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TRPGのトビラをひらこう!

【リプレイ本】戦慄のトリプルクラウン(上)レビュー

リプレイ・ノベル 公式リプレイ

ソード・ワールド2.0リプレイ 戦慄のトリプルクラウン (上) (ドラゴンブック)

「いつもゲームマスターばっかり!お願いだから誰かゲームマスターをやってよ!私だってプレイヤーがしたいんだー!」

 

ここに苦しむGMが一人いるようです。どうしますか?

 

 

「…そうね、それなら、GMリレーキャンペーンをやりましょう。」

 

GMリレーキャンペーンとは。

① 参加メンバー全員がキャラクターを作ります。

② 役欠けに気をつけながら、ゲームマスターになる順番を決めます。

③ 初めのゲームマスターが、舞台と簡単な設定を用意します。

あとは簡単です。

1シナリオごとに、ゲームマスターを変えて、順番にプレイしていけばいいのです。 ゲームマスターに不慣れな人も大丈夫。自分の番で設定を作るだけ作って、伏線の回収は次のゲームマスターに委ねてしまえばいいのですから!

 

そのうえ、もう一つ。どう考えても「頭がおかしい」としか言いようのないシステムが…。

 

 

ずばり、シナリオテーマクジ引き制です!

シナリオテーマクジ引き制とは。

① 参加メンバー全員が、複数の「お題」を、小さな紙に一つずつ書きます。

② 「お題」が書かれた紙たちを、一つの袋に投入します。

③ 次のゲームマスターは、ここから二つの「お題」をクジ引きします。

④ テーマに沿ったシナリオを作ってきます。

 

ここまでなら、「頭おかしい」とは評価できない、非常に魅力的なシステムなのですが…。

 

 

プレイ直前に、もう一つの「お題」を引いて、アドリブでシナリオに組み込みます。

 

 

この手順が加わることで、このシステムは鬼畜仕様へと昇華します。

「戦慄のトリプルクラウン」は、この鬼畜仕様のシナリオテーマクジ引き制に基づく、GMリレーキャンペーンのリプレイとなっています。

秋田みやび、川人忠明、北沢慶、清松みゆき、田中公侍、藤澤さなえ、ベーテ・有理・黒崎。おなじみのグループSNEの7人が、この「クジ引き+GMリレーキャンペーン」に挑戦します。

 

この本は、三つの意味で魅力的なリプレイ本に仕上がっています。

第一には、自由なシナリオライティングの可能性を提供するという点です。

お題がクジ引きによって決定されるために、通常では作ろうとも思わないような、奇怪なシナリオが作り上げられてしまいます(特に藤澤さなえさんの「大食いチャンピオンよ、男を見せるか!?」の奇怪さは頭一つ抜けている)。それでも、このゲームマスターたちは、めちゃくちゃな組み合わせのお題を、確実にソード・ワールドの世界観の中に収束させ、シナリオとしてまとめてみせるのです。

この取り組みは、結果として、ソード・ワールドというシナリオプラットフォームの柔軟さを示してくれています。おそらく、他のTRPGルールで、これほど柔軟なシナリオ作成を許容することは難しいのではないでしょうか?「ソード・ワールドのラクシア世界に通じておくだけで、無限のシナリオを楽しむことができる。」そう感じさせる素晴らしいキャンペーンに仕上がっています。

 

第二には、プレイングの巧みさを見ることができる点です。

本来のリプレイ本の目的は、TRPGのプレイ方法を紹介するということにありました。このリプレイでは、第一には、GMリレー形式というスタイルを紹介する役割を果たしていますが、同時に、パーティ内の役割という意味での「ロール」の重要性を伝えるよいリプレイに仕上がっています

妖精の召喚によって囮を担ってみたり、高い防護点を恃んで全力移動でダメージ前提の盾になったり、惜しげもない占いの利用でパーティ全体を補助したり、逆にセージの不在がプレイングの幅を狭める場面があったり。 本書では、プレイヤーたちがしっかりと「ロール」を意識したプレイングをすることで、やや困難なシナリオであってもなんとか突破してみせています。

軽快なジョークを交わしながらも、「ゲーム」として楽しむことを忘れない、素晴らしいプレイングのレポートに仕上がっているということができるでしょう。

 

最後に、やや副次的な魅力なのですが…。

本書では、GMを担当した人が順にリプレイを書き上げています。それゆえ、それぞれの作者の作風を体験版的に味わうことができるのです。 それぞれの作者は、それぞれに単独でGMを担当したリプレイ本を出版してもいます。

それゆえ、一人一人の作風とシナリオのテイストを見て、自分好みの作者を選ぶことができるのです。 その意味では、次のリプレイ本を選ぶための、いい体験版の役割も果たしているのです。

 

「戦慄のトリプルクラウン(上)」絶賛発売中です。 皆さんも是非、お手に取ってみてください。

  

  

ソード・ワールド2.0リプレイ 戦慄のトリプルクラウン (上) (ドラゴンブック)

ソード・ワールド2.0リプレイ 戦慄のトリプルクラウン (上) (ドラゴンブック)