃撃して突破すればいいのか、例と同じように呪具にたどり着けばいいのか、施設電源を復旧すればいいのか、レーザー砲を充電してぶち込めばいいのか、首謀者を殴り倒せばいいのか…なんでも構いません。これが目標地点になります。

これで起と結が決まりました。あとは承と転を決めましょう。承の部分で探索者はこの事件の原因を知ります。イベントで済ませるなら人から聞くのが手取り早いのですが、一応避難所に相応の自由探索の余地を残しておいてもいいかもしれません。重要な要素を避難所から外に出た先に配置して、回収ミッションを組み込んでもいいかもしれません。やや冗長になりますが。

転の部分はシナリオの山場になります。パニック系シナリオなら、たいてい戦闘を挟んだり駆けっこを挟んだりすると思うので、そうした要素で卓を盛り上げましょう。物好きなキーパーさんなら、ここで仲間内に裏切り者がいたりする展開を挟んでもいいかもしれません。そのせいで状況は一層絶望的になり、最後のミッションは探索者たちだけで行うことになったり…展開はいくらでも思いつくことでしょう。

あとは技能利用の機会を設置しましょう。とはいえパニックホラー系の場合、技能の失敗が死に直結しすぎるので、必須技能や失敗が許されないシチュエーションでの技能利用ポイントは設置しないほうがいいです。鍵がかかっている扉くらいなら、殴って開けたり銃撃して開けたり、やりようがいくらでもあるので問題ないかもしれません。このように、いくらでも柔軟に突破可能な障壁だけを設置するように心がけましょう。

 

 

3.イベント連結式の難点

ずばり、プレイヤーの自由にできる範囲が少なすぎます。次から次にイベントが発生して、プレイヤーを飽きさせない展開にはなると思うのですが、プレイヤーの意思が物語に絡んでくる要素がかなり少ないので、ロールプレイが少なくなってしまう恐れがあります。

また、キーパリングしやす過ぎるのも問題です。イベントをキーパーの判断で発生させればいいこの形式では、プレイヤーのロールプレイなどを無視して、NPCだけで次々とセッションを展開させてしまう「吟遊キーパー」になってしまいがちです。この失敗を犯さないように気をつけながら、キーパリングをするように心がけましょう。

また、幾つかの理由から、プレイヤーを募集する際にはパニックホラーだと明言することを推奨します。自由探索が少なかったり、戦闘技能や敏捷性(DEX)が高くなければ死にやすかったり、シナリオ自体に明確な特徴があるからです。プレイヤーによってはこのような単線的なシナリオを嫌う場合があります。そうした方を巻き込んでしまわないように、一直線のパニックホラーだと明言して募集を行いましょう。

 

 

4.慣れたら他と組み合わせよう

イベント連結式シナリオは、初心者でも回しやすいシナリオ(事故が起きにくいとは言っていない)ですが、プレイヤーを選ぶシナリオでもあります。慣れてきたら、これから先に紹介する他のクローズドシナリオライティングスタイルと混ぜて使いましょう。

承の部分に自由探索を組み込むことはすでに提案しました。そこでの探索にキー形式を取り入れたり、場所依存探索から回数依存探索に切り替えたフレキシブルシナリオの要素を組み込んだりしてみましょう。それだけで、シナリオ全体にメリハリがつき、オープニングとエンディングのイベントが大いに引き立ちます。

 

しかし、謎解きシナリオとの組み合わせは厳禁です。謎解きシナリオでは、プレイヤーの思考力は謎解きに集中投資させたほうが、プレイヤーの満足度は高くなります。他のイベントで考察を妨げられると、逆にイベントも謎解きもピンボケしてしまって、何がしたいのかわからないシナリオになってしまいます。上手に組み上げる自信がなければ、この組み合わせは採用しないのが定石になります。

 

これらの点に気をつけながら、イベント連結方式を利用したシナリオを作ってみれば、誰でも簡単にクローズドシナリオを設計して、遊ぶことができます。気軽にお試しください。

 

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