【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】糸に囚われて【Part.3】
【前回のあらすじ】
稲葉りり、稲葉大志と同じバスに乗って海へ向かった松山。
APP5の悲惨な容姿でナンパを試みるが、大苦戦。最終的に有名人であることを利用して、女の子を引っ掛けるものの、ナンパ後のビジョンがうかばないという、深刻なエラーが発生する。
あきらめて帰ろう、そして本題へ
KP「ええとね、松山さん。たとえば、午後一緒に遊んで、気があうかどうか、お伺いをたてるわけですよ。それで、向こうも楽しそうにしているようだったら、夕飯とかにお誘いしてみてくださいよ。真剣にお付き合いしたいな、と思ったら、今日は連絡先を聞くだけにしておくとか、ああ、できれば一回離れてから、どうしても聞いておかないと後悔してしまいそう、みたいな風を装うといいですね。なんなら露骨に一目惚れした風を装うくらいで。で、食事に誘った場合、付いてきてくれて、そこでしこたまお酒を飲んで、女性が隙を見せるようだったら、事実上OKのサインなわけですよ。そんな隙を見せないようだったら、お断り、ということですね。」
松山「すごい!そうすればいいのか!TRPGって勉強になりますね!」
KP「でも、自分ではうかばなかったんですから、この辺で退いてもらいましょうか。本編と関係ありませんし。」
松山「TRPGの中ですら彼女ができない…。」
KP「では、ぼちぼちペンションに帰りましょうか。」
松山「はい、もう昼過ぎってことですよね。」
KP「そうですね。ええと、では、帰りのバスがペンションにたどり着いたときに、ちょうど同じバス停で降りる女性がいますね。年上の落ち着いた感じのマダムですね。」
松山「あ、今日お泊まりですか?」
女性「はい。あなたも、お泊りですか?」
松山「ええ、そうですよ。こちらは初めてですか?あ、荷物お持ちしますよ。」
女性「あ、お気遣いありがとうございます。はい、初めてなんですが、何度もいらしてるんですか?」
松山「ええ、本当にオーナーたちがいい人たちで、きっといい宿泊になりますよ。」
女性「そうなんですか、評判通りでよかったです。」
松山「ああ、そうだ、申し遅れました、わたし、松山と申します。」
女性「あ、わたしは元木と申します。」
稲葉明子「松山さん、お帰りなさい。元木さんですか?」
元木「はい、そうです。」
明子「当ペンションへようこそ。わたしはスタッフの稲葉明子と申します。松山さん、お荷物、わたしが運びますよ。」
松山「いや、こういうのは、男が運んだほうがいいですよ。」
明子「いつもすみません。」
松山「いえいえ。」
KP「といったところで、室内に入って、元木さんは1階の部屋に案内されますね。」
松山「残る宿泊客は二人、か。」
明子さんと話し、りりちゃんが帰宅
KP「次のイベントまで時間が空いていますから、ペンション内で自由に行動していいですよ。」
松山「んー、じゃあ、お母さんと話してみましょうかね。」
KP「了解です。では、ラウンジにいるということでいいんですね?」
松山「はい。」
(お母さんとの雑談はカット)
KP「とまぁそんな話をしていると、りりちゃんが帰ってきますね。隣接する自宅に帰るより先に、こちらの玄関から入ってきて、さっそく受付の中でエプロンを身につけますよ。」
明子「もう、りり、一回家に帰りなさいって何回言ったら…」
りり「別にいいでしょ。今日の夕飯は何を作るの?お父さんは買い出し?」
松山「りりちゃん、おかえりー。」
りり「あ、松山さん、もう帰ったんですか?…ってことは、つまり、今日もダメだったんですね。」
松山「なんのこと?」
りり「え?いっちゃっていいんですか?」
明子「こら、りり。松山さんはお客さんなんだから。すみませんね、松山さん。」
松山「はっは、いいんですよ。気にしないで。」
KP「といったところで、外で車の音がしますね。」
明子「あ、お客さんがいらっしゃったみたいです。」
りり「美樹ちゃんかな?」
KP「そういうと、りりちゃんが玄関を飛び出して行きますよ。」
松山「最後の宿泊客ですね。」
KP「今回NPCが多いんですよ。」
松山「そうですか?」
KP「いや、だって、親子で4人、宿泊客が4人で計8人ですよ?しかもそれが一箇所に集うって言うんですから、マスタリングもなかなか難しいもんです。本来、プレイヤー人数が多かった場合に、それぞれに秘密を握らせて、勝手に喧々諤々のやり取りをやってもらうという趣旨のシナリオですし、それをNPCが代用していると思うと、多くなって仕方がないんです。」
松山「なるほど。」
KP「まぁ属性がはっきり違うので、プレイしている分には問題ないかもしれませんが、それぞれの持っている情報と役割に応じたロールプレイをさせるキーパーとしては、ものすごく疲れますね。」
笹原父娘の到着
KP「さて、というわけで、最後のNPCです。あなたはどうしてますか?ラウンジでテレビでも見て待ってますか?」
松山「ちょっとお手洗いの洗面所のところに隠れてます。」
KP「それなら、隠れるに+20%でどうぞ。」
〈隠れる〉ロール → 成功
KP「あなたが息を潜めていると、中学生くらいの女の子が、お父さんと思われる男性と一緒に姿を現しますね。」
松山「おっ、APPは?」
KP「…おめでとうございます、APP16です。」
松山「16!騙したな!男が最高値だと騙したな!」
KP「それはそれは、可愛い女の子ですよ。お父さんらしき男性も、それなりに容姿は整っていますけど。そこで立ち聞きしてますか?」
松山「はい。」
りり「美樹ちゃん久しぶり!おっきくなったね!」
美樹「もう、おねえちゃん。もうわたし子供じゃないんだから。」
りり「おねえちゃんから見れば、美樹はまだ子供だよー。」
りり「あ、笹原さん、ようこそいらっしゃいました。お荷物、運びますよ。」
笹原「いやいや、いいよ、りりちゃん。」
明子「いつも通り、3階のお部屋を用意しておきましたよ。」
笹原「では、わたしが自分で運びますから。」
松山「そろそろ出て行きますね。どうも、こんにちはー。」
笹原「どうも。今日お邪魔させていただく、笹原と申します。」
松山「松山と申します。」
知識ロール → 失敗
笹原「お泊まりは、何階ですか?」
松山「3階ですから、たぶん、お隣かと。」
知識ロール → 成功 クリティカル
美樹「松山、さん?」
松山「そうだよ。こんにちは。」
美樹「ひょっとして、あの、テレビに出てる、松山けんいちさんですか?」
松山「ああ、うん、最近は出してもらってるね。」
美樹「ほんとですか!信じられない!握手してもらっていいですか!?」
りり「え…。松山さんって、ファンがいたんだ!」
松山「りりちゃん、それはないよ(苦笑)」
美樹「お姉ちゃん、前から知り合いだったの!?」
りり「うん、そうだけど…。」
美樹「いいなぁ!ずるいなぁ!松山さん、今日泊まってるんですよね!」
松山「うん、隣の部屋にね。」
美樹「すごい、すごい!荷物置いたら、すぐに降りてくるので、待っててもらってもいいですか?」
松山「はっはっは。こんなに喜んでもらえると嬉しいなぁ。大丈夫、今日はもう予定はないから。なんなら、今から僕も部屋に荷物を取りに行くから、一緒に3階に行こうか。」
美樹「はい!」
りり「美樹…このおじさんには気をつけるんだよ…。」
美樹「?」
KP「といったところで、一旦シーンを切りましょうか。」