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【サプリメント紹介】カルディアグレイス【ソード・ワールド2.0】

ソード・ワールド2.0 ルール&データブック  カルディアグレイス

第三の剣である“カルディア”の名を冠したサプリメント『カルディアグレイス』は、新種族と新技能を多数追加するサプリメントです

『カルディアグレイス』の導入によって提供される新要素は、以下の通りです。

①PC種族に5種族が追加
②3つの新技能を追加
③新たな信仰と特殊神聖魔法の追加
④熟練戦闘ルールの追加

何よりも3種の技能追加は、パーティ内役割の多様性を格段に高めます。一層複雑な戦闘が展開され始め、その高度な戦術性に対応した熟練戦闘ルールがプレイの自由度を一層押し上げます。

では、いつも通りそれぞれの要素を詳しく紹介しましょう。

 

 

1.PC種族に5種族が追加

シャドウ・フィー・フロウライト・ウィークリング・ラルヴァの5種族が追加されます。

このうちシャドウは、『ソード・ワールド2.0 ルールブックⅠ改訂版』に掲載されていますので、事実上4種族が追加されたことになります。

 

シャドウは近接戦闘に特化した種族です。とはいっても、筋力が高いわけでもなく、やや火力不足は否めません。種族特徴によって精神抵抗力が常に高い値になるので、前線での魔法ダメージの軽減には役に立つことでしょう。

フィーは古代種妖精にも分類される人族で、極めて高い魔法運用能力を持っています。ステータスとしては、精神力の高さが目立ちます。補助魔法を多用しつつ、バード技能やミスティック技能など、精神力ボーナスを多用する補助技能を習得すれば、パーティ内で頼りになる補助担当になれることでしょう。高い敏捷度を生かしたスカウトも担当することができるので、柔軟に支援することのできる優秀な種族です。

フロウライトは鉱石人間という不思議な種族です。自らの体が発光するので、暗視を持たない種族の戦闘を補助できます。威力自体はそう高くないものの、無尽蔵とも言われるMPから、魔法の運用には長けています。種族特徴によって防護点とMPが追加されるので、緊急時には後方に突破してきた敵に対する盾役としても活躍することができるでしょう。

 

ウィークリングは蛮族PCなのですが、穢れ点が低く止まっているため、人間のような容姿をしています。様々な蛮族種族から生まれる突然変異種で、蛮族にとってのナイトメアに相当します。生まれた種族によってステータスボーナスと弱点が加算されますが、ステータスにこれといった特徴はなく、汎用性の高い種族と言えます。

ラルヴァも蛮族PCです。ノスフェラトゥと人間のハーフで、部分的にノスフェラトゥの性質を継いでいます。敏捷度・筋力・知力の3値が高く、瞬発的に高い火力を発揮することに長けています。その代わり、継戦能力がおぼつかないので、力を入れるタイミングをよく考えて、魔法と近接攻撃で畳み掛けましょう。

 

 

2.3つの新技能を追加

このサプリの目玉は、種族の追加と、新技能の追加です。新技能としては、ウォーリーダー、ミスティック、デーモンルーラーの3つが追加されています。

 

ウォーリーダーは読んで字のごとく、戦場での指揮官を意味します。

戦場で《鼓咆》を使用することによって、一定範囲に補助効果を与えます。その効果はバリエーションに富んでおり、攻撃系・回避系・防御系・抵抗系・基本(移動力)・独立(その他の効果)の6種類が用意されています。戦況を見極めて、最適な《鼓咆》を選択すれば、強力な支援になることでしょう。

なお、《鼓咆》の効果範囲は使用者の合計名誉点によって変化し、2001点以上なら半径500mという大規模な空間を指揮することができます。

非常に強力な《鼓咆》ですが、ランクを積み重ねていくように、毎ターン発動することで高い効果を発揮するものなので、戦闘中長い間、ウォーリーダーは指揮に集中する必要があります。

 

ミスティックは《占瞳》によって長時間の補助効果をもたらす技能です。

《占瞳》の効果はダイスによって決定されるため、補助効果が得られない場合もあります。魔法による援護に比べれば明らかに安定しませんが、代償として支払うMPやHPはその分低く収まっています(代償の量もダイスで決定されるため、場合によっては多くなるが)。

このように、ダイス判定によってあらゆることが決定するため、運の要素がかなり強い技能と言えます。また、ミスティックに特徴的なのは、判定ボーナスが《占瞳》の種類によって異なる点です。自身のステータスボーナスの高い《占瞳》を優先的に取得すれば、いくらか安定した運用も可能でしょう。

 

最後の追加技能は、魔人使い、デーモンルーラーです。

デーモンルーラーが行使するのは召異魔法です。かなりトリッキーな魔法が多く、ものによっては人目に触れるところで行使すると異端者として排斥される魔法まであります。

術者と対象のHPとMP双方に作用する魔法や、自身のHP回復と併行して作用する魔法など、攻撃魔法も非常にトリッキーです。その使用は初心者プレイヤーには難しいので、慣れないうちは卓内で一番の経験者が担当するとよいでしょう。

 

 

3.新たな信仰と特殊神聖魔法の追加

新たに4柱の神が追加されました。

戦勝神ユリスカロア
秘隠神クス
刃神マキシム
鉄槌神エセルフィン

これらの神の追加によって、主に補助・探索目的の特殊神聖魔法が20種追加されています。

戦闘中の多彩な補助を行えるユリスカロアの特殊神聖魔法は、補助の役割をプリーストが担うことを可能にします。また、探索中に使える魔法を多数取り揃えたクスの魔法は、セージやスカウトとの併用によって、探索の幅を大きく広げてくれることでしょう。マキシムの特殊神聖魔法は、やや使い方が難しいのですが、術者自身や対象1体の攻撃力を上げる魔法が揃っています。それ以上にトリッキーな特殊神聖魔法が、エセルフィンの魔法たちです。相手のステータスを様々に変化させる魔法が揃っていますが、その効果は上級者向けと言えます。

これらの追加魔法は、上級者向けで、一工夫必要な、癖のある魔法と総評することができます。どう使うのかはあなたのパーティ次第です。

 

 

4.熟練戦闘ルールの追加

最後に、戦闘ルールとして熟練戦闘が追加されました。

これは自由移動可能な平面上で、プレイヤーと敵の位置を逐一操作しながら戦闘するルールです。実践するためには、最低でも、白い紙とコマ、あるいはホワイトボードなどが必要になります。

 

このルールでは、戦闘エリアを前後に移動して戦う簡易戦闘などの形式とは異なり、左右を含めた自由な移動が可能になります。乱戦エリアが発生すると、そのサイズに応じた円が描かれ、その領域を通過する場合には進路妨害を受けるなど、処理が発生します。

こうした高度な戦闘ルールの整備によって、セッション内の戦闘はよりリアリティを得た、緊張感あるものに変化します。特に、『カルディアグレイス』に掲載されているウォーリーダー技能の登場は、陣形の構築などを可能にしたこの熟練戦闘を、一層盛り上げてくれることでしょう。

 

 

以上に整理した追加要素に加えて、新規追加のモンスターやアイテムも多数掲載されています。

『ソード・ワールド2.0』の可能性を一層拡張するこのサプリメント。 導入してみてはいかがでしょうか?

 

 

ソード・ワールド2.0 ルール&データブック  カルディアグレイス

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